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接骨院の開業年齢と経験年数|最短24歳の計算と実務3年の数え方

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新しく事業を始めた人の平均年齢は43.9歳。日本政策金融公庫の2025年度の調査で、1991年度に調査が始まってから最も高い数字になりました。

ただ、この数字は飲食店も美容室もIT企業も含めた全業種の平均です。接骨院を開くときに効いてくるのは、年齢よりも「柔道整復師として何年働いたか」のほう。保険を扱うなら実務経験3年が最低ラインとして決められていて、数え方にも細かい条件があります。

ここでは、公庫の開業者調査、厚生労働省の受領委任の通知、施術管理者研修の案内をもとに、開業できる最短の年齢と、実際に開く人が多い時期を分けて整理します。

接骨院を開く年齢に、上限も下限もない

柔道整復師法には「何歳から開業できる」という決まりがありません。施術所は、開設してから10日以内に都道府県知事(窓口はふつう保健所)へ届け出る仕組みで、年齢を問う項目もありません。届出の手順は開業時の届出にまとめています。

出典: e-Gov法令検索『柔道整復師法』第19条

年齢に代わって効いてくるのは、次の2つの「年数」です。

  • 国家試験を受けるまでの養成期間(3年以上)
  • 保険(受領委任)を扱う施術管理者になるための実務経験(2024年度以降は3年以上)

国家試験は、大学に入学できる資格がある人が、指定された学校か養成施設で3年以上学んだあとでなければ受けられません。e-Gov法令検索『柔道整復師法』第12条

ここから逆算すると、保険を扱う接骨院を開ける最短の年齢が出ます。

最短なら24歳。高校卒業から数えた計算

高校を18歳で卒業し、3年制の養成施設にそのまま入学した人を想定します。卒業の年に国家試験に合格し、すぐに接骨院で働き始めた場合の計算です。

段階かかる年数年齢の目安
高校卒業・養成施設に入学—18歳
養成施設を卒業・国家試験3年以上21歳
施術所などで実務経験3年以上24歳
施術管理者研修(2日間)を修了研修の開催時期しだい24歳
施術所の開設・受領委任の申出準備期間による24歳以降

出典: e-Gov法令検索『柔道整復師法』第12条 / 厚生労働省保険局長通知『柔道整復師の施術に係る療養費について』の一部改正について(平成30年 保発0524第2号) / 公益財団法人柔道整復研修試験財団『施術管理者研修』(2026年)(年齢は編集部の計算)

保険を扱う接骨院を開くまでの最短ルート(編集部の計算)
保険を扱う接骨院を開くまでの最短ルート(編集部の計算)

実際には、免許の登録を待つ期間や、研修の申込みの時期、物件探しが重なるので、24歳ちょうどで開くのはかなり急いだ計算になります。大学や社会人を経て養成施設に入った人は、その年数がそのまま後ろにずれます。

保険を扱わない自費だけの施術所なら、施術管理者の要件はかかりません。ただ、接骨院として来院する患者の多くは保険の利用を前提にしているので、私たちは「実務3年+研修」を開業の実質的なスタートラインと見ています。

「3年」の数え方で、開業できる時期が1年ずれる

施術管理者の実務経験の期間は、受領委任の取扱いを始める年度によって段階的に引き上げられてきました。

受領委任の届出・申出の時期必要な実務経験保険医療機関で働いた期間の上限
2018年6月〜2022年3月1年以上上限なし
2022年4月〜2024年3月2年以上1年まで
2024年4月以降3年以上2年まで

出典: 厚生労働省保険局長通知『柔道整復師の施術に係る療養費について』の一部改正について(平成30年 保発0524第2号) 別添1 第5項(通知では平成33〜36年度と表記)

見落としやすいのは右端の列です。整形外科のクリニックなど保険医療機関での勤務は、3年のうち2年までしか数えられません。整形外科で3年働いた人は、施術所での勤務があと1年足りない計算になります。

新卒で整形外科に入り、のちに接骨院へ移るつもりの人は、この上限を先に知っておくと遠回りが減ります。求人を選ぶ段階で、実務経験として証明してもらえる勤務かどうかを確かめておくと安心です。勤務先の選び方は未経験・新卒向けの求人の見方で扱いました。

