鍼灸(はり・きゅう)は、①対象となる疾病(神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症の6疾病など)であること、②保険医が診察したうえで同意書を交付していること、③同じ病気で病院の治療を受けていないことの3つをそろえれば、健康保険の「療養費」として保険適用になります。同意書による支給期間は最長6か月で、続けるには医師の診察を受けて同意書をもう一度もらう「再同意」が必要です。
ただし、病院で同じ病気の薬や湿布を処方されている、オンライン診療で同意書をもらった、6か月の期限を過ぎていた——といった理由で、後から保険が使えず全額自己負担になるケースもあります。患者にとっても、鍼灸院にとっても、同意書のルールを正しく知っておくことがトラブル防止の第一歩です。
この記事では、厚生労働省の通知「療養費の支給の留意事項等」(最終改正 令和8年6月5日)、医師向けリーフレット、同意書の公式様式、協会けんぽの案内をもとに、鍼灸の保険適用の条件、同意書のもらい方と費用、再同意の期限の数え方、施術報告書、2026年7月からの料金までを、患者と施術者の両方の目線で整理しました。鍼灸院の開業準備全体は鍼灸院の開業費用と手続きで解説しています。
この記事のポイント
・保険適用の対象は6疾病(神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症)が基本。それ以外の慢性的な疼痛は保険者が個別に判断
・同意書は保険医が診察したうえで交付。無診察・オンライン診療・電話再診での交付は不可
・同意書で保険が使えるのは最長6か月(初療・再同意日が15日以前なら5か月後の月末、16日以降なら6か月後の月末まで)
・同じ病気で病院の治療(投薬・湿布・処置)を受けている間は併用不可
・医師の同意書交付料は100点(令和6年度点数表)。患者は1〜3割を負担
鍼灸が保険適用になる3つの条件
鍼灸の保険は、病院の診療のような「療養の給付」ではなく、療養費という形で支給されます。協会けんぽは、はり・きゅうが健康保険の対象になるのは次の3つの要件をすべて満たす場合のみで、対象とならない場合は全額自己負担になると案内しています。(出典:全国健康保険協会『はり・きゅう等のかかり方』)
| 条件 | 内容 | よくある誤解 |
|---|---|---|
| ① 対象となる疾病 | 神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症(6疾病)。これらと同一範ちゅうの慢性的な疼痛も認められる場合がある | 肩こり・疲労回復・美容目的は対象外 |
| ② 医師の同意 | 保険医が診察のうえ、はり・きゅうの施術に同意し、同意書(または同意書に代わる診断書)を交付していること | オンライン診療や電話での同意書は不可 |
| ③ 医師による適当な治療手段がない | 同じ病気で病院の治療(投薬・湿布・処置など)を受けていないこと。診察・検査・同意書の交付は除く | 湿布を処方されているだけでも併用扱いになる |
対象となる6疾病と「その他」の扱い
厚生労働省の通知では、神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症について保険医から同意書の交付を受けて施術を受けた場合は、「医師による適当な治療手段のないもの」として療養費の支給対象として差し支えないとされています。6疾病以外の病名で同意書が出された場合は、記載内容から支給要件を保険者が個別に判断します。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日))
医師向けリーフレットでは、6疾病と同一範ちゅうと認められる疾病や、慢性的な疼痛を主症とする疾患であれば同意書の「7.その他」欄に病名を書けること、また6疾病・その他のいずれも慢性期に至らないものであっても差し支えないことが明記されています。同意書の「3.頸腕症候群」は「頸肩腕症候群」と書き換えてもよいとされています。(出典:厚生労働省『はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします』(令和7年4月版))
「病院の治療と併用できない」の意味
療養費は、同一疾病にかかる療養の給付(診察・検査・療養費同意書交付を除く)との併用は認められません。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日)) 協会けんぽは、医師から薬や湿布を処方された場合も治療行為となり、はり・きゅうは健康保険扱いにならないと注意を呼びかけています。(出典:全国健康保険協会『はり・きゅう等のかかり方』) 一方で、腰痛症で鍼灸に通いながら、別の病気(たとえば高血圧)で病院にかかることは問題ありません。「同じ病気かどうか」がポイントです。
医師の同意書とは?誰が・どうやって書くのか
