「整骨院は潰れやすい」「廃業率が高い」という話を耳にすることがあります。結論から言うと、整骨院だけの「廃業率」を示す公的統計はありません。ただし、公的統計と信用調査会社のデータを並べると、廃業が増えている背景ははっきり見えてきます。
東京商工リサーチによると、整骨院・接骨院・鍼灸院などを含む「療術業(マッサージ業)」の倒産は2025年度に108件と、過去30年で最多になりました。そのうち84.2%が販売不振、つまり「患者が集まらず売上が足りない」ことが原因です。一方で、厚生労働省の統計では柔道整復の施術所は約5万か所で頭打ちとなり、柔道整復療養費(保険からの支払い)は8年で約1,000億円減少しています。
この記事では、こうした数字をもとに整骨院が廃業する理由を7つに整理し、廃業を避けるための対策、そして実際に廃業を決めたときの手続き(廃業届・ベッドや機器の処分)までを解説します。開業を考えている柔道整復師の方、経営に不安を感じている院長の方の判断材料にしてください。
この記事の要点:①整骨院単独の廃業率の公的統計はない ②療術業の倒産は2025年度108件で過去最多、原因の84.2%は販売不振 ③施術所は約5万か所で飽和、療養費は8年で約1,000億円減 ④廃業理由の多くは「保険依存・集客の仕組みがない・資金計画の甘さ」に集約される
整骨院の廃業率とは?正確な統計がない理由と「分かっている数字」
まず押さえておきたいのは、「整骨院の廃業率は○%」という数字の多くに、公的な根拠がないことです。ネット上では「開業3年で○割が廃業」といった数字が出回っていますが、厚生労働省の統計が公表しているのは施術所の数(ストック)であって、毎年何か所が開設され、何か所が廃止されたか(フロー)までは公表されていません。
そのため、廃業の実態は次の2つのデータを組み合わせて推測するのが現実的です。
- 施術所数の推移(厚生労働省「衛生行政報告例」):増え方が鈍っていれば、新規開業と廃止が拮抗していると読み取れる
- 倒産件数(東京商工リサーチ):負債1,000万円以上の法的整理・私的整理を集計したもの。借金を残さずに閉める「休廃業」は含まれないため、氷山の一角と考える必要がある
施術所は約5万か所で頭打ち:新規開業と廃止がほぼ拮抗
厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、令和6年末時点で柔道整復の施術所は50,924か所、就業している柔道整復師は78,666人です。
| 年末 | 柔道整復の施術所(か所) | 就業柔道整復師(人) |
|---|---|---|
| 平成26年(2014) | 45,572 | 63,873 |
| 平成30年(2018) | 50,077 | 73,017 |
| 令和2年(2020) | 50,364 | 75,786 |
| 令和4年(2022) | 50,916 | 77,632 |
| 令和6年(2024) | 50,924 | 78,666 |
平成26年から平成30年の4年間で施術所は約4,500か所増えましたが、令和4年から令和6年の2年間ではわずか8か所しか増えていません。柔道整復師の数は増え続けているのに施術所が増えないということは、毎年それなりの数の新規開業があり、ほぼ同じ数の施術所が閉じていると考えるのが自然です。
療術業の倒産は2025年度108件で過去最多
東京商工リサーチは、整骨院・接骨院・鍼灸院・カイロプラクティックなど「療術業」に分類される事業者の倒産を「マッサージ業」として集計しています。2026年4月の公表によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の倒産は108件で、それまで最多だった2019年度の98件を上回り、過去30年で最多となりました。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 2025年度の倒産件数 | 108件(前年度94件から14.8%増/過去30年で最多) |
| 原因:販売不振 | 91件(84.2%) |
| 負債1億円未満 | 108件(100%) |
| 資本金1,000万円未満 | 104件(96.2%) |
| 2025年上半期(1〜6月) | 55件(前年同期比17.0%増)。うち従業員10名未満が54件(98.1%) |
さらに時間をさかのぼると、同社の2019年1月の公表では、暦年の倒産件数は2010年の22件から2018年の93件へと、8年で4倍以上に増えています。倒産の中心は小規模・零細の院であり、「個人で開業した院が売上不振で立ち行かなくなる」のが典型的なパターンだとわかります。

なお、倒産はあくまで「負債1,000万円以上で経営が破綻したケース」です。資金が尽きる前に自主的に閉院したケースや、個人事業として静かに廃業したケースはこの数字に含まれません。実際の廃業数は、倒産件数よりはるかに多いと考えるべきでしょう。
整骨院が廃業する7つの理由
倒産原因の8割超が「販売不振」とはいえ、売上が落ちる背景にはいくつかの構造的な理由があります。業界の制度変更と経営上の失敗パターンに分けて整理します。
理由1:施術所の飽和による競争の激化
前述のとおり、柔道整復の施術所は全国で約5万か所あります。駅前や住宅街に複数の整骨院が並ぶのは珍しくありません。加えて、国家資格を必要としない整体・リラクゼーション店や、低価格のチェーン店も競合になります。東京商工リサーチも倒産増加の背景として、店舗の乱立による過当競争や、大手チェーン・リラクゼーション店との競合を挙げています。
商圏内の競合数を調べずに開業すると、開業直後から患者の取り合いになります。整体院との違いや法的な位置づけは整体院の開業に資格は必要?届出と手順でも解説しています。
理由2:療養費(保険収入)の減少と審査の厳格化
整骨院の収入の柱だった柔道整復療養費は、年々減っています。厚生労働省の柔道整復療養費検討専門委員会の資料によると、平成25年度の3,855億円から令和3年度には2,867億円へと、8年で約1,000億円減少しました。
| 年度 | 柔道整復療養費(推計) | 対前年度伸び率 |
|---|---|---|
| 平成25年度 | 3,855億円 | -3.2% |
| 平成27年度 | 3,789億円 | -0.9% |
| 平成29年度 | 3,437億円 | -5.5% |
| 令和元年度 | 3,178億円 | -3.0% |
| 令和2年度 | 2,831億円 | -10.9% |
| 令和3年度 | 2,867億円 | +1.3% |

療養費の総額が減る一方で施術所の数は横ばいなので、1院あたりの保険収入は細っていく計算になります。さらに、長期・多部位の施術に対する審査や患者への照会も強化されてきました。保険の対象は外傷性の打撲・捻挫・挫傷などに限られ、単なる肩こりや疲労は対象外です。こうしたルールの詳細と2026年の改定点は整骨院の保険請求の仕組みと2026年改定で解説しています。
理由3:保険依存から自費メニューへの移行ができない
療養費が減る中で、多くの院が自費メニュー(保険外の施術)を取り入れています。しかし、保険施術の延長で「安い自費メニュー」を作っても、利益はほとんど残りません。自費で選ばれるには、ターゲット(誰の・どんな悩みを解決するか)とメニューの価値を明確にし、価格に見合う説明ができる必要があります。
保険の患者を中心に集客してきた院ほど、自費への切り替えで患者が離れる不安から値付けを低く抑えがちです。結果として「忙しいのに利益が出ない」状態に陥り、スタッフの人件費や家賃をまかなえなくなるのが、典型的な廃業パターンの一つです。
理由4:集客の「仕組み」がない
倒産原因の大半が販売不振であることからもわかるように、最大の問題は集客です。「腕がよければ患者は自然に来る」と考えて開業し、看板と口コミだけに頼っていると、新規患者が途切れた時点で売上が急落します。Googleビジネスプロフィール(MEO)、予約ポータル、LINE公式アカウント、紹介カードなど、新規と再来を継続的に生む導線を開業前から設計しておくことが重要です(具体策は接骨院の集客方法12選・治療院の簡単SNS広告の運用まとめを参照)。
理由5:過大な初期投資と運転資金不足
内装や最新の治療機器にお金をかけすぎて、開業後の運転資金が足りなくなるケースも目立ちます。整骨院は受領委任で保険請求をすると、療養費が入金されるまでに時間差があるため、開業直後は手元資金が減りやすい業態です。開業費用の内訳や融資の考え方は接骨院の開業費用はいくら?内訳・融資・届出を参考に、固定費の数か月分の運転資金を確保しておきましょう。消耗品などの仕入れコストを見直すことも、地味ですが効く対策です(施術用品の仕入れをネット通販で(各社ECサイト比較))。
理由6:人材の採用難と人件費の上昇
分院展開やスタッフを雇う院では、採用難も深刻です。東京商工リサーチも、光熱費や人件費の上昇が倒産増加の背景にあると指摘しています。院長一人の施術に頼る体制では、院長が体調を崩しただけで売上がゼロになります。一方でスタッフを雇えば人件費が固定費として重くのしかかります。柔道整復師の給与水準は柔道整復師の給料・年収の実態で整理していますが、給与と売上のバランスを取れないと経営は続きません。
理由7:不正・不当な請求による受領委任の中止
見落とされがちですが、保険請求のルール違反も廃業に直結します。地方厚生局が掲載している「柔道整復師の施術に係る療養費について(通知)」では、受領委任の取扱いが中止された場合、原則として中止後5年間は再登録・再承諾をしないとされています(不正・不当な請求の金額や割合が軽微な場合は2年以上5年未満で再登録が可能)。
受領委任の取扱いが中止されると、患者は窓口で全額を支払い、自分で保険者に請求する「償還払い」しか使えなくなります。保険の患者が中心の院にとっては、事実上、保険施術ができない状態であり、廃業に追い込まれる大きな要因になります。部位の付け替えや施術日数の水増しなどは絶対に行わないことが大前提です。

廃業に近づく整骨院の「仕組み」上の特徴
7つの理由を裏返すと、廃業に近づいている院には共通の「経営の仕組み」上の特徴があります。自院に当てはまるものがないかチェックしてみてください。
| 危険なサイン | 起きていること | まず取るべき対策 |
|---|---|---|
| 売上の大半が療養費 | 制度改定や審査の影響をそのまま受ける | 自費メニューの設計とターゲットの明確化 |
| 新規患者の流入経路が1つだけ | ポータルや看板が不調になると新規が止まる | MEO・LINE・紹介など複数の導線を持つ |
| 売上は見ているが利益を見ていない | 忙しいのに手元にお金が残らない | 月次で固定費・変動費・利益を把握する |
| 運転資金が固定費の1〜2か月分以下 | 少しの売上減で資金ショート | 借入の返済条件の見直し、固定費の削減 |
| 院長しか施術できない | 院長の不調・不在で売上がゼロになる | 施術と業務の標準化、スタッフ育成 |
| 施術録や請求内容の確認が甘い | 照会・監査で請求の返還や受領委任中止のリスク | 請求前の点検ルールを作る、請求代行の活用 |
特に最後の請求まわりは、院長一人で抱えるとミスが起きやすい領域です。請求業務を外部に任せる選択肢は療養費請求代行サービス・請求団体の比較で比較しています。
柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報
働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。
整骨院の廃業を回避する5つの対策
- 開業前に商圏を調べる:半径1〜2km圏内の整骨院・整体院の数、人口構成、競合の価格帯を確認し、「この場所で誰に選ばれるか」を言語化します
- 保険と自費の比率を計画的に変える:療養費だけに頼らず、自費メニューの売上比率の目標を決めて段階的に移行します
- 集客を仕組み化する:新規(MEO・ポータル・SNS)と再来(LINE・次回予約・紹介)の導線を分けて設計し、毎月数字で確認します
- 利益と資金繰りで判断する:売上ではなく利益と手元資金を月次で見て、固定費の数か月分の運転資金を確保します
- 請求ルールを守る体制を作る:負傷原因の記録・施術録の記載・申請書の確認を習慣化し、受領委任中止のリスクを避けます
フランチャイズに加盟すれば集客やノウハウの支援を受けられる一方、加盟金やロイヤリティが固定費に加わります。加盟を検討する場合はフランチャイズ加盟の実情(ほねつぎチェーン)も参考にしてください。
無料で相談できる公的な窓口
経営が苦しくなったときに、一人で抱え込むのは危険です。各都道府県の「よろず支援拠点」や商工会議所・商工会では、中小企業・小規模事業者の経営相談を無料で受け付けています。事業を誰かに引き継ぎたい場合は「事業承継・引継ぎ支援センター」も相談先になります。閉院を決める前に、資金繰りの改善や承継の可能性を一度相談してみる価値はあります。
整骨院を廃業するときの手続き:廃業届はどこに何を出す?
それでも廃業を決めた場合は、行政・保険・税務・雇用の手続きを漏れなく進める必要があります。特に整骨院は、保健所への届出と、受領委任に関する地方厚生局への届出の両方が必要な点が一般の店舗と違います。
| 手続き | 提出先・相手 | 期限・ポイント | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 施術所の廃止届 | 都道府県(保健所を設置する市・特別区は市・区) | 廃止した日から10日以内 | 柔道整復師法第19条第2項 |
| 受領委任の取扱いに係る申出事項の変更等(施術所の廃止) | 地方厚生(支)局(都府県の事務所) | 様式第4号。管轄の厚生局の案内に従って提出 | 関東信越厚生局など各厚生局の案内 |
| 個人事業の開業・廃業等届出書 | 所轄の税務署 | 提出時期は国税庁の案内で最新の取扱いを確認 | 国税庁「個人事業の開業・廃業等届出手続」 |
| 従業員の解雇予告 | 雇用しているスタッフ | 30日前までに予告、または30日分以上の平均賃金(解雇予告手当) | 労働基準法第20条 |
| リース・賃貸借契約の整理 | リース会社・貸主 | 解約予告期間・原状回復の範囲・リース残債を契約書で確認 | 各契約書 |
| 施術録・申請書控えの保管 | (院内・自宅など) | 廃業後も保存期間中は保管し、照会に対応できるようにする | 受領委任の取扱規程 |
- 6〜3か月前契約の確認と方針決定賃貸借契約の解約予告期間、リース残債、借入の返済条件を確認。事業承継(院の譲渡)の可能性も検討します。
- 3〜2か月前患者・スタッフへの告知スタッフには解雇予告(30日前)より余裕をもって伝え、患者には転院先の案内を準備します。
- 1か月前機器・備品の処分先を決めるリース品は返却・買取の条件を確認。所有機器は中古買取や同業者への譲渡を検討します。
- 廃止日最終施術・療養費の最終請求最後の月の療養費を請求。施術録と申請書の控えを保管場所へ移します。
- 廃止後10日以内保健所へ施術所の廃止届あわせて地方厚生局へ受領委任の廃止手続き(様式第4号)を行います。
- その後税務署への届出・確定申告個人事業の廃業等届出書を提出し、廃業年分の確定申告を行います。
ベッド・治療機器の処分方法
検索でも関心が高いのが、施術ベッドや物療機器の処分です。選択肢は大きく次の4つです。
| 方法 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| リース会社へ返却 | リース契約中の機器 | 所有権はリース会社にあるため、勝手に売却・廃棄できない。中途解約は残リース料の精算が必要になることが多い |
| 中古買取業者に売る | 年式が新しい物療機器・ベッド | 医療機器の中古販売には許可が必要な場合があるため、医療機器を扱う業者を選ぶ |
| 同業者・後継者へ譲渡 | 居抜きで院を引き継ぐ人がいる | 貸主が居抜きを認めるか、造作譲渡の条件を賃貸借契約で確認する |
| 廃棄物として処分 | 古い機器・買い手がつかないもの | 事業活動で出たゴミは家庭ゴミとして出せない。許可を持つ処理業者に依頼する |
機器を売って得たお金は、廃業時の原状回復費用やリース残債の支払いに充てられます。廃業を決めたら早めに複数の業者に査定を依頼し、処分費用が膨らまないようにしましょう。
廃業・継続・承継・勤務に戻る:選択肢の比較
経営が苦しいときの選択肢は「廃業」だけではありません。自分の年齢や資金、家族の状況に合わせて比較してみてください。
| 選択肢 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 経営改善して継続 | これまでの患者・地域の信用を生かせる | 改善策が効くまでの運転資金が必要 |
| 事業承継・譲渡 | 患者・スタッフを引き継げる。機器や内装を生かせる | 買い手・後継者探しに時間がかかる |
| 縮小(一人院・移転) | 家賃・人件費などの固定費を下げられる | 移転時に患者が離れるおそれ |
| 廃業して勤務柔整師に戻る | 収入が安定し、経営リスクがなくなる | 借入が残る場合は返済計画が必要 |
廃業後に勤務柔道整復師として働く人も少なくありません。院長経験は、分院長・施術管理者候補として評価されることもあります。求人の条件や年収の目安は柔道整復師の給料・年収の実態を確認し、次のキャリアを考えてみてください。
柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報
働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。
整骨院の廃業に関するよくある質問
- Q整骨院の廃業率は何%ですか?
- A
整骨院だけの廃業率を示す公的統計はありません。厚生労働省の衛生行政報告例では施術所の数しか公表されていないためです。参考になる数字として、柔道整復の施術所は令和4年から令和6年の2年間で8か所しか増えておらず、東京商工リサーチの集計では療術業の倒産が2025年度に108件と過去30年で最多になっています。
- Q整骨院の廃業届はどこに出しますか?
- A
施術所を廃止したときは、廃止した日から10日以内に、施術所の所在地の都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)に届け出ます(柔道整復師法第19条第2項)。受領委任を取り扱っていた場合は、地方厚生(支)局への廃止の手続き、個人事業なら税務署への廃業等届出書も必要です。
- Q整骨院の廃業費用はどのくらいかかりますか?
- A
物件の原状回復の範囲、リース残債、スタッフの解雇予告手当の有無などで大きく変わるため、一律の相場はありません。賃貸借契約の原状回復条項と解約予告期間、リース契約の残債を早めに確認し、機器の買取や居抜き譲渡で費用を抑えられないか検討しましょう。
- Q受領委任の取扱いが中止されるとどうなりますか?
- A
患者は窓口で施術料金の全額を支払い、自分で保険者に請求する償還払いしか使えなくなります。地方厚生局掲載の通知では、中止後は原則5年間、再登録・再承諾されないとされています。保険の患者が中心の院には致命的なので、請求ルールの順守が欠かせません。
- Q整形外科と整骨院の併用はできないのですか?
- A
同じ負傷について保険医療機関(整形外科など)で治療を受けている間は、原則として整骨院での施術に健康保険(療養費)は使えません。患者から併用の相談を受けたときは、負傷の部位や時期を確認し、保険が使えない場合があることを事前に説明しておくことがトラブル防止になります。
まとめ:整骨院の廃業理由は「保険依存・集客・資金」に集約される
整骨院だけの廃業率を示す公的統計はありませんが、施術所数が約5万か所で頭打ちになり、柔道整復療養費が8年で約1,000億円減った一方、療術業の倒産は2025年度に108件と過去最多になっています。倒産原因の84.2%は販売不振です。
廃業の理由をたどると、①療養費への依存、②集客の仕組みがないこと、③資金計画の甘さの3つに集約されます。加えて、不正・不当な請求による受領委任の中止は一発で経営を止めるリスクです。開業前・経営中のどちらでも、この3点とルール順守を定期的に点検することが、廃業を避ける一番の近道です。そして、もし廃業を選ぶ場合も、手続きと処分を計画的に進めれば、次のキャリアにスムーズに移ることができます。
参考・出典
- 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
- 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会「柔道整復療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)」(令和6年1月25日)
- 東京商工リサーチ「『マッサージ業』の倒産が過去30年で最多の108件」(2026年4月19日)
- 東京商工リサーチ「2025年1-6月の『マッサージ業』倒産55件 20年間で最多」(2025年7月6日)
- 東京商工リサーチ「2018年『マッサージ業、接骨院等』の倒産状況」(2019年1月15日)
- 地方厚生局掲載「柔道整復師の施術に係る療養費について(通知)」(平成30年5月24日)
- 関東信越厚生局「柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任に関する申し出等」
- e-Gov法令検索「柔道整復師法」(第19条)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第20条)
- 国税庁「個人事業の開業・廃業等届出手続」

