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柔道整復療養費の2026年改定|令和8年7月の変更点7つと早見表

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柔道整復療養費の令和8年度(2026年)改定は、料金の小幅な引き上げだけでなく、「初検料を取れない期間」「2部位目の逓減」「明細書発行加算の毎回算定」「自己施術・自家施術の支給対象外」など、請求ルールそのものが大きく変わった改定です。さらに2027年(令和9年)1月からは、長期・多部位の患者を償還払いに切り替える新しい基準も動き出します。

結論から言うと、料金は2026年7月1日施術分から、改定率は全体で+0.60%(うち物価対応分+0.46%)です。初検料は1,560円(+10円)、再検料は420円(+10円)、打撲・捻挫の後療料は550円(+45円)に上がる一方、打撲・捻挫の2部位目は所定料金の80%に逓減されるため、2部位請求が多い施術所ほど上げ幅は小さくなります。出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」の一部改正について』(保発0601第4号)(2026年)/出典: 厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)』(第35回 資料柔-1)(2026年)

この記事では、厚生労働省の通知原文(保発0601第4号・第5号、保医発0601第1号・第3号)と、柔道整復療養費検討専門委員会の資料だけを使い、変更点の早見表、施行日のスケジュール、施術所の収入への影響の試算、2027年1月からの償還払い基準、今後の検討事項までを整理しました。患者向けの保険の範囲は整骨院の保険適用範囲(患者向け)で解説しています。

この記事の要点
・改定率は+0.60%。料金は2026年7月1日施術分から適用
・初検料1,560円・再検料420円・施療料770円・後療料550円・電療料46円・温冷罨法料はどちらも80円
・打撲・捻挫の2部位目は80%、3部位目は60%に逓減(2部位目の逓減は新設)
・治癒・中止から3か月以内は、別の負傷でも同じ施術所では初検料を算定できない(1か月以上なら再検料を算定可)
・明細書発行加算は1回10円で毎回算定可能に(1か月まとめ交付は月1回のみ)
・自己施術・自家施術は療養費の支給対象外と明記
・2027年1月から「直近12か月で通算8月以上かつ9部位以上」の患者が償還払い注意喚起の対象に

柔道整復療養費改定とは?2026年(令和8年度)改定の位置づけ

柔道整復療養費は、整骨院・接骨院で行う骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷への施術に対して健康保険から支給されるお金です。その料金と算定ルールは、厚生労働省の「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」(昭和33年の保険局長通知)で決められており、おおむね2年ごとに、社会保障審議会医療保険部会の柔道整復療養費検討専門委員会で議論されたうえで改定されます。療養費・受領委任の基本的な仕組みは整骨院の保険請求の仕組み(療養費・受領委任・請求の流れ)と受領委任とは?療養費の仕組みと償還払いとの違いにまとめています。

令和8年度改定は、2026年1月30日の第32回から4月30日の第35回まで、4回の専門委員会で「基本的な考え方」と改定案が議論されました。改定率は、医科の診療報酬改定率(+0.28%)の2分の1にあたる+0.14%に、物価上昇への対応分+0.46%を上乗せした+0.60%で、政府が決定しています。出典: 厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)』(第35回 資料柔-1)(2026年)

専門委員会が示した基本的な考え方は、「初検・再検や施術といった柔道整復師の基本となる行為を体系的に評価する」「施術者と患者の情報共有のため明細書の発行を推進する」「物価高騰に対応して所要の料金を引き上げる」の3本柱です。単純な値上げではなく、算定の仕組みを組み替える改定だと理解しておくと、個々の変更点の意味がつかみやすくなります。

過去の柔道整復療養費の改定率

改定年月柔道整復療養費の改定率(参考)医科の診療報酬改定率
2016年(平成28年)10月+0.28%+0.56%
2018年(平成30年)6月+0.32%+0.63%
2019年(令和元年)10月+0.44%(消費税率引上げ対応)+0.88%(本体+薬価)
2020年(令和2年)6月+0.27%+0.53%
2022年(令和4年)6月+0.13%+0.26%
2024年(令和6年)6月+0.26%+0.52%
2026年(令和8年)7月+0.14%+物価対応分0.46%=+0.60%+0.28%
柔道整復療養費と医科の改定率の推移

出典: 厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)』(第35回 資料柔-1)(2026年)

柔道整復療養費の改定率の推移
出典: 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会 第35回資料 柔-1(2026年)。2026年7月は物価対応分0.46%を含む

