PR

整骨院の交通事故・自賠責請求の流れ|院側7ステップと必要書類【2026年】

記事内に広告(アフィリエイトリンク)が含まれています。

交通事故の患者さんを受け入れるとき、整骨院(接骨院)の受付や院長が迷いやすいのが「自賠責保険への請求をどう進めるか」です。結論から言うと、柔道整復師の施術費は自賠責保険の支払対象です。国の支払基準には「免許を有する柔道整復師(中略)が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする」と明記されています。

出典: 国土交通省・金融庁『自賠責保険支払基準』(平成13年告示第1号、令和2年4月1日以降の事故に適用)

ただし、支払われるのはあくまで「必要かつ妥当」と認められた範囲です。医師の診断がないまま施術を始める、保険会社への連絡が遅れる、施術記録が残っていない――こうした進め方をすると、損害保険料率算出機構の調査で施術の必要性や事故との因果関係が確認できず、支払いが認められないおそれがあります。

この記事では、院側の立場から、受付〜保険会社への連絡〜施術証明書・施術費明細書の作成〜支払いまでの流れ、一括払いと被害者請求の違い、慰謝料・休業損害の計算の仕組み、健康保険を使う場合の注意点、そして不正請求を疑われないための記録の残し方を、国土交通省・損害保険料率算出機構・e-Gov法令検索の一次情報で整理しました。患者さん向けの通院の流れは交通事故のむちうちで整骨院に通う流れ(患者さん向け)で解説しています。

この記事のポイント
・柔道整復の施術費は自賠責の支払対象(必要かつ妥当な実費)
・傷害の限度額は被害者1人120万円。治療関係費・休業損害・慰謝料をすべて含む
・慰謝料は1日4,300円、休業損害は原則1日6,100円(令和2年4月1日以降の事故)
・多くは任意保険会社の「一括払い」で院に支払われる。打ち切り後は被害者請求も
・骨折・脱臼の患部への施術は、応急手当を除き医師の同意が必要(柔道整復師法第17条)

自賠責保険とは?整骨院の施術費が支払われる根拠

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、自動車損害賠償保障法にもとづき、すべての自動車・バイクに加入が義務づけられている強制保険です。補償の対象は人身事故の被害者で、物損は対象外です。支払額には上限(限度額)があり、上限を超える部分は加害者が加入する任意保険などでまかなわれます。

損害の区分限度額(被害者1人あたり)
傷害による損害120万円
後遺障害による損害(介護を要する場合)第1級4,000万円/第2級3,000万円
後遺障害による損害(上記以外)第1級3,000万円〜第14級75万円
死亡による損害3,000万円
国土交通省 自賠責保険・共済ポータル『限度額と補償内容』より作成

出典: 国土交通省 自賠責保険・共済ポータル『限度額と補償内容』(2026年10月参照)

整骨院の施術費が支払われる根拠は、国(金融庁・国土交通省)が定めた支払基準です。支払基準では傷害による損害を「積極損害(治療関係費、文書料その他の費用)、休業損害及び慰謝料」と定め、治療関係費の一項目として「柔道整復等の費用」を置いています。つまり、施術費は病院の治療費と同じ「治療関係費」の枠に入り、休業損害・慰謝料と合わせて120万円の限度額を分け合うことになります。

支払基準の項目(傷害)支払われる額院との関係
柔道整復等の費用必要かつ妥当な実費施術費。施術証明書・施術費明細書で請求
診察料・投薬料・手術料など必要かつ妥当な実費併用する整形外科の治療費
通院費通院に要する交通費として必要かつ妥当な実費患者さんが通院交通費明細書で請求
診断書等の費用発行に必要かつ妥当な実費医師の診断書・診療報酬明細書の発行料
休業損害1日につき原則6,100円(立証により増額あり)対象日数は実休業日数を基準に治療期間の範囲内
慰謝料1日につき4,300円対象日数は実治療日数などを勘案し治療期間の範囲内
国土交通省・金融庁『自賠責保険支払基準』より抜粋・作成

出典: 国土交通省・金融庁『自賠責保険支払基準』(平成13年告示第1号、令和2年4月1日以降の事故に適用)

