「保険証、これでいいですか」。月曜の朝、初めて来た患者さんが受付に出したのは、はがきのような紙と、スマートフォンの画面でした。
従来の健康保険証はもう使えません。2024年12月2日に新しい発行が止まり、手元に残っていた保険証も最長で2025年12月1日に期限を迎えました。いま整骨院の受付に出てくるのは、マイナ保険証、資格確認書、資格情報のお知らせ、マイナポータルの画面。見た目も役割もばらばらです。
受領委任で療養費を請求している施術所には、オンライン資格確認の導入が原則として義務づけられています。何を出されたら、どこまで確かめれば請求できるのか。厚生労働省が施術所向けの集団指導で示した流れに沿って、受付の手順を順番に並べました。
出典: 厚生労働省『マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について』/厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
受付の流れは「かざす」から始まり、だめなら3つの代わりを見る
施術所で使うのは、医療機関の顔認証付きカードリーダーではありません。社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会が配る「マイナ資格確認アプリ」を、登録したパソコンやスマートフォンに入れて、患者さんのマイナンバーカードを読み取ります。これを資格確認限定型と呼びます。分かるのは保険の資格情報だけで、薬や健診の情報は出てきません。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)

どの道を通っても、患者さんに求める自己負担は3割など本来の割合のままです。確認できた被保険者番号などを療養費支給申請書に書いて請求する、という最後の手順も変わりません。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
本人確認は、受付スタッフの目視か、患者さんによる4桁の暗証番号の入力のどちらかを選べます。顔認証はありません。暗証番号を忘れた高齢の患者さんでも、目視確認に切り替えれば受付は止まりません。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
出されたものごとの受け方
受付に出てくるものは、大きく5つに分けられます。単独で通るものと、組み合わせが必要なものがある点がつまずきどころです。
| 患者が出したもの | 単独で受付できるか | 受付でやること |
|---|---|---|
| マイナ保険証(カード) | できる | アプリで読み取り、目視か暗証番号で本人確認 |
| 資格確認書 | できる | 従来の保険証と同じように記号・番号などを確認 |
| マイナ保険証+マイナポータルの資格情報画面 | 組み合わせでできる | 読み取れなかったときの代わり。ダウンロードしたPDFでも可 |
| マイナ保険証+資格情報のお知らせ | 組み合わせでできる | 読み取れなかったときの代わり |
| 何も出せない | できない | 再来なら口頭確認、初検なら後日の確認が必須 |
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
資格確認書は「保険証の後継」として扱ってよい
資格確認書は、マイナ保険証を持っていない人全員に、申請しなくても無料で届く書類です。従来の健康保険証と同じように、これ1枚で受診できます。有効期限は最長5年。はがき型やカード型など、形は保険者によって違います。
出典: 厚生労働省『マイナ保険証と資格確認書について(2026年8月時点)』(2026年)
見慣れない様式でも、記号・番号・保険者名・有効期限が読めれば受付できます。後期高齢者医療制度では、2026年8月から85歳以上の人に一律で、84歳以下でもマイナ保険証をあまり使っていない人に資格確認書が届く仕組みになりました。高齢の患者さんが多い院では、これから資格確認書を出す人がさらに増えていくはずです。
出典: 厚生労働省『マイナ保険証と資格確認書について(2026年8月時点)』(2026年)
“資格情報のお知らせ”だけでは足りない
混同されやすいのが「資格情報のお知らせ」です。マイナ保険証を持つ人に保険者が送る紙で、記号・番号や負担割合が書いてあります。ただし厚生労働省の施術所向けの流れでは、マイナ保険証と一緒に出す書類として位置づけられています。紙だけを差し出されたら、マイナンバーカードも持っていないかを尋ねてください。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
スマートフォンの画面を見せられたら
マイナポータルの資格情報の画面は、カードが読み取れなかったときに、マイナ保険証と合わせて見せてもらう代わりの手段です。保存したPDFでもかまいません。
一方、スマートフォンにマイナンバーカードを入れて「スマホのマイナ保険証」として使う仕組みは、2025年9月19日から医療機関・薬局で順次始まりました。施術所の資格確認アプリがこれにどこまで対応しているかは、厚生労働省の公開資料では確かめられませんでした。院の端末で読めるかどうかは、施術所等向け総合ポータルサイトのお知らせで確認してください。読めないうちは、実物のカードを出してもらうのが確実です。
出典: 厚生労働省『マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について』/厚生労働省『スマートフォンのマイナ保険証利用について』
期限切れの保険証を出されたら