改定率は2016年以降0.1〜0.4%台で推移してきたため、物価対応分を含む+0.60%は近年で最も高い水準です。ただし後述のとおり、2部位目の逓減が新しく入ったため、施術所ごとの実際の増減は請求している部位数によって大きく変わります。

2026年改定はいつから?施行日と経過措置のスケジュール

改定内容は、2026年6月1日付の4本の通知(保発0601第4号・第5号、保医発0601第1号・第3号)で示されました。料金と算定ルールは2026年7月1日施術分から適用されますが、項目によって適用の起点が違うので注意が必要です。出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」の一部改正について』(保発0601第4号)(2026年)/出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正について』(保発0601第5号)(2026年)

令和8年度 柔道整復療養費改定のスケジュール
  • 2026年1〜4月
    専門委員会で議論
    第32回(1月30日)〜第35回(4月30日)で基本的な考え方と改定案を審議
  • 2026年6月1日
    通知の発出
    保発0601第4号・第5号、保医発0601第1号〜第3号が発出
  • 2026年7月1日
    新料金・新ルールの適用
    7月1日以降の施術分から新料金、2部位目逓減、明細書発行加算の毎回算定などを適用
  • 2026年7月1日以降の治癒・中止
    初検料3か月ルール・再検料
    7月1日以降に治癒・中止した負傷から、初検料不可の3か月ルールと再検料2回の取扱いを適用
  • 2026年9月7日
    事務連絡で一部訂正
    留意事項通知と明細書関連通知の文言を一部訂正
  • 2027年1月以降
    償還払いの新基準
    直近12か月で通算8月以上かつ9部位以上の患者を償還払い注意喚起の対象に追加

出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」の一部改正について』(保医発0601第1号)(2026年)/出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正について』(保発0601第5号)(2026年)/出典: 厚生労働省 保険局医療課 事務連絡『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について(通知)」等の一部訂正について』(2026年9月7日)

特に見落としやすいのが、初検料の3か月ルールと再検料の新しい取扱いです。留意事項通知では「改正後の第2の1及び第4の3に係る取扱いについては、令和8年7月1日以降に負傷の治癒又は施術の中止があった場合について適用する」とされています。つまり、6月以前に治癒・中止した患者が7月に別の負傷で来院した場合は、従来どおりの扱いになります。また、受領委任の通知で定める改正前の様式第5号・第5号の2による用紙は、当分の間、取り繕って使用できるとされています。

柔道整復療養費改定2026の早見表:主な料金の新旧比較

まずは金額が変わった項目を一覧で確認しましょう。往療料・初検時相談支援料・骨折や脱臼の整復料などは据え置きです。

項目改定前改定後(2026年7月〜)差額
初検料1,550円1,560円+10円
再検料410円420円+10円
施療料(打撲・捻挫)760円770円+10円
後療料(打撲・捻挫)505円550円+45円
温罨法料75円80円+5円
冷罨法料85円80円−5円
電療料33円46円+13円
明細書発行(体制)加算10円(月1回)10円(発行のたびに算定可)算定回数が拡大
初検時相談支援料100円100円据え置き
往療料2,300円2,300円据え置き
柔道整復療養費の主な料金の新旧比較

出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」の一部改正について』(保発0601第4号)(2026年)

2026年改定で変わった主な料金の増減額
出典: 厚生労働省 保発0601第4号(2026年)

引き上げ額が最も大きいのは打撲・捻挫の後療料(+45円)で、施術1回ごとに算定する項目のため、改定の効果が最も表れやすい項目です。一方、電療料は「温罨法料等との料金格差を縮減する観点」から前回を上回る13円の引き上げとなり、温罨法料と冷罨法料は80円に統一されました。

2026年改定の主な変更点7つ

1. 初検料:治癒・中止から3か月以内は算定できない

改正前は「患者が任意に施術を中止し、1月以上経過した後」に同じ施術所で施術を受ければ、同一負傷でも初検として扱えました。改正後は、負傷が治癒した日、または患者が任意に施術を中止した日の翌日から起算して3月内に、同一の施術所で施術を行った場合は、当初とは異なる負傷・部位であっても初検料を算定できません。3月の数え方は、例えば「2月10日〜5月9日」「7月1日〜9月30日」とされています。出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」の一部改正について』(保医発0601第1号)(2026年)

あわせて、専門委員会の案では「施術継続中は、他部位での施術を含め初検料を算定できない」ことも整理されました。初検料のみを算定した場合(負傷と認めるべき徴候がなかった場合)も、その後3月内に同じ施術所で施術を行えば初検料は算定できません。