データで見る自賠責の傷害事案|頚部が最多、診療30日以内が36.8%

交通事故の患者さんは、整骨院にとってどのくらい身近なのでしょうか。損害保険料率算出機構が調査を終えた自賠責の傷害事案(診療費の請求があったもの)を受傷部位別に見ると、2024年度は頚部が548,290個で最多、腰背部378,155個、上肢393,209個が続きます。頚部の傷病の97.1%は「軽度」に分類されており、いわゆるむちうち(頚椎捻挫など)が中心と考えられます。

自賠責(共済)受傷部位別の傷病数(傷害・2024年度)
出典: 損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2025年度版』第8表
受傷部位傷病数うち軽度の割合
頚部548,290個97.1%
上肢393,209個71.2%
腰背部378,155個94.5%
下肢337,937個77.4%
頭顔部134,447個72.1%
合計(その他等を含む)1,986,253個83.1%
1人の被害者の初診時の傷病名ごとに集計(複数部位は部位ごとに計上)

出典: 損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2025年度版』(2024年度統計)

診療期間(初診から終わりまで)を見ると、1〜30日で終わる事案が310,863件(36.8%)と最も多い一方、91〜120日が104,928件(12.4%)、181〜360日も91,999件(10.9%)あります。「3か月前後」で一つの山があることは、保険会社から施術の終了(いわゆる打ち切り)を打診される時期を考えるうえでも参考になります。

自賠責(共済)診療期間ランク別の件数(傷害・2024年度)
出典: 損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2025年度版』第10表

出典: 損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2025年度版』(2024年度統計)(第10表。診療期間不明の23,140件を除く844,299件の内訳)

整骨院の自賠責請求の流れ|受付から入金まで7ステップ

交通事故の患者さんが来院したときの院側の動きを、時系列で整理します。相手方が任意保険に入っている多くのケースでは、任意保険会社が自賠責分も含めて窓口になる「一括払い」で進みます。

整骨院の自賠責(一括払い)請求の流れ
整骨院の自賠責(一括払い)請求の流れ
院側の実務7ステップ
  • STEP1
    受付・聞き取り
    事故日・事故状況・相手方の保険会社名と担当者・人身事故の届出の有無を確認。問診票に交通事故用の欄を設けると漏れが減ります。
  • STEP2
    医療機関の受診確認
    柔道整復師は診断や診断書の作成ができません。未受診なら整形外科の受診を案内し、整骨院での施術について医師に相談してもらいます。
  • STEP3
    保険会社への連絡
    患者さんから相手方保険会社に整骨院へ通う旨を伝えてもらい、院からも担当者に連絡して施術開始日・負傷部位・請求先を確認します。
  • STEP4
    施術と記録
    毎回の施術日・部位・施術内容・症状の変化を記録。骨折・脱臼の患部は応急手当を除き医師の同意が必要です。
  • STEP5
    書類作成
    保険会社所定の施術証明書・施術費明細書を作成(多くは月単位)。記載内容は施術録と一致させます。
  • STEP6
    送付・請求
    保険会社へ送付。保険会社は請求書類を確認し、必要に応じて損保料率機構の調査事務所に調査を依頼します。
  • STEP7
    入金・継続確認
    入金を確認し、施術を続ける場合は経過と見通しを保険会社と共有。終了の打診があれば医師の判断も踏まえて相談します。

出典: 国土交通省 自賠責保険・共済ポータル『支払までの流れと請求方法』(2026年10月参照)/出典: e-Gov法令検索『柔道整復師法』(昭和45年法律第19号)

「一括払い」と「被害者請求」「加害者請求」の違い

自賠責保険の請求方法は、法律上は加害者が賠償した後に請求する加害者請求と、被害者が相手方の自賠責保険会社に直接請求する被害者請求の2つです。これとは別に、相手方が任意保険にも入っている場合は、任意保険会社が自賠責分も含めてまとめて支払う一括払制度があります。

請求方法誰が請求するか院への支払い時効(3年)の起算点
一括払い(任意保険会社)任意保険会社が窓口となり、自賠責分も含めて支払う保険会社から院へ直接支払われるのが一般的―(自賠責分は保険会社が回収)
加害者請求加害者が被害者に賠償した後、自賠責保険会社へ請求加害者側から支払われる損害賠償金を支払った翌日から
被害者請求(傷害)被害者が相手方の自賠責保険会社へ直接請求被害者に支払われ、院へは患者さんから精算事故発生の翌日から
国土交通省『支払までの流れと請求方法』より作成。平成22年3月31日以前の事故は2年

