PR

あん摩マッサージ指圧師の年収と資格|合格率85%でも狭き門な理由

記事内に広告(アフィリエイトリンク)が含まれています。

2026年2月に行われたあん摩マッサージ指圧師の国家試験。受験したのは全国で1,070人でした。同じ日程で実施されたはり師試験の受験者3,920人と比べると、4分の1ほどしかいません。

合格率は85.0%と高いのに、受験者がこれだけ少ないのはなぜか。そして資格を取ったあと、どのくらい稼げるのか。年収は国の賃金統計、資格の道筋は法律と国家試験の発表をもとに、柔道整復師・鍼灸師と並べて整理します。出典: 厚生労働省『第34回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表』ほか各回の発表(2022〜2026年)

年収は約454万円。ただし統計の区分に注意

最初に断っておくと、国の賃金統計には「あん摩マッサージ指圧師だけ」の数字がありません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、あん摩マッサージ指圧師は鍼灸師や柔道整復師と一緒に「その他の保健医療従事者」という区分で集計されています。

その区分の令和7年の平均は、月給31万8,600円、年間賞与71万8,300円。月給×12+賞与で計算すると年収は約454万円になります(企業規模10人以上・男女計、平均37.6歳)。近い職種と並べたのが次の表だ。

職種(統計の区分)平均年齢勤続年数月給年収(試算)
その他の保健医療従事者
あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師・柔道整復師など
37.6歳8.4年31.9万円約454万円
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士36.2歳8.4年31.0万円約444万円
介護職員(医療・福祉施設等)45.3歳9.0年27.8万円約388万円
介護支援専門員(ケアマネジャー)53.1歳12.4年30.9万円約441万円
あん摩マッサージ指圧師を含む区分と近い職種の年収(令和7年)

出典: 厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査』(e-Stat 職種 第1表、2026年)。年収は月給(きまって支給する現金給与額)×12+年間賞与で編集部が算出

職種別の平均年収(令和7年・企業規模10人以上)
出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」

理学療法士などの区分(約444万円)とほぼ同じ水準で、介護職員の区分(約388万円)よりは60万円ほど高い。ただ、この区分には柔道整復師が多く含まれます。あん摩マッサージ指圧師だけで集計すれば違う数字になる可能性があり、ここは目安として読んでください。

職場の規模で170万円の差がつく

同じ区分の令和6年の数値を企業規模別に見ると、差がはっきり出ます。治療院やマッサージ院の多くは5〜9人の小さな事業所で、ここは年収約305万円。1,000人以上の法人とは170万円以上離れています。

企業規模月給年間賞与年収(試算)
1,000人以上32.8万円83.3万円約477万円
100〜999人29.7万円65.1万円約422万円
10〜99人28.3万円45.0万円約385万円
5〜9人23.0万円28.7万円約305万円
その他の保健医療従事者の企業規模別年収(令和6年)

出典: 厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』(2025年)(年収は編集部が算出)

差の大部分は賞与です。5〜9人規模の賞与は年28.7万円で、1,000人以上(83.3万円)の3分の1ほど。病院や大手の訪問マッサージ事業者、企業のヘルスキーパーとして雇われる場合と、個人の治療院に勤める場合とでは、同じ資格でも年収の水準が変わると考えておくほうが現実的です。

年齢別では、20代前半の約355万円から40代前半の約500万円まで上がり、その後は横ばいから下がっていきます(令和6年・企業規模10人以上)。

年齢月給年間賞与年収(試算)
20代前半26.8万円34.3万円約355万円
30代前半28.9万円71.6万円約419万円
40代前半34.4万円87.0万円約500万円
50代前半31.5万円70.0万円約448万円
60代前半27.7万円50.5万円約383万円
その他の保健医療従事者の年齢別年収(令和6年・抜粋)

出典: 厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』(2025年)(各年齢階級の前半5歳。年収は編集部が算出)

「マッサージ」を仕事にできるのは誰か

街には「もみほぐし」「リラクゼーション」「整体」の看板があふれていて、マッサージに資格はいらないと思っている人も少なくありません。法律上は違います。

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)の第1条は、医師以外の者があん摩・マッサージ・指圧を業として行うには、あん摩マッサージ指圧師の免許が必要だと定めています。第12条では、免許のある施術のほかに「医業類似行為」を業とすることも禁じています。出典: 『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』(厚生労働省 法令等データベース)

あん摩マッサージ指圧師整体・リラクゼーション
資格国家資格(厚生労働大臣の免許)法律で定めた資格はない
学ぶ期間養成施設で3年以上民間スクールごとに異なる
あん摩・マッサージ・指圧を業として行うできる(第1条)できない(第1条・第12条)
あん摩マッサージ指圧師と無資格の手技の違い

