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整骨院のリピート率の上げ方|初回説明・予約・口コミと保険の線引き

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初回に来た患者さんが2回目の予約を取らずに帰った。その理由を、院長はどこまで言い当てられるでしょうか。

痛みが引いたからかもしれないし、説明が足りなかったのかもしれない。料金が思ったより高かった可能性もあります。理由が分からないまま「リピート率を上げる施策」を足していくと、次回予約の声かけが強くなるだけで、来なくなる人はかえって増えます。

整骨院・接骨院の継続来院は、ほかの業種と違って健康保険のルールと切り離せません。保険の施術は治れば終わるもので、通い続けてもらうこと自体を目標にすると制度の側とぶつかる。そこを前提に、数え方、保険の線引き、初回の説明、予約と連絡、口コミの頼み方の順に見ていきます。

同じ「リピート率」でも、院ごとに数えているものが違う

一口にリピート率といっても、院によって数えているものが違います。比べる相手と数え方がそろっていない数字を並べても、判断の材料にはなりません。最低限、次の3つは分けて記録したいところです。

呼び方(編集部の整理)計算式例(架空の1か月)
初回→2回目の再来率2回目に来た人数 ÷ 初回の人数 × 100新患40人のうち26人が再来 → 65%
予定回数の完了率施術計画の回数まで通った人数 ÷ 計画を立てた人数 × 100計画を立てた30人のうち18人 → 60%
再来院率(卒業後)一度終わった人が半年以内に再び来た人数 ÷ 終わった人数 × 100卒業50人のうち12人 → 24%
リピート率の3つの数え方(計算式と例は編集部の整理。数値はすべて架空)

1つ目は、初回の説明と施術が患者さんに伝わったかを映します。2つ目は、施術計画そのものに納得してもらえたか。3つ目は、終わった後に「また何かあればここ」と思ってもらえたかどうかです。

計算するときは分母の期間をそろえます。月末に初めて来た人は翌月に2回目が来るので、初回から14日以内に再来したかで判定するなど、院の中で基準を1つに決めておく。この基準が月ごとにぶれると、数字が良くなったのか数え方が変わったのか分からなくなります。

来院の記録を紙の受付簿だけで管理していると、この集計は手間がかかります。レセコンや電子カルテの来院履歴から出せるかどうかは、電子カルテの比較で確かめてください。

「平均は50%」という数字の出どころ

整骨院のリピート率の平均として50%前後の数字を見かけることがありますが、厚生労働省や業界団体の統計で、その数字の出典を見つけることはできませんでした。調べた範囲では、民間のコンサルティング会社や予約システム会社が自社の経験から示している値です。

公的な資料で近いものはあります。厚生労働省の柔道整復療養費検討専門委員会は、2022年10月分の支給申請書を抽出して、1か月あたりの施術回数別に患者の割合を分析しました。3回以下の施術が全体の約半分弱で、4回目から大きく減り、10回以上は全体の約1割強という結果です。

出典: 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)』(2024年1月)

柔道整復療養費:1か月に10回以上施術を受けた患者の割合(2022年10月分)
出典: 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会資料(2024年1月)

これはリピート率そのものではなく、保険で施術を受けた患者が1か月に何回通ったかの分布です。それでも、保険の患者の半分近くは月3回以下で、高頻度の通院は1割強にとどまるという実態は読み取れます。

編集部は、他院の平均と比べるより、自院の初回→2回目の再来率を3か月続けて記録し、その推移を見るほうが役に立つと考えています。比べる相手は先月の自分です。

保険の患者に「通い続けてもらう」は成り立つのか

ここが、美容室や整体院の集客の話をそのまま持ち込めない部分です。全国健康保険協会(協会けんぽ)は、整骨院・接骨院で保険が使えるのは急性などの外傷性の打撲・捻挫・挫傷と、医師の同意がある骨折・脱臼(応急処置を除く)だと案内しています。単なる肩こりや筋肉疲労、慰安目的のマッサージの代わり、症状が改善しない長期の治療、「ついで」の受診は対象外です。

出典: 全国健康保険協会『柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方』

つまり保険の施術は、負傷が治れば終わるのが本来の形です。リピート率を上げようとして、治った後も保険で通ってもらうことは、院の収入のためにも患者さんのためにもなりません。