出典: 国土交通省 自賠責保険・共済ポータル『支払までの流れと請求方法』(2026年10月参照)

一括払いが打ち切られた後も施術が必要な場合や、相手方が任意保険に入っていない場合は、患者さんが被害者請求で自賠責に直接請求する道があります。被害者請求の場合、支払いは被害者本人に行われるため、院の施術費を窓口で受け取るのか、後から精算するのかを事前に決めておきましょう。当面の費用に困る患者さんには、傷害の程度に応じて5万円・20万円・40万円を受け取れる仮渡金の制度もあります。

出典: 国土交通省 自賠責保険・共済ポータル『支払までの流れと請求方法』(2026年10月参照)

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

自賠責の請求に必要な書類|院が作るもの・患者さんが用意するもの

国土交通省のポータルでは、傷害の請求に必要な書類として次のものを挙げています。院が直接関わるのは、医師の書類に相当する施術の証明と明細です。国の一覧に載っていない書類は「保険会社または損保料率機構の調査事務所から連絡がある」とされており、施術証明書・施術費明細書は保険会社所定の様式で提出するのが一般的です。

書類取付け先・作成者傷害の請求での扱い
請求書保険会社の備付け必須
交通事故証明書(人身事故)自動車安全運転センター必須
事故発生状況報告書事故当事者等必須
医師の診断書治療を受けた医師・病院必須
診療報酬明細書治療を受けた医師・病院必須
通院交通費明細書患者さん必須
休業損害の証明事業主・税務署・市区町村事故内容により必要
印鑑証明書(受領者本人)市区町村必須
施術証明書・施術費明細書整骨院(保険会社所定の様式)施術を受けた場合に保険会社から求められる
国土交通省『支払までの流れと請求方法』の必要書類一覧をもとに作成(施術関係の行は編集部注)

出典: 国土交通省 自賠責保険・共済ポータル『支払までの流れと請求方法』(2026年10月参照)

施術証明書・施術費明細書の書き方のポイント

様式は保険会社ごとに異なるため、記入欄の名称は担当者に確認してください。どの様式でも共通して大切なのは、施術録(カルテ)と書類の内容が一致していることです。次の点を押さえると、照会や差し戻しが減ります。

  • 負傷名・負傷部位は、医師の診断書の傷病名・部位と食い違わないように確認する(部位が増えた場合は経緯を記録)
  • 初検日・施術日・施術日数は施術録と同じにする(来院していない日を含めない)
  • 施術内容と料金の内訳(初検料・施術料・後療料など院の料金項目)を明示し、料金表と一致させる
  • 症状の経過(可動域・痛みの程度など)を、毎回の記録から要約して書く
  • 医師の同意を得て骨折・脱臼の患部に施術した場合は、同意を得た医師名・日付を施術録に残す

施術録の作成・保存はレセコンや電子カルテで効率化できます。自賠責用の帳票に対応しているかは製品ごとに異なるので、導入前に確認しましょう(接骨院のレセコン比較/整骨院の電子カルテ比較)。

慰謝料・休業損害・施術費の計算|120万円の枠の中で決まる

患者さんから「慰謝料はいくらになるの?」と聞かれることは少なくありません。院が金額を約束することはできませんが、仕組みは説明できるようにしておくと信頼につながります。自賠責の慰謝料は1日4,300円×対象日数で、対象日数は「被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内」で決まります。休業損害は原則1日6,100円で、立証資料により実額が上回る場合は政令の上限まで実額が認められます。

出典: 国土交通省・金融庁『自賠責保険支払基準』(平成13年告示第1号、令和2年4月1日以降の事故に適用)

対象日数(例)慰謝料(4,300円×日数)休業損害の例(6,100円×休業日数)
30日129,000円休業10日なら61,000円
60日258,000円休業20日なら122,000円
90日387,000円休業30日なら183,000円
120日516,000円休業30日なら183,000円
計算例。対象日数は個別に判断されるため、実際の支払額とは異なります

ここで院が意識したいのは、施術費・病院の治療費・通院費・休業損害・慰謝料がすべて同じ120万円の枠に入ることです。施術期間が長くなり総額が120万円を超えると、超えた部分は任意保険会社の負担になり、保険会社は施術の必要性をより慎重に確認するようになります。「なぜこの頻度・この期間の施術が必要なのか」を記録で説明できる状態にしておくことが、結果的に院と患者さんの双方を守ります。

