PR

接骨院の名前の付け方と規制|整骨院は新規NG?使えない院名7類型

接骨院の名前の付け方と規制 業界コラム
記事内に広告(アフィリエイトリンク)が含まれています。

物件の契約が済み、内装の見積もりも出そろった。残っているのは看板に入れる院の名前だけ——開業準備で、ここで手が止まる柔道整復師は少なくありません。

名前は一度決めると、保健所への届出、看板、名刺、ホームページ、Googleの店舗情報まで、すべてに同じ文字列が入ります。後から変えるには費用も手間もかかる。

しかも施術所の名前は、柔道整復師法の広告制限と、2025年2月に厚生労働省が出したガイドラインの対象です。「整骨院」「スポーツ」「メディカル」など、街でよく見かける言葉の中にも、これから新しく付けるなら避けたほうがよいものがあります。以下、条文とガイドラインの原文に沿って、名前の決まりと届出までの段取りを順に見ていきます。

「○○整骨院」はこれから付けてもいいのか

開業相談で最初に出る問いがこれです。答えを先に書くと、新しく開く院は「接骨院」を選ぶのが無難です。

柔道整復師法第24条は、施術所について広告できる事項を限定列挙しています。その中の「厚生労働大臣が指定する事項」として告示に載っているのは「ほねつぎ(又は接骨)」で、「整骨」は告示にありません。厚生労働省の検討会資料も、告示の変遷(1970年の「ほねつぎ」、1972年の「接骨」追加)を示したうえで「『整骨』は、告示に規定されていない事項である」と整理しています。

出典: 厚生労働省『施術所の名称「整骨院」について』(第10回 広告に関する検討会 資料2、2024年5月)

この点を受けて、2023年2月の第9回検討会では「新規の『整骨院』を不可とすること」「既存の『整骨院』は施術所の移転や看板の掛け替え等を行わない限り当面の間猶予すること」の2点に異論が出なかった、と記録されています。ただし猶予期間の考え方は引き続き検討とされました。

出典: 厚生労働省『施術所の名称「整骨院」について』(第10回 広告に関する検討会 資料2、2024年5月)

一方で、2025年2月18日に出たガイドライン本文には「整骨院」という語が、広告可能な名称の例にも、不可の例にも出てきません。第11回検討会では「可能例に記載する」「不可例に記載する」「記載しない」の3案が示されており、最終的に本文には書かれない形で決着しています。

出典: 厚生労働省『「整骨院」に係るガイドライン上の取扱いについて』(第11回 検討会 資料3、2024年7月) / 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年2月)

書かれていないから使ってよい、とは読めません。告示に「整骨」がない以上、届出を受ける保健所が新規の「整骨院」に是正を求める余地は残ります。編集部は、新規開業で「整骨院」を選ぶ利点より、数年後に看板と届出を掛け替える危険のほうが大きいと考えています。

新規開業の名前は「○○接骨院」が基本。すでに「整骨院」で開設届を出している院は、移転・看板の掛け替え・名称変更の届出のタイミングで是正を求められる方向が示されています(第10回検討会資料)。

名前を縛る3つの決まり

院名を決めるときに関係する決まりは、大きく3つあります。法律が2本と、国の指針が1本です。

決まり名前に関する中身違反したとき
柔道整復師法 第24条施術所の名称は広告できる事項の一つ。ただし技能・施術方法・経歴にわたる内容は不可(同条2項)30万円以下の罰金(第30条)
医療法 第3条第1項病院・診療所でない場所に、病院・診療所・医院などに紛らわしい名称を付けてはならない医療法の罰則の対象
あはき・柔整広告ガイドライン(2025年2月)名称の3要件と、広告可能・不可な名称の例(ア〜ク)を具体的に列挙自治体の行政指導の根拠。従わなければ告発の検討へ
出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年2月)

ガイドラインは地方自治法に基づく「技術的助言」という位置づけで、それ自体に罰則はありません。ただ、自治体が行政指導をするときの物差しになり、指導に従わない、違反を繰り返す、といった場合には告発を検討するよう書かれています。罰金刑に至ると、受領委任の協定・契約違反として都道府県と地方厚生局にも通知される流れです。

出典: 厚生労働省医政局長通知『あはき・柔整広告ガイドラインについて』(2025年2月18日 医政発0218第1号) / 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年2月)