2. 再検料:初検後の「2回目の後療」まで算定可能に

再検料は、改正前は初検の日後最初の後療の日だけでしたが、改正後は初検の日後「初回及び2回目」の後療の日に算定できるようになりました。さらに、3か月ルールで初検料を算定できない場合でも、治癒・中止の翌日から1月を経過した後の施術であれば、連続する2回まで再検料を算定できます。出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」の一部改正について』(保医発0601第1号)(2026年)

2026年7月以降に治癒・中止した負傷の初検料・再検料の考え方(厚生労働省 保医発0601第1号をもとに作成)
2026年7月以降に治癒・中止した負傷の初検料・再検料の考え方(厚生労働省 保医発0601第1号をもとに作成)

図は留意事項通知の第2の1と第4の3を整理したものです。1か月未満で再来院した場合は、同一負傷の継続として扱われるのが原則なので、受付時に前回の治癒・中止日を必ず確認しましょう。出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」の一部改正について』(保医発0601第1号)(2026年)

3. 打撲・捻挫の2部位目に80%の逓減を新設

これまで多部位の逓減は3部位目(60%)からでした。改定後は、後療料・温罨法料・冷罨法料・電療料について、2部位目は所定料金の100分の80、3部位目は100分の60で算定します。4部位目以降は3部位目までの料金に含まれる点は従来どおりです。留意事項通知では、2部位目の逓減は捻挫・打撲、3部位目の逓減は骨折・不全骨折・脱臼・捻挫・打撲のすべてが対象とされています。出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」の一部改正について』(保発0601第4号)(2026年)/出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」の一部改正について』(保医発0601第1号)(2026年)

4. 長期・頻回の逓減の起算月がそろう

初検日を含む月から5か月を超える月の施術は、後療料等を所定料金の75%で算定し、連続5か月以上・月10回以上の頻回施術では50%となる仕組みは維持されました。変更点は起算の考え方で、改正前は「初検日が月の16日以降なら翌月から起算」としていた例外がなくなり、改正後は初検日(初検料を算定できない場合の初回施術日を含む)を含む月から起算します。また、3か月を超えて施術が継続し頻度が高い場合は、長期施術継続理由書に頻度の高い施術が必要な理由も記載します。出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」の一部改正について』(保発0601第4号)(2026年)/出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」の一部改正について』(保医発0601第1号)(2026年)

5. 明細書発行加算:発行するたびに1回10円

「明細書発行体制加算」は「明細書発行加算」に名称が変わり、月1回に限り10円だったものが、明細書を交付するたびに10円を算定できるようになりました。ただし、患者の求めに応じて1か月分をまとめて交付する場合は、同月内1回のみです。出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」の一部改正について』(保発0601第4号)(2026年)/出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」の一部改正について』(保医発0601第1号)(2026年)

明細書は、一部負担金の支払いを受けるごとに交付するのが原則です。1か月まとめての交付は、患者の求めがあることを文書(別紙様式5)で明示的に確認した場合に限られ、施術日ごとの明細を記載する必要があります。また、明細書に負傷名(部位及び負傷)または施術部位が分かる記載が求められるようになりました。確認書は画面上で署名を受けて電磁的記録で保存することも認められています。出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について(通知)」の一部改正について』(保医発0601第3号)(2026年)

6. 自己施術・自家施術は療養費の支給対象外

留意事項通知の通則に、自己施術(柔道整復師による自身への施術)と自家施術(柔道整復師による家族、関連施術所の開設者及び従業員への施術)は支給対象としないことが新設されました。これに伴い、償還払いへの変更対象の例示からは自己施術・自家施術が削除されています。家族やスタッフへの施術を保険で請求していた施術所は、運用を必ず見直してください。出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」の一部改正について』(保医発0601第1号)(2026年)/出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正について』(保発0601第5号)(2026年)

7. 正当な理由のない請求遅延の禁止と、償還払いの新基準

受領委任の取扱いを定める通知に、「正当な理由なく、請求を遅らせることは認められない」との一文が新設されました。さらに2027年1月以降は、償還払い注意喚起通知の対象に「前月までの連続する12か月の間に、通算して8月以上かつ9部位以上について施術を受けている患者」が加わります。詳しくは次の章で解説します。出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正について』(保発0601第5号)(2026年)

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償還払いの新基準:2027年1月から「通算8月以上かつ9部位以上」

償還払いとは、患者が窓口でいったん施術料の全額を支払い、あとで自分で保険者に療養費を請求する方式です。受領委任(窓口では自己負担分だけ払う方式)は柔道整復の例外的な取扱いであり、保険者は一定の患者について受領委任から償還払いに切り替えることができます。今回の改定で、その対象に次の基準が追加されました。出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正について』(保発0601第5号)(2026年)