院の窓口で「通えば通うほど慰謝料が増える」といった説明をするのは避けましょう。対象日数は実治療日数などを勘案して個別に決まり、通院の必要性も調査されます。広告でも誤認を招く表現は規制の対象になり得ます(詳しくは整骨院の広告規制とガイドライン)。

健康保険・労災を使う場合の注意点|第三者行為による傷病届

交通事故でも、患者さんが希望すれば健康保険を使うことはできます。その場合、患者さんは加入する健康保険組合などに「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。健康保険組合などは給付した分を、後から加害者側に請求(求償)します。また、業務中や通勤中の事故は健康保険ではなく労災保険の対象です。

出典: 日本損害保険協会『交通事故の治療で健康保険は利用できる?手続き方法を解説』(2026年10月参照)

整骨院で健康保険を使う場合は、通常の療養費(受領委任)の扱いになり、対象は外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫などに限られます。療養費の対象範囲と請求の仕組みは整骨院で保険が使える範囲・受領委任とは・整骨院の保険請求の仕組みで詳しく解説しています。同じ負傷について、自賠責(一括払い)と健康保険を同じ期間に二重に請求しないよう、受付で請求先をはっきり決めておきましょう。

請求先使う場面院の窓口での扱い
自賠責(一括払い)相手方の任意保険会社が対応している窓口負担なし。保険会社へ書類を送付
自賠責(被害者請求)一括払いの打ち切り後・相手方が任意保険未加入患者さんと精算方法を事前に決める
健康保険(療養費)患者さんが希望した場合。第三者行為の届出が必要通常の受領委任と同様。対象は外傷性の負傷
労災保険業務中・通勤中の事故労災の様式で請求(健康保険は使えない)
日本損害保険協会『交通事故の治療で健康保険は利用できる?』等をもとに編集部作成

交通事故施術は「儲かる」?不正請求を疑われないための院の守り方

「整骨院 交通事故 儲かる」「整骨院 交通事故 詐欺」といった検索が多いことからもわかるように、交通事故の施術は世間から厳しい目で見られています。自賠責の施術費は必要かつ妥当な実費で支払われるため、保険診療より単価が高くなる場合はありますが、そのぶん保険会社と損害保険料率算出機構が、事故と傷害の因果関係や損害額を調査する仕組みがあります。

出典: 国土交通省 自賠責保険・共済ポータル『支払までの流れと請求方法』(2026年10月参照)

特に注意したいのが法律上の制限です。柔道整復師法第17条は「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない」と定め、違反には30万円以下の罰金が定められています(第30条)。また、外科手術や薬品の投与・その指示も禁じられています(第16条)。来院していない日の施術や、負傷していない部位を書類に記載すれば、不正請求として刑事責任を問われるおそれもあります。

出典: e-Gov法令検索『柔道整復師法』(昭和45年法律第19号)

リスクの高い行為なぜ問題か院の対策
医師の受診がないまま長期間施術因果関係・必要性を確認できず支払われないおそれ初診時に整形外科受診を案内し、定期受診を勧める
骨折・脱臼の患部への同意なき施術柔道整復師法第17条違反(応急手当を除く)医師の同意の有無・医師名・日付を記録
施術日数・部位の水増し虚偽の請求となり刑事責任を問われ得る施術録と請求書類を突合する仕組みをつくる
「慰謝料が増える」などの勧誘・広告誤認を招き、広告規制や信用失墜の原因に広告できる事項を確認し、金額の約束をしない
紹介料目当ての患者誘導トラブル・行政指導の原因になりやすい紹介の経緯を透明にし、金銭授受をしない
柔道整復師法・国土交通省ポータルをもとに編集部作成

交通事故の患者さんに頼る経営は、保険会社の対応や患者数の波に左右されやすい面もあります。保険診療・自費・交通事故のバランスは整骨院の売上と月商の目安や接骨院の自費移行も参考に考えてみてください。地域での認知を高めたい場合は整骨院のMEO対策も役立ちます。