名称に求められる3つの条件

ガイドラインは、利用者が施術所を選ぶうえで名称は重要な情報だとして、名前から次の3点が分かることを求めています。

  • 国家資格保有者による、あはき・柔整の業態であること
  • 法令に基づき都道府県に届け出られた適法な施術所であること
  • 医療機関と紛らわしい名称を用いていないこと

出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年2月)

つまり「何の国家資格の施術所か」が名前から読み取れることが出発点です。おしゃれさや覚えやすさは、その枠の中で工夫することになります。

使える院名と使えない院名を一覧で確かめる

ガイドラインが示す例を、柔道整復の施術所に当てはめて整理しました。「不可」の欄は、英語にしたり同じ意味の別の言葉に言い換えたりしても不可で、看板・掲示物・装飾など施術所の外への表示も同じ扱いです。

区分ガイドラインの例接骨院での具体例
○ 業態名を付ける○○接骨院・鍼灸院、○○接骨院・○○鍼灸院(併設の場合)さくら接骨院/さくら接骨院・さくら鍼灸院
× 医療機関と誤解される○○診療所、○○治療室、メディカル、クリニック、リハビリ、ドックメディカル接骨院、○○リハビリ接骨院
× 他の業態と紛らわしいカイロプラクティック、整体、リラクゼーション、コンディショニング、サポート○○整体接骨院、コンディショニング○○
× 業態が混ざっている○○鍼灸接骨院、○○マッサージ接骨院はり灸接骨院(一つの名前にまとめる形)
× 対象者を限定するレディース、子ども、スポーツ、アスリート、美容、交通事故専門、むちうち専門○○スポーツ接骨院、交通事故専門○○接骨院
× 施術内容・効能を含む東洋医学、背骨専門、無痛治療、姿勢改善、小顔矯正、骨盤矯正骨盤矯正○○接骨院
× 施術所と分かりにくい○○堂、○○館、○○道場、○○センター、○○ステーション、サロン、ほぐし処○○センター接骨院、ほぐし処○○
出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年2月) Ⅲ-3(2)。右列は編集部が当てはめた例

見落としやすいのは「業態が混ざっている名称」です。鍼灸院を併設するなら「○○鍼灸接骨院」と一語にまとめず、「○○接骨院・○○鍼灸院」と二つの施術所名を並べる形が例示されています。

「スポーツ」も意外に引っかかります。部活動の生徒が多い地域で院名に入れたくなる言葉ですが、対象者を限定する名称として不可の例に挙がっている。「交通事故専門」「むちうち専門」も同じ欄です。

名前に入れられない情報は、ホームページなど広告規制の扱いが異なる媒体で伝えることになります。どこまで書けるかは接骨院の広告規制とガイドラインで整理しています。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

なぜ「整骨院」が問題になったのか

街を歩けば「整骨院」の看板はいくらでも目に入ります。それなのに、なぜ今になって新規は避けるべきだという話になったのか。経緯を年表にしました。

「整骨院」の名称をめぐる流れ
  • 1970年
    告示で「ほねつぎ」を指定
    柔道整復師法の広告事項として、大臣が指定する事項は「ほねつぎ」のみ
  • 1972年
    「接骨」を追加
    告示に「ほねつぎ(又は接骨)」と規定。「整骨」は以後も告示にない
  • 2023年2月
    第9回検討会
    新規の「整骨院」不可、既存は移転・看板の掛け替え等をしない限り当面猶予、の方向に異論なし
  • 2024年5〜7月
    第10回・第11回検討会
    日本柔道整復師会が「整骨院」の継続使用を要望。ガイドラインでの扱いを3案で議論
  • 2024年6月
    参議院で質問主意書
    法改正を含めて国会で議論すべきではないかと政府に問う質問が提出される
  • 2025年2月18日
    ガイドライン策定
    本文に「整骨院」の記載はなし。名称の可・不可の例を列挙

出典: 厚生労働省『施術所の名称「整骨院」について』(第10回 広告に関する検討会 資料2、2024年5月) / 厚生労働省『「整骨院」に係るガイドライン上の取扱いについて』(第11回 検討会 資料3、2024年7月) / 参議院『柔道整復業の施術所の名称等に関する質問主意書』(第213回国会 質問第188号、2024年6月18日)

実際の使用状況を示す数字もあります。日本柔道整復師会が第11回検討会に出した資料では、同会と全国柔道整復師統合協議会の会員28,617施術所のうち、「整骨院」が16,545施術所(57.8%)、「接骨院」が10,815施術所、その他が1,257施術所でした。