病院や薬局向けには、期限切れの保険証を一時的に受け付ける扱いが設けられた時期がありました。しかし厚生労働省が施術所向けに示した受付の流れには、期限切れの保険証という選択肢は出てきません。
編集部は、期限切れの保険証は「何も出せない」場合と同じ扱いにするのが安全だと考えています。記号・番号を控えるのはかまいませんが、それだけで確認済みにはせず、カードの読み取りか資格確認書での確認に切り替えるほうが、後で保険者から照会や返戻を受けにくくなります。
柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報
働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。
「この資格は無効です」と出たときの順番
カードをかざしても資格情報が出てこない場面は、受付で必ず起きます。厚生労働省の資料が例に挙げているのは、「この資格は無効です」「取得失敗」の表示と、端末の故障などで確認できない場合です。転職や引っ越しの直後で、新しい保険の資格がまだ登録されていない患者さんにもよく起きます。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
- 1代わりの書類を尋ねる資格確認書、またはマイナ保険証と一緒にマイナポータルの画面か資格情報のお知らせを見せてもらう
- 2再来かどうかを確かめる以前の来院で請求に必要な資格情報を把握していれば、変更がないかを口頭で確認する
- 3初検なら後日の確認を約束する同じ月の次の来院時などに、被保険者番号などを必ず確かめる
- 4自己負担は本来の割合で確認の方法にかかわらず、3割など通常の割合で受け取る
- 5翌月末までに資格を照会し直すアプリでは施術の翌月末まで、過去に確認した資格情報を見直せる
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
マイナンバーカードそのものにも期限があります。保険証として使う電子証明書は、発行から5回目の誕生日まで。期限が切れても3か月間は資格確認ができるので、そのあいだに更新するよう患者さんに伝えると、次の月の受付が楽になります。
出典: 厚生労働省『マイナ保険証と資格確認書について(2026年8月時点)』(2026年)
資格が変わったことに気づかないまま請求すると、保険者からの返戻につながります。返戻を防ぐ確認の順番は返戻を減らす請求前の確認に、保険者から届く照会の書面への対応は保険者からの患者照会への対応にまとめました。
私たちは、初回の月だけでなく、月が替わって最初の来院のたびにカードをかざしてもらう運用をすすめています。手間は数十秒。資格の変わり目を受付で拾えるかどうかが、請求の手戻りを大きく左右するからです。
まだ入れていない院へ、期限は2026年12月
受領委任の協定や契約を結んでいる施術所は、2024年12月2日からオンライン資格確認の導入が原則義務になりました。実際に受領委任で請求していなくても、協定・契約を結んでいれば対象です。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
未導入の施術所には集団指導が行われ、それでも導入しなければ個別に改善を促されます。その後も導入しない場合は、2026年12月を目途に受領委任の取扱いが中止される、と厚生労働省は示しています。義務の例外は、令和6年4月時点で常勤の施術者が皆70歳以上の場合など、限られた事情だけです。例外にあたる院は、ポータルサイトの報告フォームやコールセンターで申し出る必要があります。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
2025年2月の時点で、柔道整復師の施術所44,744施設のうち、利用を申請したのは37,985施設でした。運用開始日まで入力したのは27,569施設で、全体の6割ほどにとどまっています。
| 段階 | 施設数 | 全施設に占める割合 |
|---|---|---|
| 柔道整復師施術所 全施設 | 44,744 | 100% |
| 利用申請済み | 37,985 | 84.9% |
| 準備完了 | 36,161 | 80.8% |
| 運用開始日入力済み | 27,569 | 61.6% |
出典: 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復師の施術所におけるオンライン資格確認について』(2025年)(2025年2月23日時点)

運用開始日を入力すると、厚生労働省のホームページに「マイナ保険証が使える施術所」として載ります。準備が終わっていても入力していない院は、患者さんから見ると未対応と同じです。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
用意するものと費用の目安
ここでは「スタッフ2人、受付のパソコン1台の接骨院」を想定します。必要な機器は次の3通りのどれかです。
| 組み合わせ | 条件 | 向いている院 |
|---|---|---|
| Windowsパソコン+有線のカードリーダー | Windows 10・11、拡張APDU対応のリーダー | 受付にパソコンがある院 |
| スマートフォン単体 | NFC対応かつ拡張APDU対応の機種 | 機器を増やしたくない小規模な院 |
| タブレット+Bluetoothのカードリーダー | 拡張APDU対応のリーダー | 往療が多い院、受付が狭い院 |
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