出典: 『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』(厚生労働省 法令等データベース)

無資格の手技が街でどう扱われているか、利用者側から見た違いは肩こりは整体とマッサージのどちらに行くべきかで、無資格で開業する場合の線引きは整体の開業に資格はいるのかで取り上げています。保険の療養費の仕組みは、はり・きゅうと共通する部分が多いのではり・きゅうの保険と医師の同意書も参考になります。

資格を取るまでの道筋——最短3年

免許を受けるには、文部科学大臣または厚生労働大臣が認定した学校・養成施設で3年以上学び、厚生労働大臣が行う国家試験に合格する必要があります(あはき法第2条)。入学に必要なのは大学に入学できる資格、つまり高校卒業程度です。

視覚に障害のある人には別の道があります。第18条の2により、当分の間は高校に入学できる資格(中学卒業程度)で、認定を受けた学校・養成施設で3年以上学べば受験できます。出典: 『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』(厚生労働省 法令等データベース)

あん摩マッサージ指圧師の免許を取るまでの流れ(あはき法第2条・第18条の2をもとに作成)
あん摩マッサージ指圧師の免許を取るまでの流れ(あはき法第2条・第18条の2をもとに作成)

法律は養成施設の区分として「あん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の養成施設」も定めていて、はり師・きゅう師と3資格をまとめて学べる学校もあります。夜間部なら働きながら通えるものの、実技の授業時間は昼間部と変わらないため、3年間の生活設計が先に要ります。

国家試験の合格率は8割台で安定

試験は年1回、2月下旬の土日に行われます。あん摩マッサージ指圧師は160問・1問1点で、96点以上(6割)が合格です。直近5回の結果は次のとおり。

試験回(実施年)受験者数合格者数合格率参考:はり師の合格率
第30回(2022年)1,278人1,082人84.7%74.2%
第31回(2023年)1,296人1,148人88.6%70.4%
第32回(2024年)1,109人932人84.0%69.3%
第33回(2025年)1,160人1,011人87.2%73.9%
第34回(2026年)1,070人910人85.0%67.2%
あん摩マッサージ指圧師国家試験の結果(第30〜34回)

出典: 厚生労働省『第34回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表』ほか各回の発表(2022〜2026年)

合格率は84〜89%の範囲で動いていて、はり師(67〜74%)や柔道整復師(第34回は71.5%)より高めです。受験者は5年で1,278人から1,070人へ減りました。柔道整復師の試験の推移は柔道整復師国家試験の合格率にまとめています。

受験者が年1,000人ほどしかいない理由

合格しやすい試験なのに受験者が少ないのは、入口である学校の枠が法律で抑えられているからです。

あはき法第19条は、視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難にならないよう、必要があると認めるときは、視覚障害者以外を教育する学校・養成施設の認定や定員の増加を「しないことができる」と定めています。条文は「当分の間」で始まり、判断材料として、あん摩マッサージ指圧師の総数に占める視覚障害者以外の割合などが挙げられています。出典: 『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』(厚生労働省 法令等データベース)

あん摩・マッサージ・指圧は、昔から視覚に障害のある人の職業として根づいてきた仕事です。そのため、晴眼者(目の見える人)が通える学校の新設や増員は簡単には認められません。一方で、はり師・きゅう師の学校にはこの制限がないため、受験者数に4倍近い開きが生まれています。

晴眼者が目指す場合、通える学校の選択肢は限られます。通学できる範囲に学校があるか、募集要項と入試日程は早めに調べておくと安心です。

編集部は、この仕組みが資格の希少性を保ってきた面はあると考えています。就業者数で見ると、あん摩マッサージ指圧師は10年でほとんど増えていません。供給が絞られている資格は、訪問マッサージや介護の現場で求人が途切れにくいからです。ただ、通える学校が近くにない人にとっては、引っ越しや長い通学を伴うハードルでもある。ここは立場によって見え方が変わるところでしょう。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

柔道整復師・鍼灸師とどこが違う?