3人の例で数えてみる

同じ「免許を取って3年」でも、働いた場所によって施術管理者になれる時期は変わります。次の3人はいずれも想定の例で、2024年度以降のルール(3年以上、うち保険医療機関は2年まで)で数えています。

想定これまでの勤務数えられる年数要件を満たす時期
Aさん(21歳で免許)接骨院で3年3年24歳で満たす
Bさん(21歳で免許)整形外科で3年2年(上限)接骨院であと1年働いた25歳
Cさん(30歳で養成施設に入学)33歳で免許、接骨院で3年3年36歳で満たす

出典: 厚生労働省保険局長通知『柔道整復師の施術に係る療養費について』の一部改正について(平成30年 保発0524第2号) 別添1 第5項をもとに編集部が計算

Bさんのように整形外科での経験が長い人は、年数は足りていても内訳で1年足りない、ということが起こります。社会人を経て資格を取ったCさんの場合、要件を満たす時点ですでに30代半ば。公庫の調査で開業者の年齢が上がっている流れとも重なります。

施術管理者は施術所ごとに1人。複数の施術所を掛け持ちすることは原則として認められていません。分院を出すときは、それぞれに要件を満たした施術管理者が必要になります。

出典: 厚生労働省保険局長通知『柔道整復師の施術に係る療養費について』の一部改正について(平成30年 保発0524第2号) 別添1 第4・7項

施術管理者研修は2日間・受講料2万5,000円

実務経験とは別に、登録された機関が行う施術管理者研修を修了する必要があります。柔道整復研修試験財団の案内では、研修は土日や祝日を使った連続2日間で計16時間、受講料は25,000円です。

申込みは先着順ではありません。財団は、受付期間内の申請から優先度の高さなどを考えて受講者を決めるとしています。修了証が届くのは研修が終わってから2週間ほどあと。開業日から逆算すると、研修はおおむね半年前までに受けておくと余裕があります。

会場は回ごとに変わります。2026年度の日程には、東京都江東区の大学、大阪府吹田市の専門学校、大阪府柔道整復師会といった会場が並んでいて、住んでいる地域の近くで開かれるとは限りません。財団は、オンライン研修を終えて2026年度から会場での研修に戻すと告知しました。2027年1月16〜17日の回は、2026年10月29日から11月26日まで受付です。地方に住んでいる人は、移動と宿泊も予定に入れておいてください。

出典: 公益財団法人柔道整復研修試験財団『施術管理者研修』(2026年)

開業日から逆算した研修と届出の時期(例)
  • 12か月前
    研修の受付を確認
    財団の日程が公表されたら、希望会場の受付期間を控える
  • 8〜6か月前
    施術管理者研修を受講
    連続2日間・16時間。修了証は約2週間後
  • 6か月前〜
    物件・資金の準備
    事業計画書をつくり、融資を申し込む
  • 開設後10日以内
    施術所の開設届
    保健所へ。あわせて受領委任の申出を進める

開業準備の資金面は公庫の創業融資と事業計画書の書き方、場所選びは物件の選び方を参照してください。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

実際に開業する人は何歳か――30〜40代が6割強

接骨院だけの開業年齢をまとめた公的な統計は、ここでは確認できませんでした。いちばん近い手がかりは、日本政策金融公庫が毎年行っている新規開業実態調査です。2025年度は、公庫が融資した開業1年以内の企業2,165社が回答しています。

開業時の年齢1991年度2025年度
29歳以下14.5%7.0%
30歳代39.9%28.0%
40歳代34.1%36.9%
50歳代9.3%21.8%
60歳以上2.2%6.4%
平均年齢38.9歳43.9歳

出典: 日本政策金融公庫総合研究所『2025年度新規開業実態調査』(2025年) 図-1

開業時の年齢の割合(全業種)
出典: 日本政策金融公庫総合研究所『2025年度新規開業実態調査』図-1

2025年度は40歳代が36.9%で最も多く、30歳代の28.0%と合わせると6割を超えます。50歳代は21.8%で、3年続けて割合が上がりました。30年あまりで、開業の中心は30代から40代へ移っています。

