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接骨院の自費移行2026|単価の逆算法・メニュー5型・保険併用ルール

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「保険の施術だけでは売上が年々下がっていく」「自費メニューを作りたいが、いくらに設定すればいいのか分からない」「保険と自費を同じ患者に組み合わせても問題ないのか」——接骨院・整骨院の自費移行は、院長の多くが一度は考えるテーマです。

結論から言うと、自費移行は「メニューを増やす」ことではなく、①保険の対象と対象外を正しく線引きし、②目標売上と施術時間から単価を逆算し、③院の見せ方と説明を自費の患者に合わせて作り直す、という3つの作業です。とくに保険と自費の併用では、受領委任の取扱規程で一部負担金の減免・超過徴収の禁止、領収証・明細書の交付、受領委任の施術録を区別して整理することなどが定められており、ここを曖昧にしたまま自費を混ぜると、保険請求そのものを失うリスクがあります。

この記事では、厚生労働省の受領委任の取扱規程と療養費の統計、国税庁・資金決済法などの一次情報をもとに、自費移行の背景、保険との併用ルール、メニュー設計、単価の決め方、回数券の注意点、失敗例と移行ステップまでを整理します。保険請求の基本は整骨院の保険請求の仕組み|療養費の対象・受領委任・2026年の改定点で詳しく解説しています。

この記事の要点
・柔道整復療養費は平成25年度3,855億円→令和3年度2,867億円へ減少。施術所数は約5万か所で横ばい
・保険の対象は外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷。単なる肩こり・疲労は対象外=自費の領域
・受領委任では一部負担金の減免・超過徴収は禁止、領収証は無償交付、受領委任の施術録は他と区別して5年保存
・単価は「月の目標売上÷稼働日数÷1日の施術人数」で逆算し、事務・集客の時間を先に確保する
・回数券は有効期限6か月以内なら資金決済法の適用除外。それを超えると基準日未使用残高1,000万円超で届出が必要

接骨院の自費移行とは?保険施術との違い

接骨院・整骨院の「自費移行」とは、健康保険の療養費(受領委任)に頼った売上構成から、患者が全額を負担する自費施術の比率を高めていくことです。保険施術を続けながら自費メニューを加える「部分移行」と、保険の取扱いをやめる「完全自費」の2通りがあります。

まず押さえたいのは、整骨院で健康保険が使えるのは外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷(肉離れなど)に限られることです。骨折と脱臼は応急手当を除き医師の同意が必要で、単なる肩こりや筋肉疲労、慢性的な痛みは健康保険の対象になりません。出典: 全国健康保険協会『柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方』

つまり、来院理由の多い慢性的な肩こり・腰痛、姿勢の悩み、疲労回復などは、もともと「保険では扱えない領域」です。自費移行は、この領域を適正な料金で引き受けられるようにする取り組みだと言い換えられます。

項目保険施術(受領委任)自費施術
対象外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷保険の対象外の症状(慢性の肩こり・腰痛、姿勢、疲労など)や、保険外の施術方法
料金国が定める算定基準で決まる。患者は1〜3割の一部負担金院が自由に設定。患者が全額負担
患者への交付物領収証(無償)、求めに応じて明細書領収証(院の判断。トラブル防止のため交付を推奨)
記録受領委任に係る施術録を他と区別して整理、施術完結日から5年保存院の任意(カルテとして残すのが望ましい)
広告看板・チラシに「療養費支給申請ができる旨」など列挙事項のみ看板・チラシに施術法・料金は書けない。ホームページでは料金・リスクを明示
保険施術と自費施術の違い

出典: 全国健康保険協会『柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方』/出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正について』(保発0524第2号)(2018年)/出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年)

なぜ今、自費移行が検討されるのか:療養費と施術所数の推移

背景にあるのは、保険収入の縮小です。厚生労働省の柔道整復療養費検討専門委員会の資料によると、柔道整復療養費は平成25年度の3,855億円から令和3年度の2,867億円へと、8年で約1,000億円減っています。出典: 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)』(2024年)