手続きは、施術所等向け総合ポータルサイトでの利用開始申請から始まります。受付完了のメールが届くまで最長1週間ほどかかることがあるので、年末の繁忙期に入る前に申請しておくと安心です。2025年度は、機器の購入に4.1万円まで、レセコンとつなぐ改修に3.2万円まで(費用の2分の1)の補助がありました。この申請は2026年1月31日で締め切られ、2026年度も同様の支援が検討されています。領収書は捨てずに保管してください。ほかの補助制度は接骨院で使える補助金・助成金で整理しています。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
レセコンを使っている院は、資格確認の結果をレセコンに自動で取り込む連携機能が2024年12月末から使えます。2025年10月には、取り込んだ結果に被保険者の住所も表示されるようになりました。転記の手間と書き写しの間違いが減るので、編集部はレセコン導入院には連携をすすめます。対応状況はメーカーごとに違うため、レセコンの比較や電子カルテの選び方もあわせて確かめてください。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
柔道整復とはり・きゅうを同じ場所でやっている院は、「併設申告」をすれば端末を1台で兼ねられます。申告しないと、両方の施術所でそれぞれ導入が必要です。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
患者さんへの案内は、持ち物を一行で
受付で迷う時間の多くは、患者さんが何を持ってくればよいか分からないことから生まれます。予約の確認や院内掲示、ホームページには「マイナ保険証(マイナンバーカード)か資格確認書をお持ちください」と一行で書いておくのが近道です。
厚生労働省はマイナ保険証の利用を呼びかけるポスターやリーフレットを配布しており、施術所でも使えます。ホームページの書き方は整骨院のホームページの作り方、予約前のお知らせの送り方はLINE公式アカウントの使い方を参考にしてください。
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
受付に置いておくと便利なもの
・資格確認書と資格情報のお知らせの見本(保険者ごとに様式が違うことのメモ)
・「初検で確認できなかった患者」の一覧(次回来院時の確認漏れ防止)
・オンライン資格確認等コールセンター 0800-080-4583(平日8時〜18時、土曜8時〜16時、祝日を除く)
出典: 厚生労働省『柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)』(2026年)
受付でよく聞かれること
- Q整骨院でマイナ保険証が使えないと言われました。違反ですか?
- A
受領委任の協定・契約を結んでいる施術所は、2024年12月2日から資格確認限定型の導入が原則義務です。常勤の施術者が皆70歳以上などの例外もあります。未導入の施術所は指導の対象となり、導入しなければ2026年12月を目途に受領委任の取扱いが中止される予定です。
- Qマイナ保険証は毎回見せる必要がありますか?
- A
厚生労働省の流れでは、以前の来院で資格情報を把握していれば、再来時は口頭での確認も認められています。とはいえ転職や扶養の変更があれば、資格は月の途中でも変わるもの。月の最初の来院でかざしてもらう運用にしておけば、請求の手戻りを防げます。
- Q資格確認書とマイナ保険証の両方を持っている患者さんがいます。どちらで受け付けますか?
- A
どちらでも受付できます。高齢の方や障害のある方など、申請によって両方を持てる人がいるためです。院にアプリがあるなら、カードを読み取るほうが最新の資格を確かめられます。
- Q確認できなかった初検の患者さんは、全額を自己負担にしますか?
- A
いいえ。厚生労働省の資料では、確認方法にかかわらず3割など本来の割合で受け取るよう求めています。その代わり、同じ月の次の来院時などに被保険者番号などを必ず確認してから申請書に書きます。
- Qオンライン資格確認を入れれば、療養費のオンライン請求にも対応したことになりますか?
- A
別の仕組みです。資格確認限定型は保険の資格を確かめるためのもので、請求のオンライン化は開始時期を含めて検討中です。詳しくは療養費のオンライン請求はいつからかをご覧ください。
ここまでの要点
受付で見るのは、カードの読み取り結果、資格確認書、そしてマイナ保険証と組み合わせた代わりの書類。この3つで足りない場合だけ、口頭確認か後日の確認に回します。まだアプリを入れていない院にとって、2026年12月は動かせない期限です。受領委任の仕組みそのものを確かめたい方は受領委任と償還払いの違いと整骨院の保険請求の仕組みをどうぞ。
柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報
働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。
参考・出典
- 厚生労働省 保険局医療課医療指導監査室「柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所 集団指導(オンライン資格確認の導入)」(2026年、日本鍼灸師会サイト掲載)
- 厚生労働省「マイナ保険証と資格確認書について(2026年8月時点)」
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」
- 厚生労働省「スマートフォンのマイナ保険証利用について」
- 柔道整復療養費検討専門委員会資料「柔道整復師の施術所におけるオンライン資格確認について」(2025年2月28日)
- 施術所等向け総合ポータルサイト
参照日: 2026年11月5日