回答企業の業種は「医療・福祉」が16.7%を占めますが、この年齢の表は全業種をまとめた数字です。接骨院の傾向として読むときは、その点を割り引いてください。

開業者の経験年数は平均15.3年

同じ調査では、開業した事業に関連する仕事の経験(斯業経験)がある人が81.1%でした。その経験年数は平均15.3年、中央値15.0年です。

勤務キャリア経験がある人の割合経験年数の平均中央値
勤務経験97.6%21.1年20.0年
斯業経験(同じ分野の仕事)81.1%15.3年15.0年
管理職経験66.4%11.6年10.0年

出典: 日本政策金融公庫総合研究所『2025年度新規開業実態調査』(2025年) 図-5(経験年数は経験がある人だけで集計)

制度の最低ラインが3年なのに対し、全業種の開業者は同じ分野で15年ほど働いてから独立している、という差があります。

柔道整復師に当てはめると、21歳で免許を取った人が15年働けば36歳前後。公庫の調査で30〜40代が多いこととも矛盾しない数字です。もちろん、接骨院の開業者を直接数えたものではありません。

20代・30代・40代以降、それぞれ何が足りなくなりやすいか

年代ごとの向き不向きは、統計で示せるものではありません。ここでは、制度上の条件と、公庫の調査で見えた傾向から、年代ごとに確認しておきたい点を並べます。

開業時の年代制度面で気をつけること準備で確かめたいこと
20代実務3年の内訳(保険医療機関は2年まで)自己資金と、院長以外の施術経験の幅
30代施術所での勤務年数を証明できるか家計の固定費と、開業後に収入が落ちる期間の備え
40代以降ブランクがある場合の実務経験の証明融資の返済期間と、自分が施術を続けられる年数

20代の開業で手薄になりやすいのは、資金と経営の経験です。開業費用の目安は接骨院の開業費用で、失敗の典型は開業で失敗する理由で取り上げました。

40代以降で計画の中心に来るのは、返済期間と体力の見通しだ。スタッフに施術を任せる形を早めに考えておけば、売上が院長一人の稼働に縛られにくくなる。利益が増えてからの選択肢は法人化のタイミングで扱いました。

ここは意見が分かれるところですが、編集部は「何歳で開くか」より「何年分の固定費を自分で背負えるか」で時期を決めるほうが現実的だと考えています。

開業後の収入の見込みは独立後の年収、保険請求の基本は受領委任の仕組みにまとめています。

細かい疑問に答えます

Q
アルバイトや非常勤で働いた期間も実務経験に入りますか?
A

受領委任の取扱規程は、必要な期間(2024年度以降は3年以上)と、保険医療機関での期間の上限(2年まで)を定めています。勤務形態ごとの数え方は規程の本文には書かれていないため、申出の前に地方厚生(支)局に確認してください。

Q
柔道整復師の資格がない人でも接骨院を開業できますか?
A

開設そのものは可能です。受領委任の取扱規程(契約の場合)には、開設者が柔道整復師でない場合や自分で施術をしない場合、勤務する柔道整復師の中から施術管理者を選ぶという定めがあります。選ばれた人には、実務経験と研修の要件がそのままかかる点に注意してください。

Q
50代・60代で開業するのは遅すぎますか?
A

制度上の年齢制限はありません。日本政策金融公庫の2025年度調査では、全業種の開業者のうち50歳代が21.8%、60歳以上が6.4%でした。年齢よりも、融資の返済期間と施術を続けられる年数が釣り合うかを確かめてください。

Q
施術管理者研修は、実務経験3年を満たす前に受けられますか?
A

柔道整復研修試験財団の案内では、研修の対象は柔道整復師の免許を受けた人とされ、実務経験の要否は厚生労働省の要件資料を確認するよう案内されています。研修を先に受けても、施術管理者として申し出るには実務経験の期間が別に必要です。

Q
自費だけの整骨院なら、経験年数の要件はありませんか?
A

施術管理者の要件は、療養費の受領委任を取り扱うためのものです。保険を扱わない施術所には、この要件はかかりません。ただし、施術所の開設届は必要です。

最後に

保険を扱う接骨院を開ける最短の年齢は、計算上24歳。実際に開く人は30〜40代が中心で、全業種の開業者は同じ分野で平均15年ほど働いてから独立しています。

年齢の数字に引きずられる必要はありません。まずは自分の実務経験が、施術所で何年、保険医療機関で何年あるかを数えてみてください。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

参考・出典

参照日: 2026年10月30日

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