柔道整復療養費の推移(推計)
出典: 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会資料(2024年)

一方で、施術所の数は減っていません。令和6年衛生行政報告例によると、柔道整復の施術所は令和6年末で50,924か所、就業している柔道整復師は78,666人です。出典: 厚生労働省『令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』(2025年)

年柔道整復の施術所就業柔道整復師
2014年45,572か所63,873人
2018年50,077か所73,017人
2020年50,364か所75,786人
2022年50,916か所77,632人
2024年50,924か所78,666人
柔道整復の施術所数と就業柔道整復師数

出典: 厚生労働省『令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』(2025年)

柔道整復の施術所数の推移
出典: 厚生労働省『衛生行政報告例』

療養費の総額が減り、施術所の数は高止まりしている——単純に割れば1院あたりの保険収入は細りやすい構造です。さらに2026年7月施術分からの改定では2部位目の逓減が入り、2027年1月からは長期・多部位の患者が償還払いへの変更対象に加わるなど、保険の請求ルールは年々厳しくなっています(詳しくは整骨院の保険請求の仕組み|療養費の対象・受領委任・2026年の改定点)。経営悪化のパターンは整骨院が廃業する理由と回避策でも整理しています。

動画で紹介されている元・保険中心の一人接骨院の事例でも、開業当初は保険で一定の売上があったものの徐々に落ち込み、保険請求のあり方を知人から指摘されたことや近隣院の閉院に危機感を覚えたことが、自費化を決意するきっかけになったと語られています(出典: YouTube「接骨院完全自費移行で60万 ⇒ 稼働率3割・130万へ」(治療院集客経営チャンネル【セラピストサポート】、2022年10月公開))。

保険と自費の併用ルールと注意点:受領委任の取扱規程で決まっていること

部分移行では、同じ院で保険施術と自費施術を並行して行います。ここで注意したいのが、受領委任を取り扱う施術所が守る「受領委任の取扱規程」です。自費施術そのものを禁止する規定はありませんが、保険の患者から受け取るお金と記録のルールが細かく決まっています。

規程の項目定められている内容(要旨)自費を併用するときの実務
18 療養費の算定、一部負担金の受領等算定基準で算定した額を保険者に請求し、患者からは一部負担金を受け取る。一部負担金は減免・超過徴収をしない。請求に当たって他の療法に係る費用を請求しない「保険の患者は自費メニュー割引」「自費を受けたら窓口負担を無料」はNG。保険の請求に自費の施術を混ぜない
19 領収証の交付一部負担金を受けるときは領収証を無償で交付し、求められたら項目ごとの明細書を交付保険分と自費分の領収証・明細を分け、患者が何にいくら払ったか分かるようにする
21 施術録の記載受領委任に係る施術の施術録はその他の施術録と区別して整理し、施術完結日から5年間保存自費施術のカルテは保険の施術録と分けて管理する
24 施術の方針療養費の支給対象など請求上の注意事項を患者に説明。施術は療養上必要な範囲・限度で行う初診時に「どこまでが保険、どこからが自費か」を説明し、同意を得てから自費に入る
受領委任の取扱規程のうち、自費併用で関係する主な項目

出典: 厚生労働省 保険局長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正について』(保発0524第2号)(2018年)。規程は令和8年6月1日付けの保発0601第5号でも一部改正されています(厚生労働省 保発0601第5号、2026年)。

やってはいけない3つのパターン

  • 保険の対象外の症状を保険で請求する:慢性の肩こり・疲労を「捻挫」などとして請求するのは不正請求に当たります。自費メニューは、この対象外の領域を正しく受け止めるためのものです
  • 一部負担金の割引で集客する:「保険施術の窓口負担0円」「自費とセットで保険分を値引き」は、一部負担金の減免に当たります
  • 保険と自費の区別があいまいな会計:同じ日に両方を受けた患者の領収証・施術録が混ざっていると、照会や指導の際に説明できません