出典: 公益社団法人日本柔道整復師会『施術所の名称として「整骨院」を用いることについて』(第11回 検討会 資料2、2024年7月)

会員施術所の名称(日整+統合協議会 28,617施術所)
出典: 日本柔道整復師会(2024年)

半数を超える施術所が「整骨院」を名乗っている計算です。届出の窓口が長年これを受理してきたことも、日整の資料ははっきり書いています。業界団体が自ら「告示には規定がなく、本来、使用できない名称であることを柔道整復師に周知してこなかった」と認めた点は、第10回の資料に残っています。

出典: 厚生労働省『施術所の名称「整骨院」について』(第10回 広告に関する検討会 資料2、2024年5月)

地域で大きく違う「整骨院」と「接骨院」

同じ資料の都道府県別の内訳(日本柔道整復師会会員分)を見ると、名前の分布は地域でまったく違います。

都道府県整骨院接骨院傾向
北海道64457整骨院が9割超
大阪884148整骨院が多数
福岡54516ほぼ整骨院
東京396595接骨院がやや多い
愛知11624ほぼ接骨院
富山0435すべて接骨院
出典: 公益社団法人日本柔道整復師会『施術所の名称として「整骨院」を用いることについて』(第11回 検討会 資料2、2024年7月) 参考資料2(日本柔道整復師会会員の施術所の名称)から6都道府県を抜粋
都道府県別 会員施術所の名称(日本柔道整復師会会員)
出典: 日本柔道整復師会(2024年)

北海道・大阪・福岡で開業する人にとっては、周りが「整骨院」ばかりの中で「接骨院」を掲げることになります。患者に伝わりにくいのでは、という不安は自然です。それでも私たちは、名前で目立つより、看板と届出を一致させておくほうを選びます。「接骨院」でも「ほねつぎ」でも、看板の下に「柔道整復師(国家資格保有)」と添えれば、何の施術所かは十分に伝わるからです。

屋号の付け方:候補出しから開設届までの5段階

ここからは実際の手順です。名前の候補を出してから、保健所に開設届を出すまでを5つの段階に分けました。

屋号を決めてから表記をそろえるまで 出典: 柔道整復師法第19条・厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』をもとに編集部作成
屋号を決めてから表記をそろえるまで 出典: 柔道整復師法第19条・厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』をもとに編集部作成

1. 候補は「固有の部分+接骨院」で考える

名前の骨組みは「固有の部分」と「業態名」の二つです。業態名は「接骨院」に固定し、悩むのは前半だけにします。固有の部分によく使われるのは、地名・駅名、開設者の姓、自然や季節の言葉、ひらがなの柔らかい語といったところでしょう。

地名は検索で見つけてもらいやすい反面、移転すると名前と場所がずれます。姓は信頼感が出やすい一方、後から分院を出すときに院長の姓と院名が合わなくなる。どちらを取るかは、10年後に院を何か所にしたいかで決めると迷いが減ります。

2. 不可例との照合は「言い換え」まで疑う

候補ができたら、上の一覧と1語ずつ突き合わせます。ガイドラインは英語化や同じ意味の別表現も不可としているため、「メディカル」がダメなら「MEDICAL」も「メディカ」も避けるのが安全です。「ケア」「ボディ」のように一覧に直接ない語は、施術所と分かりにくい名称(ク)や他業態と紛らわしい名称(イ)に当たらないかで判断します。

3. 同名・商標を調べる

近所に同じ名前の院があると、患者が迷うだけでなく、相手が商標を取っていれば使用をやめるよう求められるおそれがあります。調べ方は次の章で扱います。

4. 保健所への事前相談

名称の可否を最終的に判断するのは、開設届を受ける保健所(自治体)です。図面を持って構造設備の相談に行くとき、院名の候補もあわせて見てもらうと二度手間になりません。届出の全体像は保健所への施術所開設届にまとめています。

5. 開設届と表記の統一

柔道整復師法第19条は、施術所を開設した者に、開設後10日以内に所在地の都道府県知事(保健所を設置する市・特別区は市長・区長)へ届け出るよう定めています。名称は届出事項の一つで、変更したときも10日以内の届出が必要です。

出典: 柔道整復師法 第19条(e-Gov法令検索)