制度上の区切り内容院の運用で気をつけること
初検から3か月超打撲・捻挫の施術が続くときは長期施術継続理由書を申請書に添付3か月を迎える前に、症状と続ける理由を患者さんにも説明する
初検日を含む月から5か月超後療料などが所定料金の100分の75(長期の減額)5か月目の時点で、卒業か自費への切り替えかを話し合う
連続5か月以上かつ月10回以上所定料金の100分の50(長期・頻回の減額)高頻度の通院を「熱心な患者」と喜ばない
協会けんぽの切り替え基準前月までの連続12か月で通算8か月以上かつ9部位以上なら、受領委任から償還払いへ変わる場合がある(2027年1月から)部位数と通院月数を受付で見える形にしておく
保険施術の継続にかかる主な区切り

出典: 厚生労働省保険局医療課長通知『「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」の一部改正について』(2026年 保医発0601第1号)/出典: 全国健康保険協会『柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方』

協会けんぽは、照会に繰り返し回答しない患者、複数の施術所で同じ部位の施術を受けている患者、長期かつ頻回な施術を続けている患者も、償還払いに切り替わる場合がある対象に挙げています。償還払いになれば、患者さんは窓口でいったん全額を払い、後から自分で保険者に請求することになります。そうなった患者さんが通い続けるとは考えにくいでしょう。

出典: 全国健康保険協会『柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方』

申請書の書き方で戻される例は療養費の返戻の理由と対策にまとめました。長期の理由書が抜けていると返戻になり、院の入金も遅れます。

健保からの「調査」の手紙で来なくなる人

見落とされやすいのが、患者照会です。協会けんぽは、請求内容の確認に調査が必要と判断した場合、患者さんに電話や文書で負傷の原因、施術を受けた日、施術の内容を問い合わせることがあり、患者さん本人が回答書に記入するとしています。

出典: 全国健康保険協会『柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方』

何も聞かされていない患者さんにとって、健康保険の調査を名乗る封書は不安の種です。「整骨院に通うと調べられる」と感じて、そのまま来なくなる人もいるでしょう。初回の説明のときに、保険で施術を受けると保険者から問い合わせが来ることがあること、そのときは覚えている範囲で正直に書けばよいこと、領収証を取っておいてほしいことを伝えておく。これだけで、手紙が届いた後の離脱はかなり防げるはずです。

照会が届いた後に院側でできることは患者照会が届いたときの院の対応で扱っています。整形外科と同じ負傷で並行して通っている場合の扱いは、整形外科との併用のルールを確認してください。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

2回目が来るかは、初回の終わり方でほぼ決まる

初回の患者さんが帰り際に知っていてほしいのは、3つだけです。今の状態がどうなっているのか、何回くらい・どのくらいの間隔で通えばよいのか、どうなったら終わりなのか。この3つが言葉で伝わっていない初回は、施術がうまくいっても2回目につながりにくい。

問診で負傷の原因を具体的に聞いておくことは、保険の請求のためにも欠かせません。いつ、どこで、何をしていて痛めたか。その記録が施術録に残っていれば、後で照会があっても患者さんの答えと食い違いにくくなります。

施術計画は、紙1枚で渡すと伝わり方が変わります。次の表は、足首の捻挫で来た患者さんを想定した例です。

時期(想定)通う間隔目安にする状態院で確かめること
1週目2〜3日に1回腫れと歩くときの痛みが引いていく腫れの範囲、体重をかけたときの痛み
2〜3週目週1〜2回階段の上り下りで痛まない足首の動く範囲、片足立ち
4週目前後週1回小走りや運動を再開できる再発しやすい動き。続ける運動の説明
終了—日常生活と運動で痛みがない保険の施術はここで終わる
捻挫の施術計画の伝え方の例(期間と状態はすべて架空の想定で、実際は検査の結果による)

最後の行で、終わりがあることをはっきり書いておく。編集部はここをいちばん大事な一行だと見ています。終わりの見える計画のほうが、患者さんは途中で離れにくいからです。

1回で痛みが大きく変わったときほど、2回目に来ない人が出ます。「今日は動かしやすくなりましたが、腫れが引くまでの数日は元に戻りやすい時期です」と、次に来る理由を施術後の状態と結びつけて話すと、次回予約が押し売りに聞こえません。

料金は施術の前に伝える

2回目に来なかった理由として、患者さんが口にしにくいのが料金です。保険の窓口負担は、負担割合や部位数、初検かどうかで変わるため、患者さんには事前に読みにくい。自費のメニューを組み合わせるなら、なおさらです。

施術を始める前に「今日は保険の範囲でこのくらい、次回からはこのくらい」と幅で伝えておくと、会計のときの驚きが減ります。自費の施術をすすめるなら、料金表を見せて、受けるかどうかを患者さんが決めてから始める。この順番を逆にすると、施術に満足していても2回目は来ません。

領収証と明細を毎回渡すことも、患者さんの安心につながります。何にいくら払ったかが分かれば、照会の回答書を書くときにも困りません。

次回予約とLINEの連絡は「理由」とセットで

会計のときに「次はいつにしますか」と聞くのは、予約制の院なら自然な流れです。ただ、理由のない予約はキャンセルされやすい。「腫れの具合を見たいので、3日後の木曜はいかがですか」と、計画のどの段階かを添えて提案するほうが、患者さんも都合をつけようとします。

予約の前日に連絡を送る仕組みは、無断キャンセルを減らすのに向いています。連絡手段としては、総務省の情報通信白書によると、LINEの利用率は2024年に全体で94.9%、60代でも91.1%でした。電話や紙のハガキに頼っていた年配の患者さんにも届く手段になっています。

出典: 総務省『令和7年版 情報通信白書』図表Ⅰ-1-1-2(2025年)(原典は総務省『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』)

ただし、配信の中身には気をつけたい。季節のキャンペーンや割引の案内ばかりを送ると、ブロックされて予約の連絡まで届かなくなります。送るのは予約の確認、休診の知らせ、施術計画の節目の声かけくらいに絞る。料金プランや配信の設定はLINE公式アカウントの使い方で詳しく扱いました。

無断キャンセルが出たときの連絡も、責める調子にしないことです。「その後、足首の具合はいかがですか」と様子を尋ねる一言なら、患者さんは予約を取り直しやすい。返事がなければ、それ以上は追いかけません。

卒業した患者さんへの連絡は、もう一段慎重に。保険の施術が終わった人に「そろそろメンテナンスに」と送るなら、それは自費の案内です。保険で来てほしいと読める書き方は避けます。

口コミは、頼み方を間違えると違反になる

満足して帰った患者さんの口コミは、新しい患者さんを呼ぶだけでなく、既存の患者さんが通い続ける安心材料にもなります。問題は頼み方です。

Googleは、口コミの投稿と引き換えに金銭や割引、無料の商品やサービスといったインセンティブを出すこと、肯定的な口コミだけを選んで募ること、その場で評価を書くよう求めたり強要したりすることを、禁止しています。

出典: Google『禁止または制限されているコンテンツ』(マップのユーザー投稿コンテンツに関するポリシー)

厚生労働省の広告ガイドラインも、院が依頼したり謝礼を払ったりして書いてもらった体験談は広告として扱い、体験談は広告できる事項ではないため広告できない、としています。院にとって都合の良い感想だけを選んで載せること、謝礼で良い感想が出るよう誘導してウェブサイトに載せることも、掲載すべきでないとされました。「〇%の満足度」「顧客満足度No.1」といった表現も、虚偽広告として扱うべき例に挙がっています。

出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年2月18日)

やり方判断根拠
会計後に、口コミ投稿ページのQRコードを渡して「よければ」と伝える問題になりにくい患者さんが書くかどうかを自分で決められる
口コミを書いたら次回500円引きやめるGoogleのインセンティブ禁止。景品表示法のステマ規制にかかるおそれ
満足していそうな人にだけ頼むやめるGoogleの選択的な依頼の禁止
院のサイトに患者の声として感想を並べるやめる広告ガイドライン:体験談は広告できない
受付でその場で星5をつけてもらうやめるGoogleの要求・強要の禁止
口コミの頼み方の判断(判断と根拠の欄は編集部の整理)

出典: Google『禁止または制限されているコンテンツ』(マップのユーザー投稿コンテンツに関するポリシー)/出典: 厚生労働省『あはき・柔整広告ガイドライン』(2025年2月18日)/出典: 消費者庁『ステルスマーケティングに関するQ&A』

2023年10月からは、事業者が依頼して書かせた投稿を広告と分からない形で出すことが、景品表示法のステルスマーケティング規制の対象になりました。Googleマップの見え方の整え方は整骨院のMEO対策、院のサイトに何を書けるかは整骨院の広告規制と整骨院のホームページの作り方にまとめています。