迷うケース(同じ日に同じ部位へ保険施術と自費の物理療法を行うなど)は、自己判断せず、所属する請求団体や地方厚生(支)局に確認してください。請求業務の効率化は接骨院のレセコン比較も参考になります。

自費移行の目的は「保険でできないことを、正しく自費で引き受ける」こと。保険請求を自費の割引原資にしたり、対象外の症状を保険に寄せたりすると、受領委任の取扱いそのものを失うおそれがあります。

自費メニューの設計:資格・症状・ターゲットの3軸で決める

自費メニューは「流行っているから」で選ぶと、機器の投資だけが残りがちです。次の3つの軸で、自院が引き受けられる範囲を先に決めましょう。

  1. 資格で決まる範囲:鍼・灸はもちろん、あん摩・マッサージ・指圧も、医師以外が業として行うにはあん摩マッサージ指圧師などの免許が必要です(あはき法第1条)。柔道整復師だけの院で「マッサージ」をメニュー名に掲げるのは避けましょう
  2. 症状で決まる範囲:保険の対象外になる慢性症状・姿勢・疲労などのうち、自院の技術で継続的に改善を支援できるもの
  3. ターゲットで決まる範囲:産後の女性、デスクワーカー、スポーツをする学生など、来院してほしい人を絞り込む

出典: 全国健康保険協会『柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方』/e-Gov法令検索『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』第1条

メニューの型例必要な資格・投資向いている院
手技・整体系姿勢の調整、骨格・筋のバランス調整柔道整復師の手技の延長。機器投資は小さい一人院・小規模院
運動療法・トレーニング系ストレッチ指導、体幹トレーニング、再発予防プログラムスペースと指導スキル。継続課金にしやすいスポーツ・中高年の利用が多い院
物理療法(機器)系保険外で行う機器施術機器の購入・リース費用。回収期間の試算が必須設備投資の余力がある院
鍼灸・あん摩マッサージ系鍼灸、マッサージはり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の免許有資格スタッフがいる院
特化型(症状・対象を絞る)首・肩専門、産後専門、自律神経の悩み専門知識と発信力。専門性の打ち出し完全自費をめざす院
自費メニューの主な型(料金は地域・院により異なるため記載しない)

動画で紹介された一人接骨院の事例では、メニューを増やすのではなく「首専門」「他院で改善しなかった重症の人」「自律神経系の深い悩みを持つ人」にターゲットを絞り込んだことで、半年ほどで完全自費への移行を進められたと語られています(出典: YouTube「接骨院完全自費移行で60万 ⇒ 稼働率3割・130万へ」(治療院集客経営チャンネル【セラピストサポート】、2022年10月公開))。自費の患者は「どこでもいい」ではなく「ここで治したい」と考えて来院するため、何の専門家なのかを明確にするほど選ばれやすくなります。

自費メニューの単価・料金の決め方:目標売上から逆算する

自費の料金相場について、公的な統計はありません。競合院の料金表を横目に「周りより少し安く」決めてしまうと、施術人数を増やすしかなくなり、保険中心の働き方と変わらなくなります。料金は相場からではなく、自院の目標から逆算するのが基本です。

自費単価の逆算手順 出典: YouTube「【整骨院】単価はどうやって決めたらいいの?」(一般社団法人整骨院自費移行推進協会、2014年06月公開)の解説をもとに編集部作成
自費単価の逆算手順 出典: YouTube「【整骨院】単価はどうやって決めたらいいの?」(一般社団法人整骨院自費移行推進協会、2014年06月公開)の解説をもとに編集部作成

自費移行の支援団体の解説動画では、①月の目標売上(必要経費と目標の手取り)を決め、②稼働日数で割って1日の目標を出し、③1日に診たい人数で割って1人あたりの単価を出し、④施術時間で割った「分単価」で働き方を確かめる、という順番が紹介されています。あわせて、メニューと単価は遠慮せずに自分の理想から決めてよいこと、「その金額は取れない」と諦めるのではなく「取るための方法」を考えることが強調されています(出典: YouTube「【整骨院】単価はどうやって決めたらいいの?」(一般社団法人整骨院自費移行推進協会、2014年06月公開))。