同じ名前の院と商標は、開業前にどう調べるか

名前の決まりは柔道整復師法だけではありません。他人の商標や、地域でよく知られた名前と重なると、別の法律の問題になります。

確認すること調べる場所見るポイント
登録商標との重なりJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)柔道整復を含む第44類で、同じ・似た読みの商標がないか
近隣の同名院Googleマップ・自治体の施術所一覧など通院圏内に同じ・似た名前がないか
法人の商号法務局(登記)法人化する場合、同じ所在場所で同じ商号は登記できない
出典: 独立行政法人工業所有権情報・研修館『J-PlatPat』、特許庁『類似商品・役務審査基準』、商業登記法第27条

特許庁の『類似商品・役務審査基準』では、柔道整復は第44類の役務に含まれています。J-PlatPatの商標検索で、候補の読み(称呼)を入れて第44類に絞れば、同じ読みの登録があるかを無料で確かめられます。

登録商標がなくても、地域で広く知られた院と紛らわしい名前を付けると、不正競争防止法の問題になりえます。逆に、自分の院名を守りたいなら商標登録という選択肢もあります。ただ、出願には費用がかかり、1院だけの個人開業で必須とは言えません。分院展開やフランチャイズ化を考える段階で検討すれば足りる、というのが編集部の見方です。

なお、個人事業の屋号は登記されないため、同じ屋号の院が別の町にあること自体は珍しくありません。法人化すると商号の登記が必要になるので、将来の法人化のタイミングも見据えて、屋号と法人名をそろえておくと看板の掛け替えが不要になります。

届出名・看板・ネットの名前がずれていないか

開業後に指摘されやすいのは、名前そのものより「表記のずれ」です。

第10回検討会の資料は、開設届は「接骨院」で出しているのに看板は「整骨院」になっている、という例を挙げ、こうした場合は速やかな是正を求めるとしています。既存院の猶予の話とは別扱いで、ずれていること自体が是正の対象になる、という整理です。

出典: 厚生労働省『施術所の名称「整骨院」について』(第10回 広告に関する検討会 資料2、2024年5月)

ネット上の名前も同じ考え方で見られます。Googleビジネスプロフィールの店舗名に「腰痛専門」「交通事故対応」などを足すと、施術所の名称に効能や対象者を加えた形になりかねません。店舗名は届出どおりにし、伝えたい情報は説明文や投稿に回すのが筋です。

一度、すべてを並べて見比べてみてください。届出名と1文字でも違う表記があれば、それが最初に直す場所です。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

ここが気になる

Q
すでに「整骨院」で開業しています。すぐ名前を変えないといけませんか?
A

厚生労働省の検討会では、開設届を出し済みの施術所は、移転・看板の掛け替え・名称変更の届出をしない限り当面の間は猶予する方向が示されています。ただし開設届と看板の名称が違う場合は速やかな是正が求められます。猶予期間の扱いは検討会でも継続検討とされたため、管轄の保健所の方針を確認してください。

Q
「ほねつぎ○○」のように業態名を前に置いてもいいですか?
A

「ほねつぎ(又は接骨)」は柔道整復師法の告示で広告できる事項に挙がっている言葉です。ガイドラインの例は「○○接骨院」の形ですが、語順の可否までは書かれていないため、保健所の事前相談で候補として見てもらうのが確実です。

Q
ローマ字やカタカナだけの院名は使えますか?
A

ガイドラインは、施術所と分かりにくい名称を不可としています。固有の部分をカタカナやローマ字にするのは問題になりにくいものの、業態名(接骨院)まで外国語にすると、国家資格の施術所だと読み取れなくなります。「Sakura 接骨院」のように業態名は日本語で残すのが安全です。

Q
整体やリラクゼーションのメニューも出したい。院名に入れられますか?
A

入れられません。ガイドラインは「整体」「リラクゼーション」を、あはき・柔整以外の業態と紛らわしい名称の例に挙げています。保険外のメニューを扱う場合の考え方は整体院の開業と資格も参考になります。

判断の目安

新規開業なら「固有の部分+接骨院」。鍼灸を併設するなら二つの施術所名を並べる。対象者・効能・医療を連想させる言葉は、言い換えても入れない。

迷ったときは、候補を2〜3案持って保健所に行くのがいちばん早い道です。名前が決まったら、開業費用の内訳や開業物件の選び方とあわせて、看板の発注は開設届の名称が固まってからにしてください。開業の時期をまだ考えている段階なら、開業する年齢と経験年数も参考になるはずです。

参考・出典

参照日: 2026年10月30日

タイトルとURLをコピーしました