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整骨院の広告規制とガイドライン|2025年厚労省通知のOK・NG表現と罰則

整骨院の広告規制とガイドライン 業界コラム
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「ホームページに『腰痛』と書いていいのか」「看板の『各種保険取扱い』は大丈夫か」「InstagramでビフォーアフターはNG?」——整骨院・接骨院の院長やスタッフから、広告の表現に関する相談は後を絶ちません。2025年2月18日に厚生労働省が「あはき・柔整広告ガイドライン」を通知し、これまで自治体ごとに判断が分かれていた表現について、国としての具体的な例示が示されました。

結論から言うと、整骨院の看板・チラシ・ネット広告に書けるのは、柔道整復師法第24条と告示で認められた「柔道整復師である旨・氏名」「施術所の名称・電話番号・所在地」「施術日・施術時間」「ほねつぎ(接骨)」「医療保険療養費支給申請ができる旨」「予約・休日夜間・出張・駐車場」などに限られます。症状名(肩こり・腰痛)、施術方法(骨盤矯正)、効果、経歴、比較(No.1)は、看板やチラシなどの「広告」には書けません。一方、自院のホームページは原則として広告規制の対象外ですが、ガイドラインで「掲載すべきでない事項」が定められ、景品表示法など他の法律は重ねて適用されます。

この記事では、厚生労働省のガイドライン本文と柔道整復師法・景品表示法の一次情報をもとに、広告の定義、書いていい表現とNG表現、ホームページ・SNSの扱い、違反したときの行政指導と罰則までを、院の現場でそのまま使えるチェック表の形で整理します。開業準備中の方は接骨院の開業費用と届出の流れもあわせてご覧ください。

この記事の要点:①広告できるのは柔道整復師法第24条+告示の列挙事項だけ(症状名・施術法・効果・経歴・比較はNG) ②広告に当たるかは「誘引性・特定性・認知性」の3要件で判断し、施術所だけでなく広告代理店やインフルエンサーも対象 ③自院ホームページは原則広告外だが「絶対治る」「加工したビフォーアフター」「No.1」などは掲載すべきでない ④違反は行政指導→告発→30万円以下の罰金→受領委任の取扱いで地方厚生局へ通知 ⑤景品表示法は2024年10月から優良誤認・有利誤認に100万円以下の直罰

整骨院の広告規制とは?柔道整復師法第24条と広告ガイドライン

整骨院(接骨院)の広告規制の根拠は、柔道整復師法第24条です。条文は「柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない」と定めています。つまり、一般の商売のように「書いてはいけないこと」が決まっているのではなく、「書いていいこと」だけが列挙され、それ以外はすべて広告できないという「ポジティブリスト方式」です。

さらに同条第2項は、広告できる事項であっても「柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない」と定めています。院長の経歴や得意な手技をアピールしたい気持ちは自然ですが、法律上は広告できない情報です。

この条文は昭和45年の法律で、運用の細かい基準は長く自治体ごとの判断に委ねられてきました。そこで厚生労働省は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」を2018年5月から11回開き、2025年2月18日付の医政局長通知(医政発0218第1号)で「あはき・柔整広告ガイドライン」を示しました。ガイドラインは医療広告ガイドラインを参考にしつつ、医療と紛らわしい表記を認めないことや、ネット上のウェブサイトの適切なあり方、無資格者の広告まで対象を広げています。出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドラインの概要』(2025年)

あはき・柔整広告ガイドラインができるまで
  • 2018年5月
    第1回 検討会
    広告の現状と課題についてフリーディスカッション。自治体への実態調査結果も報告
  • 2019年2月
    第5回 検討会
    景品表示法の概要について消費者庁からヒアリング
  • 2023年2月
    第9回 検討会
    施術所の名称(「業態名+治療院」「整骨院」)等について議論
  • 2024年5〜7月
    第10回・第11回 検討会
    名称「整骨院」の議論と、ガイドラインに記載する内容(案)の取りまとめ
  • 2025年2月18日
    ガイドライン通知
    厚生労働省医政局長通知(医政発0218第1号)として都道府県・保健所設置市・特別区へ通知

出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドラインの概要』(2025年)

動画で通知を解説している柔道整復師向けチャンネルでは、ガイドラインが40ページを超える分量であることに触れつつ、「知らなかった」では済まされない内容なので一度は本文に目を通すべきだと強調されています(出典: YouTube「【あはき・柔整】広告ガイドライン≪無資格者も≫11分完全解説 070218厚労省医政局通知」(柔道整復塾、2025年02月公開))。本記事は、その本文から整骨院の実務に関係する部分を抜き出して整理したものです。

広告規制の対象になるもの・ならないもの|3要件で判断

ガイドラインでは、次の3つの要件をすべて満たすものを「広告」と判断します。

  1. 誘引性:利用者を施術所に誘引する意図があること
  2. 特定性:施術者の氏名または施術所の名称が特定できること
  3. 認知性:一般人が認知できる状態にあること

「これは広告ではありません」と書き添えても、実質的に3要件を満たせば広告として扱われます。また、病人が回復して元気になる姿のイラストや、「katakorinaoru」のように効果を連想させるURLなど、暗示的・間接的な表現も広告に含まれるとされています。出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドラインの概要』(2025年)

広告に当たるかの判定(3要件) 出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』をもとに編集部作成
広告に当たるかの判定(3要件) 出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』をもとに編集部作成

規制されるのは院長だけではない——「何人も」の意味

第24条は「何人も」と定めているため、施術所だけでなく、マスコミ、広告代理店、いわゆるインフルエンサーやアフィリエイターも規制の対象になります。広告会社に任せたチラシやWeb広告でも、違反の責任から逃れられるわけではありません。ガイドラインは、広告と気付かれないように行うステルスマーケティングも、施術所が費用を負担して掲載を依頼しているなど3要件を満たせば広告として扱うと明記しています。出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン(広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針)』(2025年)

経営者向けの解説動画では、Instagramのインフルエンサーに対価を払って紹介してもらう「案件投稿」や、プレゼントと引き換えに書いてもらう口コミが、現場で見落とされやすい落とし穴として繰り返し取り上げられています(出典: YouTube「【2025】あはき・柔整広告ガイドライン 摘発されないためのチェックポイントを解説!|治療院経営ラボ」(治療院経営ラボ、2025年04月公開))。ガイドライン上も、施術所の依頼や謝礼に基づく体験談・手記は「誘引性」ありと判断され、体験談は広告可能な事項ではないため広告できません。

広告に当たる媒体・当たらない媒体

区分具体例扱い
広告に当たる媒体看板、チラシ、ポスター、ダイレクトメール、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ、バナー広告、リスティング広告(検索連動型広告)、動画広告、SNS広告、施術所紹介(仲介)サイトの有料掲載ページ3要件を満たせば広告。書けるのは列挙事項のみ
SNSでの書き込み院のアカウントの公開投稿、公開範囲を限った投稿公開範囲が限られていても、拡散により一般人が認知し得るため3要件を満たせば広告
原則広告とみなさないもの自院のホームページ(ウェブサイト)、学術論文・学会発表、新聞・雑誌の記事、利用者が自発的に書いた体験談、院内で掲示・配布するパンフレット、利用者の求めに応じて送るパンフレットやメール広告規制の対象外。ただしホームページは「掲載すべきでない事項」あり。体験談も院の依頼・謝礼があれば広告
出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン(広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針)』(2025年)。表の整理は編集部

施術所の告知手段全体の組み立て方は接骨院の集客方法、SNS広告の具体的な運用は接骨院のSNS広告の運用で解説しています。いずれも、本記事の規制ルールを前提に読み替えてください。

整骨院の広告で書いていい表現|広告可能事項の一覧

柔道整復師法第24条第1項と、同項第4号に基づく告示(平成11年厚生省告示第70号)で広告が認められている事項は次のとおりです。ガイドラインは、これらを利用者に分かりやすく言い換えることや、写真・イラストで表現することは可能としています。

広告できる事項(根拠)OKな書き方の例NGになりやすい書き方
柔道整復師である旨・氏名・住所(法24条1項1号)柔道整復師(国家資格保有) 院長 ○○○○整体師・カイロプラクター等の民間資格、外国の類似資格、経歴(○○大学卒、○○先生に師事、有名人のトレーナー)
施術所の名称・電話番号・所在地(法24条1項2号)○○接骨院、○○接骨院・○○鍼灸院(併設の場合)、最寄駅からの道順・所要時間、案内図、フリーダイヤルである旨○○クリニック、メディカル、リハビリ、交通事故専門、骨盤矯正、○○サロン、○○センター、電話番号の語呂合わせ「1374(痛みなし)」
施術日・施術時間(法24条1項3号)受付時間、施術曜日、休日(休療日)、初検・再検・往療診療時間、診察中、休診日、初診・再診・往診など「診」の字
ほねつぎ(又は接骨)(告示1号)ほねつぎ、接骨—
施術所開設の届出をした旨(告示2号)○月○日 ○○県 開設届出済厚生労働省認可、都道府県知事認定・指定、「届出済みの優良施術所」
医療保険療養費支給申請ができる旨(告示3号)医療保険療養費支給申請ができます(脱臼・骨折の患部の施術は医師の同意が必要)各種保険取扱い、労災保険取扱い、交通事故取扱い、「どんな方も保険が使えます」
予約に基づく施術(告示4号)予約優先、メール予約受付—
休日・夜間の施術(告示5号)日曜・祝日も施術、平日20時まで受付実態のない「年中無休」「24時間施術」
出張による施術(告示6号)出張可能な範囲・地域、対応時間、訪問施術の実施訪問診療、往診
駐車設備(告示7号)駐車場の有無・場所・台数・料金、駐車場の写真実際は有料なのに「無料駐車場あり」
出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン(広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針)』(2025年)(Ⅲ 広告可能な事項の具体的な内容、Ⅳ 禁止される広告)。表の整理は編集部

保険の書き方は「医療保険療養費支給申請ができる旨」

看板でよく見る「各種保険取扱い」「健康保険取扱い」は、ガイドラインで広告不可の例として明示されています。広告できるのは「医療保険療養費支給申請ができる旨」で、整骨院の場合は「脱臼又は骨折の患部の施術に係る申請については医師の同意が必要な旨」を明示する場合に限られます。あわせて「外傷性が明らかな骨折、脱臼、打撲、捻挫等が医療保険療養費支給申請の対象であること」も併記するよう求められています。利用者に分かりやすく「医療保険により施術費用の一部負担で施術を受けることができます」と言い換えることは可能です。出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドラインの概要』(2025年)

「筋肉痛や肩こりには保険が使えない」という前提を知らない利用者は多く、「どんな方も保険が使えます」は誇大広告の例として挙げられています。療養費の対象や受領委任の仕組みは整骨院の保険請求の仕組みで詳しく解説しています。

施術所の名称で注意すべきこと

ガイドラインは、名称から「国家資格保有者による業態であること」「都道府県に届け出た適法な施術所であること」「医療機関と紛らわしくないこと」が分かる必要があるとしています。英語にしたり、同じ意味の別の言葉に置き換えたりしても不可で、看板・掲示物・装飾など施術所外への表示も同様です。広告不可の名称として、診療所・クリニック・メディカル・リハビリなど医療機関と紛らわしいもの、整体・カイロプラクティック・リラクゼーションなど他業態と紛らわしいもの、「○○鍼灸接骨院」のように施術業態が混ざったもの、女性専門・スポーツ・交通事故専門など対象を限定するもの、骨盤矯正・小顔矯正など効能を含むもの、「○○堂」「○○センター」「サロン」など施術所と分かりにくいものが例示されています。出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン(広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針)』(2025年)

なお、「整骨院」という名称の扱いは検討会の第9回〜第11回で議題になりましたが、ガイドラインの広告可能な名称の例には「○○接骨院・鍼灸院」のような形が示されるにとどまります。告示で広告可能とされている語は「ほねつぎ(又は接骨)」です。新規開業や看板の掛け替えで「整骨院」を使う場合は、開設届を出す管轄の保健所に事前に確認するのが確実です。出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドラインの概要』(2025年)

現場の解説では、こうしたルールを「寿司屋なのに『寿司屋』としか名乗れず、こだわりのシャリやネタを看板に書けないようなもの」とたとえ、差別化が難しくなる不満も語られています(出典: YouTube「【2025】あはき・柔整広告ガイドライン 摘発されないためのチェックポイントを解説!|治療院経営ラボ」(治療院経営ラボ、2025年04月公開))。ただし、ルールへの賛否とは別に、看板・チラシは列挙事項だけで作り、施術の特徴は院内掲示やホームページ(後述の範囲内)で伝える、と割り切るのが現実的です。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

整骨院の広告で使えないNG表現|禁止される広告の5類型

ガイドラインは、広告可能な事項についての広告であっても、次の広告は「適切ではなく、広告すべきでない」としています。ホームページにも同じ考え方が当てはまる表現が多いため、チラシとサイトの両方で点検しましょう。

類型NG表現の例(ガイドラインの例示)考え方
技能・施術方法・経歴(法24条2項)慢性病の根本治療、難病治療の専門、高い技術、○○流接骨術、痛くない鍼、○○療法の第一人者に師事、有名人のトレーナー法律で一切認められていない
虚偽広告実際は土日休みなのに「年中無休」、深夜受付がないのに「24時間施術」、「厚生労働省認可施術所」、有料なのに「無料駐車場あり」事実と違う。届出制なので「認可・許可」も事実と相違
誇大広告どんな方も医療保険療養費支給申請ができます、知事へ届出済みの優良施術所です当然の事実を強調して特別な施術所と誤認させる
比較優良広告県内で唯一○○に対応、出張施術はここだけ、日本一、No.1、最高客観的事実でも優秀性は広告できない
品位を損ねる広告保険適用でとってもお得に施術が受けられます!!、交通事故無料、今だけ駐車料金2時間無料キャンペーン費用の安さや得を過度に強調して誘引
出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン(広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針)』(2025年)(Ⅳ 禁止される広告)

特に「交通事故無料」「自己負担0円」は、交通事故の患者を集めたい院でよく見られる表現です。自賠責保険の扱いを含め、患者側の通院の流れは交通事故のむちうちで整骨院に通う流れで整理していますが、広告では費用の強調そのものが問題視される点に注意が必要です。

ある経営者向けの動画では、これらのNG例を「電話番号の語呂合わせ」「ロゴやイラストで腰痛を連想させる」「URLに症状名を入れる」といった、文字以外の部分まで細かくチェックすべきだと解説しています(出典: YouTube「【2025】あはき・柔整広告ガイドライン 摘発されないためのチェックポイントを解説!|治療院経営ラボ」(治療院経営ラボ、2025年04月公開))。ガイドライン本文でも、語呂合わせの電話番号やURLの例が明示されているため、看板・名刺・ドメインまで含めて見直しましょう。

ホームページ・SNSの広告規制|「掲載すべきでない事項」と「掲載すべき事項」

自院のホームページは、利用者が自ら検索・URL入力して閲覧するものであるため「認知性」を満たさず、ガイドラインでも原則として広告とはみなさないと整理されました。ただし、ネットでの情報収集が一般的になった現状を踏まえ、ガイドラインはウェブサイトの適切なあり方を定め、関係団体等の自主的な取り組みを促しています。

注意したいのは、次のものはホームページであっても広告として扱われる点です。

  • 検索サイトでスポンサーとして表示されるリスティング広告、バナー広告と、そこからリンクされたページ
  • 費用を払って検索結果の上位に表示させているもの
  • 公開範囲を問わず、3要件を満たすSNSの書き込み
  • 施術所が掲載料を払っている紹介(仲介)サイト・口コミサイト、ランキングの基準が恣意的なもの

出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン(広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針)』(2025年)

区分内容(ガイドラインの例示)
掲載すべきでない:虚偽・証明できない内容絶対安全な施術です、絶対に治る施術、どこへ行っても治らなかった方へ、根本治療、○○に効きます、治癒率○%、満足度○%、改善率○%以上、たった1回で効果を実感、顧客満足度No.1、加工・修正したビフォーアフター写真
掲載すべきでない:比較・優良誤認日本一、No.1、最高、口コミサイトで1位を獲得、全国優良○○院、○○にも掲載された、著名人も施術を受けています、謝礼を払って書いてもらった地図サイトの口コミ
掲載すべきでない:誇大・都合の良い情報の強調実態のない団体の認定資格の強調、撮影条件を変えたビフォーアフター、都合の良い感想だけを選んだ体験談
掲載すべきでない:あおり・費用の強調こんな症状が出ていたら今すぐ来院を、根拠の乏しい情報で不安をあおる表現、費用の安さの過度な強調
掲載すべき事項問い合わせ先、自費施術の内容と通常必要な費用、回数券・プリペイドの内容と契約条件、自費施術の主なリスク・副作用
出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン(広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針)』(2025年)(Ⅵ インターネット上のウェブサイト等)

つまり、ホームページでは症状の説明や施術の流れを書くこと自体は禁止されていませんが、「効果の保証」「比較」「加工したビフォーアフター」「謝礼付きの口コミ」は書くべきでないとされています。そのうえで、自費メニューの料金・リスク・回数券の契約条件はむしろ掲載すべき事項とされている点が、看板やチラシとの大きな違いです。

ガイドライン(案)の段階から解説してきた鍼灸師の動画では、ガイドライン自体は自主的な取り組みを促す位置づけで強制力が弱いと指摘する一方、ホームページやSNSの誇大な表示は景品表示法によって直接処分される可能性があるとして、早めの是正を呼びかけています(出典: YouTube「【無資格整体】対策加速!でも課題は?あはき・柔整広告ガイドライン(案)」(一聖鍼灸指圧治療院 片山 聖士、2024年06月公開))。この点は次の章で一次情報に沿って確認します。

医療広告・景品表示法・薬機法との関係|重ねて適用される法律の比較

ガイドラインは、あはき・柔整の広告が柔道整復師法に加え、医療法、医薬品医療機器等法(薬機法)、景品表示法、不正競争防止法、健康増進法などの規制にも重ねて服すると明記しています。病院・クリニック向けの「医療広告ガイドライン」はあくまで医療機関向けで、整骨院に直接適用されるのは柔道整復師法と「あはき・柔整広告ガイドライン」ですが、考え方は医療広告ガイドラインを参考に作られています。

法律整骨院で問題になりやすい例主な処分・罰則
柔道整復師法 第24条列挙事項以外(症状名・施術法・経歴・比較)の看板・チラシ・ネット広告行政指導 → 告発 → 30万円以下の罰金(第30条)
景品表示法(優良誤認・有利誤認)「絶対治る」「改善率○%」など根拠のない効果表示、「今だけ半額」などの不当な二重価格措置命令・課徴金。2024年10月1日から優良誤認・有利誤認に100万円以下の罰金(直罰)
景品表示法(ステマ告示)院が依頼・謝礼をして書かせた口コミや紹介投稿を、広告と分からない形で掲載2023年10月1日から景品表示法違反(措置命令の対象)
医薬品医療機器等法院で販売するサプリ・健康器具の効能効果の広告承認外の効能効果の広告は禁止
出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年)、消費者庁『改正景品表示法の概要(令和6年10月1日施行)』(2024年)、消費者庁『ステルスマーケティングに関するQ&A』
広告違反の罰金の上限(法定刑)
出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年)、消費者庁『改正景品表示法の概要』(2024年)

罰金の額だけを見ると景品表示法のほうが重く、さらに景品表示法には措置命令や課徴金もあります。「ホームページは柔道整復師法の広告規制の対象外だから何を書いてもよい」という理解は誤りです。出典: 消費者庁『改正景品表示法の概要』(2024年)

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

整骨院の広告違反はどうなる?行政指導から受領委任への影響まで

ガイドラインでは、広告の指導は都道府県・保健所設置市・特別区(権限移譲を受けた市町村を含む)が行います。違反広告を見つけた場合の流れは次のとおりです。

広告違反の指導の流れ 出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年)をもとに編集部作成
広告違反の指導の流れ 出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年)をもとに編集部作成

ポイントは最後の段階です。罰金刑に至った施術者は、「違法な広告により患者を誘引してはならない」と定めた受領委任の協定・契約に違反したことになるため、管轄の都道府県と地方厚生局に通知されます。受領委任は、患者が窓口で一部負担金だけを支払い、残りを院が保険者に請求する仕組みで、整骨院の経営の土台です。広告違反が罰金だけで終わらず、保険施術の継続にかかわる可能性がある点は重く受け止める必要があります。出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン(広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針)』(2025年)

また、ガイドラインは自治体に苦情相談窓口を明確にし、消費生活センターなど消費者行政機関と連携するよう求めています。患者や同業者からの通報が指導のきっかけになることは十分にあり得ます。経営の継続リスク全般は整骨院が廃業する理由と回避策も参考にしてください。

ガイドライン以前から自治体の指導は行われていた

ガイドラインの議論に先立ち、厚生労働省は2018年に都道府県・特別区・保健所設置市を対象に、施術所の広告の指導実態を調査しました。144自治体のうち130自治体(90.3%)が回答し、看板やホームページで届出と異なる名称を使うこと、「整体」「東洋医学」など他業態の表記、電話番号のルビなどが指導事例として挙がっています。

施術所の広告に関する実態調査の回答状況(2018年)
出典: 厚生労働省 第1回広告検討会 資料3『あはき、柔整施術所等の広告に関する実態等』(2018年)

出典: 厚生労働省『あはき、柔整施術所等の広告に関する実態等』(第1回 広告に関する検討会 資料3、2018年)

整体院・リラクゼーション(無資格者)の広告はどう扱われる?

ガイドラインは、無資格者の行為に関する広告についても「適切な在り方」を定めました。無資格者の行為は国家資格が必要な柔道整復などとは異なるため、国家資格の業を行っていると誤認させる表示は不適切とされ、「腰痛」「膝の痛み」などの痛み症状や、慢性の「肩こり・疲労」に対する施術をうたうことは、広告やウェブサイトで表現すべきでないとされています。あん摩マッサージ指圧以外の行為を提供する場所で「マッサージ」という語を使うことも、誤認を与えるおそれがある例として挙げられています。出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン(広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針)』(2025年)

ただし無資格者については、関係団体等による自主的な取り組みを促す位置づけです。前出の鍼灸師の動画でも、強制力の弱さから自主的な是正は進みにくいとの見方が示されていました(出典: YouTube「【無資格整体】対策加速!でも課題は?あはき・柔整広告ガイドライン(案)」(一聖鍼灸指圧治療院 片山 聖士、2024年06月公開))。整骨院としては、近隣の整体院の表現に合わせるのではなく、国家資格者として許される範囲で正確に情報を出すことが、患者からの信頼と行政指導の回避の両方につながります。整体院の開業や資格の違いについては整体院の開業に必要な資格と届出で詳しく解説しています。

失敗しない広告チェックの手順|看板・チラシ・Webの5ステップ

  1. 媒体を仕分ける:看板・チラシ・リスティング広告・SNS広告・紹介サイトの有料ページは「広告」、自院ホームページは「掲載すべきでない事項」の対象、と分けて一覧にする
  2. 広告は列挙事項だけで作る:柔道整復師(国家資格保有)・院名・電話・所在地・受付時間・ほねつぎ(接骨)・医療保険療養費支給申請ができる旨・予約・休日夜間・出張・駐車場。それ以外の文言・イラスト・ロゴ・URLを外す
  3. 「診」「保険」「無料」を検索する:診療時間・休診日・往診、各種保険取扱い・交通事故取扱い、無料・0円・キャンペーンを置き換える(受付時間・休療日・往療、医療保険療養費支給申請ができます)
  4. ホームページの効果・比較表現を消す:絶対・根本・No.1・満足度○%・加工したビフォーアフター・謝礼付きの口コミを削除し、自費料金・回数券の条件・リスクを追記する
  5. 迷ったら保健所に相談する:ガイドラインは自治体に相談窓口の明確化を求めている。名称(「整骨院」など)や看板の掛け替えは開設届の窓口に事前確認

開業時は、施術所開設届の提出と看板・チラシの制作が同時期に重なります。開設届の流れと費用は接骨院の開業費用と届出の流れで確認し、看板の発注前に表現をチェックしておくと作り直しのコストを防げます。

整骨院の広告規制に関するよくある質問

Q
整骨院の看板に「肩こり」「腰痛」と書いてもいいですか?
A

書けません。柔道整復師法第24条と告示で広告できる事項に、症状名や適応症は含まれていません。看板・チラシ・ネット広告は「広告」に当たるため、広告可能な事項以外は記載できません。自院ホームページは原則として広告とはみなされませんが、効果を保証する表現などは掲載すべきでないとされています。

Q
ホームページは広告規制の対象外ですか?
A

原則として柔道整復師法の広告規制の対象外です。ただし、リスティング広告やバナー広告からリンクしたページ、費用を払って上位表示させたものは広告として扱われます。また、ガイドラインで「絶対治る」「No.1」「加工したビフォーアフター」などは掲載すべきでないとされ、景品表示法などの他の法律は重ねて適用されます。

Q
「各種保険取扱い」と書くのはNGですか?
A

NGです。ガイドラインでは「各種保険取扱い」「労災保険取扱い」「交通事故取扱い」は広告不可の例とされています。「医療保険療養費支給申請ができる旨」を、脱臼・骨折の患部の施術は医師の同意が必要な旨とあわせて表示します。

Q
Instagramやインフルエンサーの投稿も規制されますか?
A

対象になり得ます。柔道整復師法第24条は「何人も」と定めており、インフルエンサーやアフィリエイターも規制の対象です。院が依頼や謝礼をした投稿は誘引性があると判断され、SNSの書き込みは公開範囲が限られていても3要件を満たせば広告として扱われます。広告と分からない形なら景品表示法のステルスマーケティング規制にも抵触し得ます。

Q
広告ガイドラインに違反するとどうなりますか?
A

まず都道府県・保健所設置市などから中止や是正の行政指導を受けます。従わない場合や繰り返す場合は告発が検討され、罰則は30万円以下の罰金です。罰金刑に至ると受領委任の協定・契約違反として都道府県と地方厚生局に通知されます。

まとめ:整骨院の広告は「列挙事項だけ」、ホームページは「誤認させない」

整骨院の広告規制は、柔道整復師法第24条の「書いていい事項だけを列挙する」仕組みが基本です。2025年2月18日の「あはき・柔整広告ガイドライン」で、広告の3要件(誘引性・特定性・認知性)、書いていい表現とNG表現、名称のルール、ホームページ・SNSの扱い、違反時の指導の流れが具体的に示されました。

看板・チラシ・Web広告は列挙事項だけで作り、「診」「各種保険取扱い」「交通事故無料」「No.1」は使わない。ホームページでは効果の保証や加工したビフォーアフターを避け、自費料金やリスクを正確に載せる。景品表示法の直罰やステマ規制も踏まえ、迷ったら保健所に相談する——この3点を押さえれば、広告を理由に保険施術の継続を危うくするリスクは大きく下げられます。集客の全体設計は接骨院の集客方法もあわせてご覧ください。

参考・出典

一次情報(参照日:2026年10月2日)

参考動画(現場の解説として参照。数値・制度は上記の一次情報で確認)

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