受付・医療事務の実務チェックリスト

交通事故の対応は、院長だけでなく受付スタッフの段取りで大きく変わります。次のチェックリストを院内で共有しておくと、書類の不備や保険会社との行き違いを減らせます。

タイミング確認すること担当
初回来院時事故日・事故状況・人身事故の届出・医療機関の受診状況受付・柔道整復師
初回来院時相手方保険会社名・担当者名・連絡先・請求先(一括払いか否か)受付
施術開始時保険会社担当者への施術開始の連絡、負傷部位の共有受付・院長
毎回施術日・部位・施術内容・症状経過の記録柔道整復師
月末施術証明書・施術費明細書の作成と施術録との突合事務・院長
月初書類の送付、前月分の入金確認事務
随時整形外科の受診状況、終了・打ち切りの打診への対応院長
KATAKORY編集部作成

交通事故対応ができる柔道整復師や、保険請求に慣れた受付スタッフは採用市場でも評価されます。働く側として経験を積みたい方は柔道整復師の求人で見るべき条件も参考にしてください。

柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報

働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。

トラブル時の相談先

保険会社との見解の違いや示談のトラブルは、最終的には患者さんと相手方の問題です。院が法律判断をすることはできないため、患者さんには公益財団法人日弁連交通事故相談センターの無料相談(弁護士による電話・面接相談、示談あっ旋)を案内すると安心です(日弁連交通事故相談センター)。自賠責の支払いに納得できない場合の手続きは、国土交通省のポータルでも案内されています。

整骨院の交通事故・自賠責請求のよくある質問

Q
整骨院から直接、自賠責保険会社に請求できますか?
A

多くの場合は、相手方の任意保険会社が自賠責分も含めて支払う「一括払い」で、保険会社から院に施術費が支払われます。一括払いがない場合の自賠責への請求は、法律上は被害者請求か加害者請求で行い、院は施術証明書・施術費明細書を作成して患者さんの請求に協力する形になります。

Q
医師の許可(同意)がないと交通事故の施術はできませんか?
A

打撲・捻挫などは医師の同意がなくても施術できますが、骨折・脱臼の患部への施術は、応急手当を除き医師の同意が必要です(柔道整復師法第17条)。また、施術の必要性や事故との因果関係を示すため、まず整形外科で診断を受け、施術中も定期的に受診してもらうのが一般的です。

Q
自賠責の施術料金はいくらに設定すればいいですか?
A

支払基準では柔道整復等の費用は「必要かつ妥当な実費」とされ、全国一律の料金表はありません。院の料金表を整備し、施術内容と料金の根拠を説明できるようにしたうえで、施術開始時に保険会社の担当者と確認しておくとトラブルを防げます。

Q
自賠責の請求に期限はありますか?
A

被害者請求(傷害)は事故発生の翌日から3年、加害者請求は損害賠償金を支払った翌日から3年です(平成22年3月31日以前の事故は2年)。請求が遅れそうな場合は時効更新の制度があるため、保険会社に相談できます。

Q
交通事故の患者さんに健康保険を使ってもいいですか?
A

患者さんが希望すれば使えます。その場合は患者さんが健康保険組合などに「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。業務中・通勤中の事故は労災保険の対象です。同じ期間に自賠責と健康保険へ二重に請求しないよう、請求先を受付で明確にしておきましょう。

まとめ|「医師の診断・保険会社への連絡・記録」が自賠責請求の3本柱

  • 柔道整復の施術費は自賠責の支払対象(必要かつ妥当な実費)。根拠は国の支払基準
  • 傷害の限度額は120万円で、施術費・治療費・休業損害(原則1日6,100円)・慰謝料(1日4,300円)を含む
  • 多くは任意保険会社の一括払い。打ち切り後や任意保険未加入時は被害者請求・仮渡金も
  • 請求書類は施術録と一致させる。骨折・脱臼の患部は応急手当を除き医師の同意が必要
  • 健康保険を使う場合は第三者行為による傷病届。業務・通勤中の事故は労災

交通事故の患者さんは、体の不調に加えて保険や示談の不安を抱えて来院します。院が手続きの流れを正しく理解し、記録と説明をていねいに行うことが、適正な支払いと患者さんの信頼の両方につながります。

参考・出典

※本記事は2026年10月17日時点の公開情報をもとに作成しています。個別の請求・法律判断は、保険会社・弁護士・所属団体にご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました