PR

整骨院の売上平均と月商|統計で試算した1院月47万円の実態【2026年】

記事内に広告(アフィリエイトリンク)が含まれています。

「整骨院の売上の平均はいくら?」「月商はどのくらいが普通?」——開業を考えている柔道整復師にも、いま経営している院長にも気になる数字です。ところが、ネットで見かける「月商100万円」「1日20人で月○万円」といった数字の多くは、根拠となる統計が示されていません。

結論から言うと、整骨院の売上平均を直接示す公的統計はありません。ただし、厚生労働省が公表している柔道整復療養費(保険からの支払い)の総額と施術所数から計算すると、1施術所あたりの保険収入は年間約563万円、月商に直すと約47万円(2021年度)になります。また、日本柔道整復師会の調べでは、会員の45.8%が年間給付額(保険の売上)500万円未満でした。

この記事では、こうした公的データをもとに「平均的な整骨院の売上の実態」を計算式つきで示し、来院数・単価から月商を見積もる方法、売上原価や仕訳の考え方、売上で失敗しないためのポイントまでを整理します。

この記事の要点
・整骨院の売上平均の公的統計はない。療養費総額÷施術所数で試算すると1院あたり保険収入は年約563万円(月約47万円)
・10年前の試算値は年約839万円(月約70万円)。1院あたりの保険収入は約3割減
・日本柔道整復師会の会員の45.8%が年間給付額500万円未満、78.1%が1,000万円未満
・月商は「来院数×単価×営業日数」で見積もる。保険だけでは天井が低く、自費の比率が売上を左右する

整骨院の売上平均は?公的データから計算した「1院あたり」の実態

整骨院の売上は、大きく①保険施術(柔道整復療養費)、②自費施術、③交通事故(自賠責保険など)、④物販の4つで構成されます。このうち全国規模で金額が分かるのは①の療養費だけです。そこで、療養費の総額を施術所数で割って「1院あたりの保険収入」を試算します。

計算式:柔道整復療養費 ÷ 施術所数

厚生労働省の資料によると、柔道整復療養費は令和3年度で2,867億円、令和4年末の柔道整復の施術所数は50,919か所です。出典: 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)』(2024年)

2,867億円 ÷ 50,919か所 = 約563万円/年、12で割ると約47万円/月です。保険の取扱い(受領委任)をしている施術所46,683か所で割っても、年約614万円(月約51万円)にとどまります。

年度(療養費)柔道整復療養費施術所数(同年末)1施術所あたり(年)1施術所あたり(月)
平成26年度3,825億円45,572か所(平成26年末)約839万円約70万円
平成28年度3,636億円48,024か所(平成28年末)約757万円約63万円
平成30年度3,278億円50,077か所(平成30年末)約655万円約55万円
令和2年度2,831億円50,364か所(令和2年末)約562万円約47万円
令和3年度2,867億円50,919か所(令和4年末)約563万円約47万円
出典:厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会資料(2024年)の療養費推計と施術所数をもとにKATAKORY編集部が試算。施術所数は隔年調査のため、令和3年度は令和4年末の値で割っています

出典: 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)』(2024年)。施術所数は同資料に掲載の厚生労働省「衛生行政報告例」の値。

1施術所あたりの柔道整復療養費(試算)
出典: 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会資料(2024年)をもとに療養費÷施術所数で試算

10年足らずで、1院あたりの保険収入は約839万円から約563万円へ、約3割減った計算です。療養費の総額が減る一方、施術所の数は約5万か所まで増えたため、1院あたりの取り分が細くなりました。なお、令和6年末の施術所数は50,924か所で、ほぼ横ばいが続いています。出典: 厚生労働省『令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』(2025年)

試算値を読むときの注意点

  • 保険の売上だけの数字です。自費施術・交通事故・物販の売上は含みません。自費の比率が高い院では、実際の売上はこれより大きくなります
  • 単純平均です。複数の柔道整復師が勤務する大型院と、1人で営む小規模院が混ざっているため、「1人院の平均」とは一致しません
  • 療養費は厚生労働省保険局調査課の推計値です。年度と施術所数の時点は完全には一致しません

年間給付額(売上)の分布:45.8%が500万円未満

平均だけでは、売上のばらつきは見えません。そこで参考になるのが、公益社団法人日本柔道整復師会(日整)が会員について集計した「年間給付額(売上高)別会員数」です。ここでいう給付額は、保険(療養費)として支給された金額のことです。

年間給付額(売上高)会員数比率月あたりの目安
500万円未満7,113人45.8%約42万円未満
500万円超〜1,000万円未満5,008人32.3%約42万〜83万円
1,000万円超〜1,500万円未満2,030人13.1%約83万〜125万円
1,500万円超〜2,000万円未満766人4.9%約125万〜167万円
2,000万円超〜3,000万円未満430人2.8%約167万〜250万円
3,000万円超167人1.1%約250万円超
出典:公益社団法人日本柔道整復師会「平成30年度年間給付額(売上高)別会員数」(厚生労働省掲載資料)。2,000万円超の区分は編集部で集約。月あたりは12で割った目安

出典: 公益社団法人日本柔道整復師会『平成30年度年間給付額(売上高)別会員数』(厚生労働省掲載資料)(2020年)

年間給付額(保険の売上)別の会員比率(平成30年度)
出典: 日本柔道整復師会「平成30年度年間給付額(売上高)別会員数」

会員の約8割(78.1%)が年間給付額1,000万円未満で、中央値は「500万円超〜1,000万円未満」の区分にあります。保険の売上で月83万円(年1,000万円)を超える院は、全体の2割強にすぎません。前の章の試算(年約563万円)とも、おおむね整合する結果です。

一方で、2,000万円を超える院も約4%あります。分院展開や複数スタッフ体制の院が含まれていると考えられ、「平均」より「自院がどの層にいるか」を見るほうが経営判断には役立ちます。

整骨院の月商はどう決まる?来院数×単価×営業日数で見積もる

自院の月商を考えるときの基本式は、月商=1日の来院数×平均単価×月の営業日数です。保険施術の単価は国の算定基準で決まっているため、院長が自由に上げることはできません。

2026年7月施術分からの算定基準の改正で、打撲・捻挫の後療料は505円から550円に引き上げられた一方、2部位目は80%に逓減する仕組みが新設されました。出典: 厚生労働省『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準』の一部改正(2026年)(改定の詳細は柔道整復療養費の2026年改定まとめ)

後療料に罨法料・電療料などを加えても、2回目以降の保険施術の1回あたり単価は数百円〜千数百円程度の積み上げにとどまります。つまり保険中心の院は、単価が低く、来院数を増やさないと売上が伸びない構造です。

来院数と単価による月商シミュレーション

下の表は、計算式の使い方を示すための仮定の数値によるシミュレーションです(実在の院の平均ではありません)。月の営業日数は24日で計算しています。

パターン1日の来院数平均単価(仮定)月商(24日)年商
保険中心・1人院20人1,500円72万円864万円
保険中心・1人院(来院少)12人1,500円約43万円約518万円
保険+自費併用15人3,000円108万円1,296万円
自費中心・予約制8人6,000円約115万円約1,382万円
※単価・来院数は計算例のための仮定値。保険の単価は部位数・施術内容・初検か再検かで変わります

同じ月商100万円前後でも、保険中心なら1日20人近い来院が必要なのに対し、自費中心なら1日8人程度で届きます。1人院では1日に施術できる人数に限りがあるため、売上の天井を上げるには単価(自費の比率)を見直すしかないのが現実です。自費メニューの設計は{IL_JIHI}で詳しく解説しています。

整骨院の月商を分解すると「来院数×単価×営業日数」。院がコントロールできるのは新規・リピート・自費単価
整骨院の月商を分解すると「来院数×単価×営業日数」。院がコントロールできるのは新規・リピート・自費単価

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

整骨院業界の市場規模と推移:保険市場は8年で約1,000億円縮小

業界全体の市場規模の目安となる柔道整復療養費は、平成25年度の3,855億円から令和3年度の2,867億円へ、8年で約1,000億円(約26%)減りました。同じ期間に、はり・きゅうの療養費は365億円から442億円へ増えています。出典: 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)』(2024年)

年度柔道整復療養費対前年度伸び率はり・きゅう療養費
平成25年度3,855億円-3.2%365億円
平成27年度3,789億円-0.9%394億円
平成29年度3,437億円-5.5%411億円
令和元年度3,178億円-3.0%437億円
令和2年度2,831億円-10.9%415億円
令和3年度2,867億円+1.3%442億円
出典:厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会「柔道整復療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)」(2024年)。保険局調査課とりまとめの推計

同じ資料では、療養費の対象となった傷病の99%以上が捻挫と打撲(挫傷を含む)で、患者の年齢は70歳代の割合が最も高いことも示されています。保険の対象が外傷に限られるうえ、長期・多部位の施術への見直しが続いているため、保険市場が大きく伸びる余地は小さいと考えられます。出典: 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会『柔道整復療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)』(2024年)

市場の縮小は経営にも表れています。東京商工リサーチによると、整骨院などを含む療術業(マッサージ業)の倒産は2025年度に108件と過去30年で最多で、原因の84.2%が販売不振でした。出典: 東京商工リサーチ『マッサージ業』倒産調査(2026年) 廃業に至るパターンは整骨院の廃業理由7つで詳しく整理しています。

「保険適用で500円」の整骨院は売上が少ない?窓口負担と療養費の関係

「保険適用で1回500円」といった料金を見かけると、整骨院の売上はその500円だけのように思えます。しかし実際には、窓口で受け取る金額は施術料金の一部(自己負担分)にすぎません。

受領委任の仕組みでは、患者は窓口で原則1〜3割の一部負担金を支払い、残りの7〜9割は院が保険者(健康保険組合・協会けんぽ・市区町村など)に療養費として請求します。つまり窓口500円の施術でも、院の売上は保険者からの入金を含めた施術料金の総額です(仕組みは受領委任とはを参照)。

注意したいのは、保険分の入金は請求から数か月後になることです。月商が同じでも、手元の現金は保険分だけ遅れて入ってきます。開業直後に資金が足りなくなりやすいのはこのためで、運転資金の考え方は接骨院の開業融資(日本政策金融公庫)や接骨院の開業費用はいくら?で確認しておきましょう。

一部負担金の値引き(減免)や超過徴収は受領委任のルールで禁止されています。「保険なら何回でも500円」といった表示や、部位・回数を水増しした請求は、受領委任の取扱い中止につながる重大なリスクです。

整骨院の売上原価と仕訳の基本:利益はどこに残るか

売上の平均を知っても、手元に残る利益が分からなければ経営判断はできません。整骨院は物を仕入れて売る商売ではないため、売上原価はほとんどかからないのが特徴です。テーピング・湿布などの消耗品や、物販用の商品仕入れが主な原価になります。

一方で、利益を圧迫するのは家賃・人件費・広告費・リース料・請求事務の手数料などの固定費(販売費及び一般管理費)です。保険中心の院ほど売上の天井が低いため、固定費の比率が高くなりがちです。

区分主な中身会計上の扱いの例
保険の窓口負担患者から受け取る一部負担金受け取った日に売上(現金)
保険者への請求分療養費として保険者に請求する7〜9割施術した月の売上として計上し、入金までは売掛金
自費施術・回数券自費メニュー、回数券の販売施術の提供に応じて売上。回数券の未使用分の扱いは税理士に確認
交通事故自賠責保険・任意保険会社への請求施術した月の売上、入金まで売掛金
売上原価物販用の商品、施術用の消耗品仕入・消耗品費など
主な経費家賃・人件費・広告費・リース料・請求代行手数料地代家賃・給料賃金・広告宣伝費・リース料・支払手数料
※一般的な処理の例です。具体的な勘定科目・計上時期は顧問税理士にご確認ください

返戻(保険者から申請書が差し戻されること)があると、売掛金の入金が遅れたり、計上した売上が減ったりします。請求ミスを減らすレセコン選びは接骨院のレセコン比較が参考になります。

売上で失敗しない整骨院経営:よくある失敗パターンと対策

売上が伸び悩む整骨院には、いくつかの共通点があります。前の章までのデータをふまえて、典型的な失敗と対策を整理します。

よくある失敗なぜ売上が伸びないか対策
保険の売上だけで事業計画を立てる1院あたり保険収入は年約563万円(試算)まで下がり、改定で多部位・長期の算定も厳しくなっている自費・交通事故・物販を含めた売上構成で計画。保険比率の目標を決める
来院数だけを追う1人院は施術できる人数に上限があり、単価が低いと疲弊するだけ単価×来院数で目標を分解し、自費メニューで単価を設計
新規集客に頼り、リピートを測らない広告費をかけても通院が続かず売上が安定しない再来率・平均通院回数を毎月記録。初回説明と次回予約を徹底
入金のタイムラグを考えない保険分の入金は数か月後。売上があっても資金が尽きる運転資金を確保し、月次で入金予定を管理
「平均」と比べて安心・悲観する平均は大型院と1人院の混在。自院の立地・体制と合わない自院の月次データ(新規数・再来率・単価)で前年・前月と比べる
※データは本文中の各出典に基づく。対策は一般的な経営上の考え方

新規患者の集客では、地図検索(Googleマップ)経由の来院が欠かせません。具体的な施策は整骨院のMEO対策をご覧ください。

売上を立て直すための手順

整骨院の売上改善ステップ
  • STEP1
    現状の数字を出す
    直近12か月の月商を「保険・自費・交通事故・物販」に分け、新規数・再来率・平均単価を記録します。
  • STEP2
    自院の位置を知る
    年間の保険売上を日整の分布表と比べ、どの層にいるかを確認します。
  • STEP3
    単価の設計を見直す
    保険でできること・できないことを整理し、自費メニューの内容と価格を決めます。
  • STEP4
    来院の導線を整える
    Googleビジネスプロフィール・ホームページ・紹介の流れを整え、次回予約の仕組みを作ります。
  • STEP5
    毎月振り返る
    月次で数字を見直し、固定費の比率と資金繰りを確認します。

無料で使える経営相談・数値の調べ方

売上や資金繰りの相談は、費用をかけずに始めることもできます。日本政策金融公庫の窓口では創業・融資の相談ができ、各都道府県の「よろず支援拠点」(中小企業基盤整備機構が運営)でも経営相談を受け付けています。業界の公的データは、厚生労働省の柔道整復療養費検討専門委員会の資料や衛生行政報告例で無料で確認できます。

開業を検討している段階なら、独立後の収入の目安を柔道整復師の独立・開業後の年収、フランチャイズという選択肢を接骨院フランチャイズ比較で比較しておくと、事業計画の前提が立てやすくなります。勤務の柔道整復師として働く場合の収入は柔道整復師の給料・年収の実態にまとめています。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

整骨院の売上・月商についてよくある質問

Q
整骨院の平均月商はいくらですか?
A

公的な平均の統計はありません。柔道整復療養費(令和3年度2,867億円)を施術所数(令和4年末50,919か所)で割ると、1施術所あたりの保険収入は年約563万円、月約47万円です。これは保険分だけの単純平均で、自費や交通事故の売上は含みません。

Q
1人で営む整骨院の売上はどのくらいですか?
A

1人院に限った公的統計はありません。日本柔道整復師会の調べでは、会員の45.8%が年間給付額(保険の売上)500万円未満、78.1%が1,000万円未満でした。1人院は施術できる人数に上限があるため、自費の比率で売上が大きく変わります。

Q
整骨院の売上は今後増えますか?
A

保険市場は縮小傾向です。柔道整復療養費は平成25年度の3,855億円から令和3年度の2,867億円へ減り、施術所数は約5万か所で横ばいです。保険以外の売上(自費・交通事故・物販)をどう作るかが、今後の売上を左右します。

Q
保険適用で1回500円の整骨院はどうやって利益を出しているのですか?
A

窓口の500円は一部負担金で、残りの7〜9割は療養費として保険者に請求しています。院の売上は請求分を含めた施術料金の総額です。ただし保険分の入金は数か月後になるため、資金繰りの管理が必要です。

Q
整骨院の売上原価には何が入りますか?
A

物を仕入れて売る商売ではないため、売上原価は物販用の商品や施術用の消耗品など少額にとどまるのが一般的です。利益を左右するのは家賃・人件費・広告費などの固定費です。具体的な科目や計上時期は税理士に確認しましょう。

まとめ:整骨院の売上は「保険の平均」より自院の構成で考える

整骨院の売上平均を直接示す公的統計はありませんが、療養費の総額と施術所数から試算すると、1施術所あたりの保険収入は年約563万円(月約47万円)で、10年前の約839万円から約3割減っています。日本柔道整復師会の調べでも、会員の45.8%が年間給付額500万円未満でした。

保険の単価は国が決めるため、保険中心の院は来院数を増やすしか売上を伸ばす手段がありません。月商を「来院数×単価×営業日数」に分解し、自費・交通事故・物販を含めた売上構成と、入金のタイムラグを含めた資金繰りを設計することが、売上で失敗しない一番の近道です。

参考・出典

一次情報(参照日:2026年10月9日)

タイトルとURLをコピーしました