下の表は、この手順に沿って編集部が仮の数字を置いて計算した例です(統計や相場ではありません)。

パターン月の目標売上稼働日数1日の目標1日の施術人数1人あたり単価1人の施術時間1日の施術時間
A:人数型80万円24日33,333円10人3,333円40分6時間40分
B:バランス型80万円22日36,363円8人4,545円50分6時間40分
C:高単価型80万円20日40,000円5人8,000円60分5時間00分
単価の逆算・計算例(編集部の仮定による試算。料金相場ではありません)

同じ月80万円でも、Aは1日6時間40分を施術に使い、Cは5時間で済みます。受付スタッフのいない一人院では、会計・領収書・税理士への資料準備、ニュースレターやホームページの更新、広告運用、技術の勉強といった施術以外の仕事に多くの時間が取られることが、先の動画でも指摘されています(出典: YouTube「【整骨院】単価はどうやって決めたらいいの?」(一般社団法人整骨院自費移行推進協会、2014年06月公開))。施術時間だけで1日が埋まる設計では、集客や改善に手が回らず、結局は単価を維持できなくなります。

単価を決めるときのチェックポイント

  • 原価を入れる:家賃・リース・人件費・広告費・消耗品を月額に直し、目標売上に含める(開業時の費用の考え方は接骨院の開業費用と届出の流れ)
  • 時間で割る:分単価が保険施術時代より下がっていないか確認する
  • 回数と期間を決める:改善までの目安回数を示し、1回券と回数券(コース)の両方を用意する
  • 安易に値下げしない:一度下げた単価は戻しにくい。値引きより初回の説明・検査の質で選ばれる設計にする
  • スタッフの給与と連動させる:自費比率が上がるほど技術職の評価がしやすくなる(給与水準は柔道整復師の給料・年収の実態)

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

自費の患者に選ばれる院内環境:「保険院らしさ」を見直す

料金を決めても、院の見た目や雰囲気が保険中心のままだと、自費の料金に見合う価値が伝わりません。自費移行をめざす一人整骨院を訪ねた経営支援者の動画では、次のような点が具体的に指摘されています(出典: YouTube「【必見】熊本で自費移行を目指す一人整骨院に行ってみたけど…|治療院経営ラボ」(治療院経営ラボ、2025年01月公開))。

場所見直すポイント理由
外観・入口のぼりの撤去、傷んだ看板や外壁の補修、急な階段の案内・補助保険中心の院の印象が強く、膝や足の悪い患者には入口自体が負担になる
受付受付から見えるカルテ棚を隠す、免許証を掲示する個人情報への配慮と、国家資格者としての信頼感
物販サプリや健康食品は目立つ場所に並べず、希望者にだけ案内する「売りつけられた」と受け取られ、口コミで低評価につながりやすい
施術スペースベッドを並べた大部屋から、仕切り・個室でプライバシーを確保。カーテンなどの色を統一自費の患者は一人ひとりに向き合う時間を求めている
施術内容電気機器に頼る流れから、検査・説明・手技を中心にした流れへ自費の患者は「何をされたか」「なぜ良くなるか」を重視する
自費移行で見直したい院内環境(動画で指摘された例を編集部で整理)

一方で、別の動画で紹介された完全自費の接骨院は、看板の名称を「接骨院」のまま変えずに保険の取扱いをやめ、自費のみで運営しています(出典: YouTube「接骨院完全自費移行で60万 ⇒ 稼働率3割・130万へ」(治療院集客経営チャンネル【セラピストサポート】、2022年10月公開))。外観の全面改装より先に、誰の何を解決する院なのかが伝わることのほうが重要だと言えます。

失敗しない自費移行の手順:段階的に進める5ステップ

いきなり保険の取扱いをやめると、既存患者が一気に離れ、売上の谷を越えられないことがあります。保険の患者を大切にしながら、自費の比率を段階的に高めるのが現実的です。

自費移行の5ステップ(目安)
  • STEP1
    現状の数字を把握
    保険と自費の売上比率、患者の来院理由、1人あたりの施術時間を1〜3か月分集計する
  • STEP2
    対象とメニューを決める
    保険の対象外で困っている患者層から、専門にする症状・ターゲットを1〜2つ選ぶ
  • STEP3
    単価と回数を逆算
    目標売上・稼働日数・施術人数から単価を決め、改善までの目安回数とコースを設計する
  • STEP4
    説明と見せ方を整える
    保険と自費の違いの説明書、料金表、ホームページ、院内環境を整える
  • STEP5
    比率を上げて検証
    新規は自費から案内し、保険の患者には対象外の症状を説明して自費を提案。毎月の比率と継続率を確認する

よくある失敗例

失敗例起きること防ぎ方
料金を周辺院に合わせて安く設定人数を増やすしかなく、施術以外の時間がなくなる目標売上から逆算した単価にする
機器を先に購入リース料が固定費になり、回収前に資金が尽きる回収期間を試算し、手技中心のメニューから始める
保険の患者に自費を強く勧める「売りつけられた」と口コミで評価が下がる保険と自費の範囲を説明し、患者が選べるようにする
一部負担金の値引きで集客受領委任の取扱規程に違反するおそれ保険と自費の会計・施術録を分ける
一気に完全自費へ切り替え既存患者が離れ、売上の谷が深くなる新規から自費に切り替え、段階的に比率を上げる
自費移行のよくある失敗と防ぎ方

先の完全自費の事例では、売上の最大化ではなく、あえて予約枠の稼働を抑えて家族やプライベートの時間を確保する働き方を選んだことが語られています(出典: YouTube「接骨院完全自費移行で60万 ⇒ 稼働率3割・130万へ」(治療院集客経営チャンネル【セラピストサポート】、2022年10月公開))。自費移行のゴールは院ごとに違ってよく、「どんな働き方をしたいか」を先に決めておくと、単価やメニューの判断がぶれにくくなります。フランチャイズの仕組みを使う選択肢は接骨院のフランチャイズ加盟と独立開業の比較で比較しています。

回数券・前払いコースの注意点:資金決済法の「6か月」と「1,000万円」

自費メニューを回数券やプリペイドで販売する場合、資金決済法の「前払式支払手段」に当たる可能性があります。自院でだけ使える回数券は「自家型」と呼ばれ、ルールは次のとおりです。

項目内容
適用除外発行の日から一定の期間内に限り使用できるものは対象外。その期間は政令で6か月と定められている
届出が必要になるとき毎年3月31日・9月30日(基準日)の未使用残高が、発行開始後に初めて基準額を超えたとき
基準額1,000万円(政令で規定)
届出後の主な義務未使用残高に応じた発行保証金の供託などによる資産保全
自家型前払式支払手段(回数券・プリペイド)の主なルール

出典: e-Gov法令検索『資金決済に関する法律』第3条・第4条・第5条、『前払式支払手段に関する政令』第4条・第6条

有効期限を発行日から6か月以内にすれば資金決済法の規制はかかりません。それより長い期限にする場合は、基準日ごとに未使用残高を把握しておきましょう。また、広告ガイドラインではホームページに回数券・プリペイドの内容と契約条件を掲載すべき事項としているため、有効期限・返金の可否・譲渡の可否は料金表と一緒に明示しておくとトラブルを防げます。出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年)

患者への説明:自費施術は医療費控除の対象になる?

自費を案内すると、患者から「確定申告の医療費控除に使えますか」と聞かれることがあります。国税庁によると、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師による施術の対価は医療費控除の対象になりますが、疲れを癒す、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。出典: 国税庁『No.1122 医療費控除の対象となる医療費』(令和8年4月1日現在法令等)

つまり、保険か自費かではなく「治療のための施術かどうか」で判断されます。院から「控除の対象になります」と断定するのは避け、領収証に施術内容が分かる記載をしたうえで、判断は税務署や国税庁のタックスアンサーで確認してもらうよう案内するのが安全です。

自費メニューの料金表示と広告の注意点

自費メニューを作ったら、どこに何を書けるかも確認が必要です。柔道整復師法第24条の広告規制により、看板・チラシ・ネット広告には施術方法や料金は書けません。一方、自院のホームページは原則として広告規制の対象外で、ガイドラインでは自費施術の内容と通常必要な費用、回数券の契約条件、主なリスク・副作用を掲載すべき事項としています。出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年)

また、「通常1万円のところ初回3,000円」といった二重価格表示は、実際に通常価格で販売した実績がなければ景品表示法の有利誤認に当たるおそれがあります(消費者庁『景品表示法』)。広告で使える表現の詳細は整骨院の広告規制とガイドライン、集客導線の作り方は接骨院の集客方法で解説しています。

接骨院の自費移行に関するよくある質問

Q
接骨院で保険と自費を同じ日に行ってもいいですか?
A

保険の対象となる外傷の施術と、保険の対象外の症状への自費施術を区別して行うこと自体は禁止されていません。ただし受領委任の取扱規程により、一部負担金の減免・超過徴収はできず、請求に他の療法の費用を含めることもできません。領収証と施術録を分け、迷うケースは請求団体や地方厚生(支)局に確認しましょう。

Q
自費メニューの料金相場はいくらですか?
A

接骨院の自費料金について公的な統計はなく、地域や施術内容で大きく異なります。相場に合わせるより、月の目標売上・稼働日数・1日の施術人数・施術時間から1人あたりの単価を逆算し、施術以外の業務時間が確保できるかで確認する方法がおすすめです。

Q
柔道整復師だけの接骨院でマッサージや鍼を自費メニューにできますか?
A

できません。あはき法第1条により、医師以外があん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうを業として行うには、それぞれの免許が必要です。柔道整復師のみの院では、手技による調整や運動指導など、資格の範囲内でメニューを組み立てましょう。

Q
回数券を販売するのに届出は必要ですか?
A

自院だけで使える回数券は、発行の日から6か月以内に限り使えるものであれば資金決済法の対象外です。6か月を超える期限にする場合、3月31日・9月30日時点の未使用残高が初めて1,000万円を超えたときに届出が必要になります。

Q
完全自費に移行したら接骨院という名称は使えなくなりますか?
A

保険の取扱いをやめても、柔道整復師が施術所を開設している限り施術所であることに変わりはありません。実際に看板を「接骨院」のまま完全自費で運営している事例もあります。ただし看板やチラシに書ける内容は柔道整復師法第24条で限られている点は同じです。

まとめ:自費移行は「線引き・逆算・見せ方」の順で進める

柔道整復療養費が減り続け、施術所数が約5万か所で横ばいの今、保険だけに頼る経営は年々難しくなっています。自費移行では、まず保険の対象(外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷)と対象外を正しく線引きし、受領委任の取扱規程に沿って会計と施術録を分けることが出発点です。

そのうえで、目標売上から単価を逆算し、施術以外の時間を確保できる働き方を設計し、自費の患者に選ばれる院内環境と説明を整える。回数券の有効期限や医療費控除の説明、ホームページへの料金・条件の掲載まで押さえれば、保険請求のリスクを抱えずに自費の柱を育てられます。スタッフ採用で自費の体制を強化したい場合は接骨院の求人の出し方、資格の範囲を確認したい場合は整体院の開業に必要な資格と届出も参考にしてください。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

参考・出典

一次情報(参照日:2026年10月3日)

参考動画(現場の解説として参照。数値・制度は上記の一次情報で確認)

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