同意書は、保険者が「この施術は療養費の対象か」を判断するための書類です。厚生労働省は医師向けリーフレットで、患者が療養費の支給を受けるにはあらかじめ保険医から同意書の交付を受ける必要があると説明しています。(出典:厚生労働省『はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします』(令和7年4月版))
同意書の主な記載項目(公式様式)
同意書には厚生労働省が定めた基準様式があり、様式の項目をすべて満たしていれば医療機関独自の項目を追加することもできます。様式は厚生労働省「はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱い」からWord形式でダウンロードできます。
| 項目 | 書く内容・注意点 |
|---|---|
| 患者 | 住所・氏名・生年月日 |
| 病名 | 1〜6(6疾病)に○、または「7.その他」に慢性的な疼痛を主訴とする病名を記入 |
| 発病年月日 | 分からない場合は「○年○月頃」「不詳」でもよい |
| 同意区分 | 初回の同意/再同意に○。その医療機関で初めて同意する疾病なら、他院で同意歴があっても「初回」 |
| 診察日 | 同意する疾病について実際に診察した直近の日 |
| 注意事項等 | 施術で注意すべき事項・要加療期間など(任意) |
| 同意日・保険医療機関名・保険医氏名 | 実際に同意し交付した日と、診察した医師の氏名 |
同意書を出せる医師・出せないケース
- 主治の医師が原則:同意・再同意を求める医師は、緊急その他やむを得ない場合を除き、その疾病について現に診察を受けている主治の医師とされています
- 無診察の同意は不可:同意・再同意のどちらも医師の診察が必要です
- オンライン診療での交付は不可:厚生労働省の通知に明記されています
- 電話等による再診での交付は不可:医師向けリーフレットに明記されています
- 初診でもよい:同意書の交付は、一定期間の治療を先に受けていることが要件ではありません
- 訂正は二重線+署名(訂正印):修正テープや修正液は使えません
このうち主治医・無診察・オンライン診療・訂正方法は厚生労働省の留意事項通知に、電話再診と初診可は医師向けリーフレットに書かれています。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日))(出典:厚生労働省『はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします』(令和7年4月版)) 同意した医師は施術の結果に責任を負うものではないことも、リーフレットで医師に向けて説明されています。
同意書の代わりに診断書でもよい
病名・症状(主訴を含む)・発病年月日・診察区分・診察日が書かれ、保険者が施術対象かどうか判断できる診断書は、同意書に代えることができます。施術の適否に直接ふれていなくても、保険者が判断できる内容であれば足ります。診断書にも基準様式(別紙2)があります。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日))
同意書の費用はいくら?患者負担の目安
医療機関が同意書を交付したときは、診察の初診料・再診料などとは別に「療養費同意書交付料」を算定します。令和6年度の医科診療報酬点数表では100点(1点=10円で1,000円)です。(出典:厚生労働省『医科診療報酬点数表』B013 療養費同意書交付料(令和6年度)) 患者が窓口で払うのは、初診料・再診料と交付料の合計のうち、自分の負担割合(1〜3割)の分です。
| 負担割合 | 同意書交付料(100点=1,000円)の自己負担 | あわせてかかるもの |
|---|---|---|
| 3割 | 300円 | 初診料または再診料の3割、必要な検査の3割 |
| 2割 | 200円 | 同上(2割) |
| 1割 | 100円 | 同上(1割) |
医師向けリーフレットによると、診察日の後日に一連の行為として同意書の交付だけを行った場合は、別に再診料などは算定できません。(出典:厚生労働省『はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします』(令和7年4月版)) なお、施術所が医療機関や医師に金品を渡して同意書を得た場合、その結果の施術は療養費の支給対象外になります。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日))
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同意書の有効期間は6か月:再同意の期限の数え方
同意書(診断書)に基づいて療養費を支給できる期間は、初療日または医師の再同意日から起算して6か月です。正確には、初療日・再同意日が月の15日以前なら当該月の5か月後の月末まで、16日以降なら6か月後の月末までです。同意書に6か月を超える加療期間が書かれていても、超えた分は支給できず、続けるには改めて医師の同意が必要です。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日))
| 初療日・再同意日 | 支給できる期限 | 考え方 |
|---|---|---|
| 2026年4月10日 | 2026年9月30日 | 15日以前 → 4月の5か月後(9月)の末日 |
| 2026年4月20日 | 2026年10月31日 | 16日以降 → 4月の6か月後(10月)の末日 |
| 2026年10月1日 | 2027年3月31日 | 15日以前 → 10月の5か月後(3月)の末日 |
| 2026年10月16日 | 2027年4月30日 | 16日以降 → 10月の6か月後(4月)の末日 |
協会けんぽも、健康保険を使って継続して施術を受けるには6か月ごとに文書による同意が必要だと案内しています。(出典:全国健康保険協会『はり・きゅう等のかかり方』) 再同意の場合でも医師の診察と同意書(文書)の交付が必要です。(出典:厚生労働省『はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします』(令和7年4月版))
- 4月上旬医療機関を受診主治医の診察を受け、同意書(初回の同意)を交付してもらう
- 4月10日鍼灸院で初療同意書を施術所に提出。支給期限は9月30日
- 8月〜9月施術報告書の交付施術者が施術内容・頻度・経過を報告書にまとめ、患者に交付(または医師に送付)
- 9月中医師の再同意報告書と直近の診察をもとに医師が再同意を判断し、同意書(再同意)を交付
- 10月以降施術を継続再同意日から次の6か月の期間で療養費を請求
同意期間中に病院を受診したら?
同意期間中に医師の対診(診察・検査のみ)を受け、同じ病名で施術を再開した場合は、当初の同意期間内なら改めての同意は不要です。施術の転帰が「中止」であれば、同意期間中に施術を再開しても差し支えないとされています。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日))
再同意をスムーズにする「施術報告書」と交付料
医師と施術者の連携のため、医師は再同意にあたって、施術者が作成した施術報告書で施術内容や患者の状態を確認し、直近の診察に基づいて同意すべきとされています。報告書には、施術の内容、施術の頻度(月平均○回)、患者の状態・経過などを記入します。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日))
報告書を患者に交付した場合(または患者に説明したうえで医師に原本を送付した場合)は、施術報告書交付料を療養費として算定できます。支給は一の同意期間について1回までで、原則として初療・再同意日の属する月の5か月後(16日以降なら6か月後)の月に交付した場合などが対象です。報告書を作らない場合でも、施術者は医師からの問い合わせに応じるべきとされています。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日))

鍼灸の保険料金:2026年7月改定後の療養費
はり・きゅうの療養費の料金は、令和8年(2026年)7月1日以降の施術分から次のとおりです。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について』(令和8年6月5日 保発0605第8号))
| 項目 | 1術(はり又はきゅう) | 2術(はり・きゅう併用) |
|---|---|---|
| 初検料 | 2,000円 | 2,320円 |
| 施術料(1回) | 1,650円 | 1,820円 |
| 電療料(加算・1回) | 100円 | 100円 |
| 往療料(1回) | 2,300円 | 2,300円 |
| 施術報告書交付料 | 480円 | 480円 |

患者の窓口負担は、この料金のうち負担割合の分です。あくまで料金表から計算した例ですが、2術で初回(初検料2,320円+施術料1,820円=4,140円)を3割負担で受けると約1,240円、2回目以降(施術料1,820円)は約550円になります。実際の金額は電療料の有無、往療の有無、端数処理、施術所の自費部分の有無で変わります。
保険の施術と自費メニュー(美容鍼など)を同じ日に組み合わせる場合は、患者に区別をわかりやすく説明し、領収証や施術録を分けて管理することが大切です。自費メニューの設計は自費メニューへの移行と単価の決め方、料金表示や広告の注意点は整骨院・治療院の広告規制とガイドラインも参考にしてください。
鍼灸が保険適用外になる・後から不支給になるケース
同意書があっても、次のような場合は療養費が支給されません。患者は後から施術所や保険者から差額を請求されることがあり、施術所にとっても返戻・不支給の原因になります。
| ケース | 理由・根拠 |
|---|---|
| 同じ病気で病院の投薬・湿布・処置を受けている | 療養の給付との併用不可(診察・検査・同意書交付は除く) |
| 6疾病以外で、保険者が要件を満たさないと判断 | 6疾病以外は保険者の個別判断 |
| オンライン診療・無診察・電話再診で交付された同意書 | 医師の診察に基づく同意が必要 |
| 同意期間(6か月)を過ぎて再同意がない | 期間超過分は支給できない |
| 保険医療機関に入院中の施術 | 往療・通所のいずれでも支給不可 |
| 自己施術・家族への施術(自家施術) | 支給対象外 |
| 施術所が医師に金品を渡して得た同意書、患者紹介料を払って得た患者 | 支給対象外 |
| 肩こり・疲労回復・美容・予防目的 | 慢性的な疼痛を主症とする疾病ではない |
また協会けんぽは、長期かつ頻回な施術を継続して受けている患者について、受領委任をやめて償還払いに変更する場合があるとしています。保険者から施術日や施術内容について電話や文書で照会が届くこともあり、その場合は患者自身が回答します。(出典:全国健康保険協会『はり・きゅう等のかかり方』) 留意事項通知では、初療から1年以上経過し、月16回以上施術を受けた患者には、継続理由・状態記入書の添付が求められています。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日))
肩こりで保険の鍼灸を受けたい、という相談は多いですが、肩こりそのものは6疾病に入っていません。頸腕(頸肩腕)症候群などとして医師が診察・同意した場合に限られます。「肩こりでどこに行けばいいか」は肩こりは整体・マッサージ・整骨院のどこへ行くべき?で整理しています。
国民健康保険でも使える?受領委任と償還払いの違い
鍼灸の療養費は、健康保険(協会けんぽ・健保組合)、国民健康保険、後期高齢者医療制度のいずれでも同じ通知に基づいて支給されます。厚生労働省は、療養費の支給決定は保険者が行うが、保険者ごとに取扱いの差が出ないよう支給基準を通知で定めていると説明しています。(出典:厚生労働省『はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします』(令和7年4月版))
違いが出やすいのが支払い方法です。協会けんぽは、本来の原則は償還払い(いったん全額を払い患者が保険者に請求)だが、はり・きゅうは患者が自己負担分だけを払い施術者が残りを請求する「受領委任」が認められていると案内しています。(出典:全国健康保険協会『はり・きゅう等のかかり方』) 一方、三菱健康保険組合のように償還払いを選択している健保組合もあり、その場合は窓口で全額を払い、同意書を添えて自分で申請します。
| 受領委任 | 償還払い | |
|---|---|---|
| 窓口での支払い | 自己負担分(1〜3割)のみ | いったん全額 |
| 療養費の請求 | 施術管理者が患者に代わって保険者へ | 患者が自分で保険者へ |
| 同意書の提出 | 施術所が申請書に添付(初回・再同意時) | 患者が申請書に添付(初回・再同意時) |
| 施術所の条件 | 受領委任の登録(施術管理者の要件あり) | 特になし |
同意書は初回申請時と再同意時に添付し、同じ同意期間内の2回目以降の請求では添付を省略できます。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日)) 受領委任の仕組みや施術管理者の要件は受領委任とは?療養費の仕組みと償還払いとの違い、請求ソフトの選び方はレセコン(請求ソフト)の比較で解説しています。保険の種類が途中で変わった場合、患者や新しい保険者から求めがあれば、前の保険者は同意書の写しを交付することになっています。(出典:厚生労働省『はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について』(最終改正 令和8年6月5日))
鍼灸院向け:同意書トラブルを防ぐ5つの手順
- 初回の問診で併用状況を確認する:同じ病気で薬・湿布・リハビリなどを受けていないかを聞き、併用不可のルールを説明します
- 同意書の様式と記入漏れをチェックする:病名・発病年月日・同意区分・診察日・同意日・医師名がそろっているか、訂正が二重線+署名になっているかを確認します
- 支給期限を台帳で管理する:初療日・再同意日から「15日ルール」で期限を計算し、期限の前月には患者に再同意の案内をします
- 施術報告書で医師と連携する:施術内容・頻度・経過を具体的に書き、医師が再同意を判断しやすくします
- 医師との関係は適正に:同意書のための金品の提供は支給対象外になる重大な違反です。地域の医療機関とは報告書や情報提供で信頼関係を築きます
開業前から、同意書をお願いできる医療機関との関係づくりや、保険と自費のバランスを考えておくと経営が安定します。開設届などの手続きは施術所の開業届出(保健所の開設届)、柔道整復(接骨院)の療養費との違いは整骨院の保険請求の仕組みも参考にしてください。
鍼灸の保険適用と同意書に関するよくある質問
- Q鍼灸の同意書は保険適用になりますか?
- A
同意書の交付には「療養費同意書交付料」(令和6年度点数表で100点)と初診料・再診料がかかり、いずれも健康保険が使えるので、患者は1〜3割を負担します。同意書を受けた後の鍼灸の施術も、6疾病などの条件を満たせば療養費として保険適用になります。
- Q鍼灸の同意書はどの病院でもらえますか?
- A
その病気について診察を受けている主治の保険医が原則です。整形外科や内科などで、医師が診察したうえで同意します。オンライン診療や電話での再診では交付できません。初診でも交付は可能ですが、同意するかどうかは医師の判断です。
- Q同意書の有効期間はいつまでですか?
- A
初療日または再同意日が月の15日以前なら5か月後の月末まで、16日以降なら6か月後の月末までです。続けるには医師の診察を受け、再同意の同意書をもらう必要があります。
- Q鍼灸の保険適用にするには何が必要ですか?
- A
①6疾病など対象の病気であること、②保険医の同意書(または診断書)、③同じ病気で病院の治療を受けていないこと、の3つです。受領委任を扱う鍼灸院なら、窓口で自己負担分だけを払い、申請書に署名すれば施術所が請求します。
- Q国民健康保険でも鍼灸は保険適用になりますか?
- A
はい。国民健康保険・後期高齢者医療制度でも、同じ厚生労働省の基準で療養費が支給されます。ただし受領委任を取り扱うかどうかは保険者により異なり、償還払いの場合は全額を払った後に自分で申請します。
まとめ:同意書は「診察・6か月・併用なし」を押さえる
鍼灸の保険適用は、6疾病などの対象疾病、保険医の診察に基づく同意書、病院の治療と併用しないこと、の3つがそろって初めて成り立ちます。同意書は最長6か月で、継続には医師の診察と文書による再同意が必要です。オンライン診療の同意書や期限切れは、後から全額自己負担になる典型的な原因です。
鍼灸院の側は、問診での併用確認、同意書の記入チェック、期限管理、施術報告書による医師との連携を仕組みにしておくと、返戻や患者トラブルを大きく減らせます。保険の知識がある鍼灸師は現場で重宝されます。働く環境を見直したい方は、求人情報もチェックしてみてください。
柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報
働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。
参考・出典
一次情報(参照日:2026年10月4日)
- 厚生労働省「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」(最終改正 令和8年6月5日 保医発0605第3号)
- 厚生労働省「はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱い(保険医療機関及び保険医の皆様へ)」
- 厚生労働省リーフレット「はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします」(令和7年4月版)
- 厚生労働省「同意書・診断書(はり及びきゅう療養費用)様式」
- 厚生労働省「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について」(令和8年6月5日 保発0605第8号)
- 厚生労働省「医科診療報酬点数表」B013 療養費同意書交付料(令和6年度)
- 厚生労働省「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費に関する受領委任の取扱いについて」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「はり・きゅう等のかかり方」
- 三菱健康保険組合「保険医の同意を得て、はり・きゅう、あんま・マッサージ・指圧の施術を受けたとき」