区分内容
適用時期2027年(令和9年)1月以降
対象となる患者前月までの連続する12か月の間に、通算して8月以上かつ9部位以上について施術を受けている患者
保険者の対応患者と施術管理者に償還払い注意喚起通知を送付。その翌月以降も同様の施術・請求が続く場合は、文書に加えて電話または面会で施術内容・回数・外傷かどうか等を確認
審査上の位置づけ柔整審査委員会の重点審査項目に位置づけ(専門委員会の改定案)
削除された例示自己施術・自家施術に関する例示(支給対象外と明記されたため)
2027年1月からの償還払い注意喚起の新基準

出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正について』(保発0601第5号)(2026年)/出典: 厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)』(第35回 資料柔-1)(2026年)

専門委員会の案では、この基準は「異なる負傷の同時又は断続的な発生により、結果として施術期間が長く施術部位数が多い患者」を対象にするものと説明されています。背景には、負傷と治癒を繰り返して部位を変えながら長期に請求する、いわゆる「部位転がし」への問題意識があります。同じ第35回の資料では、国保連合会や市区町村が「同一施術所に5ヶ月以上連続受療」「同一施術所における同一患者の負傷と治癒等を繰り返す」といった抽出条件で審査している実態が報告されています。出典: 同専門委員会『いわゆる「部位転がし」に関する調査について』(第35回 資料柔-2)(2026年)

注意:「8月」は連続ではなく12か月のうちの通算月数、「9部位」も通算の部位数です。複数の負傷で通院が長引いている患者は、2026年中から施術録で月数・部位数を管理しておくと、2027年1月以降に慌てずに済みます。

2026年改定の影響:部位数別に見る施術料の変化(試算)

改定による影響は、施術所が普段どの部位数で請求しているかで変わります。ここでは、算定基準の料金だけを使い、打撲・捻挫の4回目以降の後療(後療料+温罨法料)1回分を、部位数別に計算しました。長期・頻回の逓減、明細書発行加算、端数処理は含めていません。

部位数改定前(1回あたり)改定後(1回あたり)差額
1部位580円(505+75)630円(550+80)+50円
2部位1,160円(580×2)1,134円(630+630×0.8)−26円
3部位1,508円(580×2+580×0.6)1,512円(630+504+378)+4円
打撲・捻挫の後療1回あたりの療養費の試算(後療料+温罨法料、端数処理前)

計算に使った料金と逓減率: 出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」の一部改正について』(保発0601第4号)(2026年)

1部位の施術では1回あたり約50円の増額ですが、2部位では改定前より約26円の減額、3部位ではほぼ横ばいという結果になります。請求の多くが2部位以上の施術所では、料金引き上げの効果がほぼ相殺されることが分かります。実際、専門委員会の「引き続きの検討事項」にも「請求のほとんどが2部位以上であるような施術所における施術」の実態把握が挙げられており、今後も多部位請求への評価は厳しくなる方向です。

一方で、明細書を毎回発行すれば1回10円が加わるため、患者への明細書の毎回交付は収入面でも意味を持つようになりました。保険収入が伸びにくい構造は変わらないため、保険外の施術メニューの整え方は接骨院の自費メニューと保険の線引き、経営が悪化する典型パターンは整骨院が廃業する理由と回避策も参考にしてください。

施術所が今すぐやるべき改定対応チェックリスト

  1. レセコン・請求ソフトの更新を確認する:新料金、2部位目80%の逓減、明細書発行加算の毎回算定、長期の起算月が反映されているか。比較は接骨院のレセコン比較
  2. 受付で前回の治癒・中止日を確認する:3か月以内の再来院は別の負傷でも初検料を算定しない。1か月以上なら再検料を連続2回まで
  3. 明細書を毎回交付する体制を整える:負傷名または施術部位の記載欄がある様式に切り替え、1か月まとめ交付を希望する患者からは別紙様式5で確認をとる
  4. 自己施術・自家施術の請求をやめる:家族、関連施術所の開設者・従業員への施術は保険請求しない
  5. 長期・多部位の患者を一覧で管理する:直近12か月の通院月数と部位数を施術録から集計し、2027年1月の基準に備える
  6. 請求を遅らせない:正当な理由のない請求遅延は認められないと明記された。請求団体や代行サービスを使う場合はスケジュールを確認(療養費請求代行サービス・請求団体の比較)
  7. スタッフと患者に説明する:窓口負担が変わる理由、明細書の見方、保険の対象範囲を院内掲示などで案内する(表現は整骨院の広告規制とガイドラインに注意)

出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」の一部改正について』(保発0601第4号)(2026年)/出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」の一部改正について』(保医発0601第1号)(2026年)/出典: 厚生労働省 保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について(通知)」の一部改正について』(保医発0601第3号)(2026年)/出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正について』(保発0601第5号)(2026年)

次の改定に向けて:専門委員会が示した「引き続きの検討事項」

第35回の改定案には、令和8年度改定後の施術の変化を見ながら、次回以降に検討する事項も明記されています。主なものは次のとおりです。出典: 厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)』(第35回 資料柔-1)(2026年)

検討事項内容(要旨)
複数部位の施術請求のほとんどが2部位以上の施術所の実態把握。近接部位の算定方法の見直し
温罨法料・冷罨法料・電療料算定期間の見直し(エビデンスが必要)と、部位との算定状況の実態把握
1か月まとめの明細書患者が都度施術内容を理解する観点から、在り方を引き続き検討
8月以上かつ9部位以上の基準今後の動向や必要な施術の確保の観点を踏まえて基準の在り方を検討
長期かつ頻回な施術費用逓減・償還払い変更の対象となる基準の在り方を検討
施術管理者の実務経験現在3年の実務経験期間を、研修の充実などにより短縮することを検討
保険者単位の償還払い適正化の状況を踏まえ、必要に応じて検討
柔道整復療養費の今後の検討事項(第35回専門委員会資料より)

出典: 厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)』(第35回 資料柔-1)(2026年)

施術管理者の実務経験期間の短縮が検討課題に入っている点は、独立開業を目指す柔道整復師にとって注目すべきポイントです。勤務柔道整復師の待遇や働き方は柔道整復師の給料・年収の実態(厚労省データ)で解説しています。

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柔道整復療養費改定2026に関するよくある質問

Q
柔道整復療養費の2026年改定はいつから適用されますか?
A

料金と算定ルールは2026年7月1日施術分から適用されます。ただし、初検料の3か月ルールと再検料の新しい取扱いは、2026年7月1日以降に負傷の治癒・施術の中止があった場合から、「通算8月以上かつ9部位以上」の償還払い基準は2027年1月以降から適用されます。

Q
2026年改定で再検料はどう変わりましたか?
A

再検料は410円から420円に上がり、算定できるのが初検の日後「最初の後療の日」だけから「初回及び2回目の後療の日」に広がりました。また、治癒・中止から1か月以上3か月以内に同じ施術所で施術し初検料を算定できない場合も、連続する2回まで再検料を算定できます。

Q
2部位目の逓減はすべての負傷が対象ですか?
A

留意事項通知では、2部位目の逓減(80%)は捻挫・打撲が対象で、3部位目の逓減(60%)は骨折・不全骨折・脱臼・捻挫・打撲のすべてが対象とされています。逓減の対象は後療料・温罨法料・冷罨法料・電療料です。

Q
明細書発行加算は毎回算定できますか?
A

明細書を無償で交付する旨を院内に掲示し、明細書を無償で交付した場合は、交付するたびに1回10円を算定できます。ただし、患者の求めで1か月分をまとめて交付する場合は、同月内1回のみです。まとめ交付には、患者の希望を文書で確認する必要があります。

Q
家族やスタッフへの施術は保険請求できますか?
A

できません。2026年7月以降、自己施術(自身への施術)と自家施術(家族、関連施術所の開設者及び従業員への施術)は療養費の支給対象外であることが留意事項通知に明記されました。

まとめ:2026年改定は「料金」より「算定ルール」の見直しが本質

柔道整復療養費の令和8年度改定は、改定率+0.60%と近年では高めの水準でしたが、その中身は打撲・捻挫の後療料の引き上げと、2部位目の逓減、初検料の3か月ルール、再検料の拡大、明細書の毎回発行の評価といった算定ルールの組み替えです。1部位の施術が中心の施術所には追い風、2部位請求が中心の施術所には実質的な減額になり得ます。

さらに2027年1月からは、通算8月以上かつ9部位以上の患者が償還払い注意喚起の対象になり、自己施術・自家施術や請求の遅延にも明確な線が引かれました。レセコンの設定、受付での治癒・中止日の確認、明細書の様式、長期・多部位患者の管理の4点を早めに整え、次の改定で議論される多部位・長期施術の評価にも備えておきましょう。

参考・出典

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