治療院で働く国家資格は主に3種類あります。施術の中身と、数字で見た規模の違いを並べました。

あん摩マッサージ指圧師はり師・きゅう師柔道整復師
施術押す・もむ・さするなどの手技鍼・灸骨折・脱臼・捻挫・打撲などへの施術
養成期間3年以上3年以上3年以上
国家試験の合格率(2026年)85.0%はり67.2%・きゅう70.5%71.5%
就業者数(2024年末)119,703人はり136,736人・きゅう134,730人78,666人
主な職場治療院・訪問マッサージ・病院・介護施設・企業鍼灸院・治療院・病院接骨院・整骨院・介護施設
治療院の3資格の比較

出典: 厚生労働省『第34回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表』ほか各回の発表(2022〜2026年)/厚生労働省『第34回柔道整復師国家試験の合格発表』/出典: 厚生労働省『令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』3 就業あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師及び施術所(2025年)

就業者数ではあん摩マッサージ指圧師のほうが柔道整復師より4万人ほど多いのに、年間の受験者は柔道整復師(第34回は4,434人)の4分の1以下です。今いる施術者の多くは、はり師・きゅう師と3資格をまとめて持つ人だと見られます。年収の詳しい内訳は柔道整復師の給料・年収と鍼灸師の給料・年収にあり、学費の考え方は柔道整復師の学費が近い内容です。

就業者は横ばい、単独の施術所は減少

衛生行政報告例で就業者数の推移を見ると、2014年から2024年までの10年で、はり師は約2.8万人、柔道整復師は約1.5万人増えた一方、あん摩マッサージ指圧師は約6,500人の増加にとどまります。

就業者数の推移(各年末)
出典: 厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)」

施術所も同じ傾向です。2024年末の「あん摩、マッサージ及び指圧を行う施術所」は17,531か所で、2年前より486か所(2.7%)減りました。反対に「あん摩、マッサージ及び指圧、はり並びにきゅうを行う施術所」は38,595か所と微増しています。出典: 厚生労働省『令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』3 就業あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師及び施術所(2025年)

あん摩マッサージ指圧だけで開く店は減り、鍼灸と組み合わせた施術所が主流になっている。数字はそう読めます。

どこで働くと年収が伸びるか——判断の目安

統計から言えるのは「規模の大きい職場ほど賞与が出やすい」ことと「40代前半まで年収が伸びる」ことの2つです。そのうえで、あん摩マッサージ指圧師の働き方を年収の観点で分けると、次のようになります。

働き方年収を左右するもの向いている人
病院・介護施設の常勤法人規模と賞与の有無安定した給与と休みを優先したい人
訪問マッサージ事業者訪問件数と歩合の仕組み移動が苦にならず、件数で稼ぎたい人
企業のヘルスキーパー雇用する企業の給与体系決まった時間で働きたい人
治療院・マッサージ院の勤務店の規模、指名・歩合技術を磨いて独立を考えている人
独立開業集客と施術単価、固定費経営も含めて自分で決めたい人
あん摩マッサージ指圧師の働き方と年収の決まり方

介護分野では、あん摩マッサージ指圧師はデイサービスなどの機能訓練指導員になれる資格の一つです。施術の技術を使いながら、病院や介護施設という規模のある職場で働ける道です。仕事内容は柔道整復師向けに書いた機能訓練指導員の仕事と給料がほぼそのまま当てはまります。

私たちが一番すすめたいのは、はり師・きゅう師との3資格をそろえることです。手技と鍼灸の両方を扱えれば、勤務先の選択肢が増え、独立するときも施術の幅が広がる。就業者数の推移を見ても、伸びているのははり師・きゅう師の側です。開業資金の目安は鍼灸院の開業費用で、資格を活かして別の業界に移る道は柔道整復師の異業種転職で扱っています。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

ここが気になる

Q
あん摩マッサージ指圧師は「やめとけ」と言われるのはなぜですか?
A

統計上の年収は約454万円(令和7年・柔道整復師などを含む区分)ですが、5〜9人の小さな事業所では約305万円(令和6年)に下がります。小規模な治療院に勤めた場合の収入の低さや、体力を使う仕事であることが理由として挙げられやすいようです。職場の規模と働き方を選べば、平均並みかそれ以上を狙うこともできます。

Q
視覚に障害がなくてもあん摩マッサージ指圧師になれますか?
A

なれます。高校卒業程度の学力があり、認定を受けた学校・養成施設で3年以上学んで国家試験に合格すれば、免許を受けることができる。ただし視覚障害者以外を対象とする学校の新設や定員の増加は、あはき法第19条で抑えられています。そのぶん通える学校の数は限られるので、住んでいる地域から通える学校を先に確かめてください。

Q
国家試験の合格点と合格率はどのくらいですか?
A

160問・1問1点で、96点以上が合格です。2026年2月の第34回は受験者1,070人・合格者910人で、合格率は85.0%でした。直近5回は84〜89%で推移しています。

Q
通信教育で資格は取れますか?
A

取れません。法律で、認定を受けた学校・養成施設で3年以上、解剖学や生理学などの知識と技能を修得することが受験の条件とされていて、実技を含む通学が必要です。民間の通信講座で取れるのは、国家資格ではない民間の認定資格です。

参考・出典

参照日: 2026年10月22日

タイトルとURLをコピーしました