悪い口コミが付いたときに返信で反論したくなる気持ちは分かります。ただ、施術の内容や患者さんの来院の事実を返信に書けば、それ自体が個人情報の扱いの問題になりかねません。お詫びと連絡先の案内だけにとどめる、というのが私たちの考えです。

卒業した人を自費で迎える道は残すか

保険の施術が終わった後、再発予防の運動指導や体の手入れを自費で続けたい人はいます。こうした人を受け止めるメニューがあるかどうかで、3つ目の再来院率は変わってきます。

このとき、保険の施術と自費の施術は、日も料金もはっきり分けます。同じ日に同じ部位を保険と自費で組み合わせるような運用は、請求のうえで説明がつきません。単価の考え方は自費メニューへの移行と単価の決め方を参照してください。

回数券を出す院もあるでしょう。東京都消費生活総合センターは、整体院の施術契約は特定商取引法の対象外で、クーリング・オフは適用されないと説明しています。法律で解約の決まりがない分、使い切れなかったときにどう清算するかを院が先に決めて、買う前に伝えておく必要があります。

出典: 東京都消費生活総合センター『整体院の回数券購入後の解約はできない?!』

清算の計算例と書面の作り方は回数券の前払いと返金のルールにあります。売りたいがための回数券は、使い切れなかった患者さんの不信につながり、結局は口コミで返ってくる。ここは意見が分かれるところですが、編集部は、初回の患者さんに回数券をすすめることには反対です。

スタッフ2人の院で、毎月見る数字は3つで足りる

院長と受付の2人で回している院を想定すると、凝った分析は続きません。月末に10分、次の3つを手で数えるくらいが現実的です。

  1. 新患の人数と、そのうち14日以内に2回目が来た人数
  2. 施術計画を渡した人数と、計画の終わりまで通った人数
  3. 2回目に来なかった人の初回の様子(説明した内容、料金、予約の提案をしたか)

3つ目は数字ではなくメモです。来なくなった人に電話をかけて理由を聞く院もありますが、患者さんにとっては負担にもなります。受付と院長が初回の様子を思い出して書き残すだけでも、同じ説明の抜けが何度も出ていることに気づけます。

2回目に来なかった人のメモで多い抜けは、次の3つになりがちです。終わりの目安を伝えていない/次に来る理由を施術後の状態と結びつけていない/自費の料金を先に伝えていない。

新患の数そのものを増やす手立ては接骨院の集患・集客の方法で扱いました。売上全体の見通しの立て方は整骨院の売上平均、患者が定着しないまま資金が尽きる例は整骨院の開業で失敗する理由に並べています。

現場で出てくる細かい疑問

Q
リピート率は何%を目指せばよいですか?
A

公的な統計で示された目標値はありません。他院の数字より、自院の初回→2回目の再来率を毎月記録して、3か月前より上がっているかで判断するほうが確かです。数え方を途中で変えないことのほうが大切だと考えています。

Q
保険の患者さんに、治った後も月1回来てもらうのは問題ですか?
A

負傷が治った後の通院は、協会けんぽが保険の対象外とする「単なる肩こりや筋肉疲労」や「慰安目的」に当たりやすく、保険では扱えません。続けたい人には、自費のメニューとして料金を示して選んでもらう形にします。

Q
自費に切り替えるとリピート率は下がりますか?
A

窓口で払う金額が上がる以上、通う人が減る場面はあります。ただ、保険で通える範囲を超えた患者さんを保険で引き留めるほうが、返戻や償還払いへの切り替えにつながりかねません。料金と回数の目安を初回に伝えておけば、切り替えのときの離脱は小さくできます。

Q
スタッフが辞めると患者さんが減るのはなぜですか?
A

初回の説明や施術計画が担当者の頭の中にしかないと、引き継いだ人が同じ話をできないためです。施術計画を紙やカルテに残し、誰が担当しても同じ説明ができるようにしておくと、担当が変わったときの離脱を抑えられます。

最後に

リピート率は、上げる対象というより、初回の説明と施術計画がどれだけ伝わったかの通知表です。保険の施術を治るまで続けてもらい、終わったら気持ちよく送り出す。その積み重ねの先に、再発したときや家族が痛めたときにまた選ばれる院があります。

来月の初めに、先月の新患のうち何人が2回目に来たかを数えてみてください。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

参考・出典

参照日: 2026年10月25日

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