自費メニューの比率を上げようとする整骨院(接骨院)で、ほぼ必ず検討されるのが「回数券」や「前払いの通院プラン」です。キャッシュフローが安定し、患者さんの通院も続きやすくなる一方で、各地の消費生活センターには「整体院で回数券を買ったが解約できない」という相談が寄せられ、自治体が注意喚起のページを出しています。
結論から言うと、整骨院・整体院の回数券を直接まとめて規制する専用の法律はありません。ただし、関係する法律は複数あり、とくに次の3点は院側が必ず押さえておくべきポイントです。
- 資金決済法:有効期限が6か月を超える回数券は「前払式支払手段」にあたり得る。未使用残高が基準日に1,000万円を超えると届出・供託が必要
- 消費者契約法:「一切返金しません」という条項でも、平均的な損害を超える部分は無効。強引な勧誘をすると契約を取り消されることがある
- 特定商取引法:店舗で結ぶ整体・整骨院の回数券は原則として対象外(クーリング・オフなし)。ただしキャッチセールス等で誘った場合などは訪問販売にあたる
この記事では、院長・開業予定の柔道整復師の方に向けて、回数券・前払いプランに関わる法律を条文ベースで整理し、自治体に寄せられたトラブル事例、返金・清算ルールの作り方、医療費控除の扱い、導入の手順までをまとめました。自費化全体の進め方は接骨院の自費移行の進め方、価格表示や広告の注意点は整骨院の広告規制とガイドラインもあわせてご覧ください。
この記事のポイント
・回数券を直接規制する専用法はないが、資金決済法・消費者契約法・特定商取引法・民法が関わる
・有効期限6か月以内なら資金決済法の適用除外(施行令第4条第2項)
・「返金不可」条項は平均的な損害を超える部分が無効になり得る(消費者契約法第9条)
・保険(療養費)の施術と自費の回数券は明確に分ける
- 整骨院の回数券・前払いに関わる法律|まず全体像を一覧で確認
- 資金決済法|有効期限「6か月」と未使用残高「1,000万円」が分かれ目
- 特定商取引法|整体・整骨院の回数券にクーリング・オフはある?
- 消費者契約法と民法|「返金不可」は通用する?中途解約と返金のルール
- 回数券のトラブル事例|「しつこい」「高い」と感じられる院の共通点
- トラブルにならない回数券の作り方|返金・清算ルールと契約書の項目
- 整骨院の回数券は医療費控除の対象になる?患者さんへの説明ポイント
- 回数券・前払いプランを導入する手順|院長向け5ステップ
- 整骨院の回数券・前払いに関するよくある質問
- まとめ|回数券は「6か月・書面・清算ルール」で安全に運用する
- 参考・出典
整骨院の回数券・前払いに関わる法律|まず全体像を一覧で確認
回数券は「先にお金を受け取り、後から施術(役務)を提供する」取引です。この前払いの性質から、お金の保全を目的とする資金決済法、消費者との契約の公正さを守る消費者契約法、勧誘方法を規制する特定商取引法、そして契約の基本ルールである民法が関係します。それぞれの役割を一覧にすると次のとおりです。
| 法律 | 回数券との関係 | 院側が注意すべき点 |
|---|---|---|
| 資金決済法 | 回数券は「前払式支払手段」(第3条第1項第2号)にあたり得る | 有効期限6か月超・未使用残高1,000万円超で届出・供託 |
| 消費者契約法 | 院(事業者)と患者さん(消費者)の契約全般に適用 | 不当な勧誘は取消し(第4条)、過大な違約金条項は一部無効(第9条) |
| 特定商取引法 | 店舗での契約は原則対象外。訪問販売・電話勧誘販売等にあたれば対象 | キャッチセールス・アポイントメントセールスで誘うとクーリング・オフ対象 |
| 民法 | 施術の契約は準委任(第656条)として委任の規定を準用 | 各当事者はいつでも解除できる(第651条) |
| 所得税法(医療費控除) | 治療目的の柔道整復の施術費は控除対象になり得る | 領収書の発行・記載内容を整える |
出典: e-Gov法令検索『資金決済に関する法律』(平成21年法律第59号)/出典: 同施行令(平成22年政令第19号)第4条第2項・第6条/出典: e-Gov法令検索『消費者契約法』(平成12年法律第61号)第4条・第7条・第9条/出典: e-Gov法令検索『特定商取引に関する法律』第2条・第9条/出典: e-Gov法令検索『民法』第651条・第656条
なお、健康保険を使う施術(療養費)は、制度上のルールに従って施術ごとに一部負担金を受け取るのが前提です。回数券やプランの対象は自費メニューに限定し、保険施術と混ぜないことがトラブル防止の基本になります。保険が使える範囲は整骨院で保険が使える範囲、請求の流れは整骨院の保険請求の仕組み・受領委任の仕組みで解説しています。
資金決済法|有効期限「6か月」と未使用残高「1,000万円」が分かれ目
資金決済法は、商品券やプリペイドカードなどの「前払式支払手段」を発行する事業者に、利用者保護のためのルールを課す法律です。第3条第1項第2号は、「役務の数量に応ずる対価を得て発行される証票等」で、発行者に役務の提供を請求できるものを前払式支払手段と定めています。「施術10回分」のように回数で表示された回数券は、この定義にあたり得ます。
適用除外:発行日から6か月以内に限り使える回数券
第4条第2号は、「発行の日から政令で定める一定の期間内に限り使用できる前払式支払手段」を適用除外としています。この期間は施行令第4条第2項で「六月」と定められています。つまり、有効期限を発行日から6か月以内に設定した回数券は、資金決済法の規制を受けません。多くの院が回数券の有効期限を「6か月」以内にしているのはこのためです。
出典: e-Gov法令検索『資金決済に関する法律』(平成21年法律第59号)/出典: 同施行令(平成22年政令第19号)第4条第2項・第6条
6か月を超える場合:基準日の未使用残高で判断
有効期限が6か月を超える(または期限なしの)回数券は前払式支払手段にあたり、院だけで使える回数券は「自家型前払式支払手段」(第3条第4項)になります。自家型の場合、すぐに届出が必要になるわけではありません。毎年3月31日と9月30日(基準日)の未使用残高が基準額=1,000万円(施行令第6条)を超えたときに、届出書の提出(第5条)が必要になり、未使用残高の2分の1以上の発行保証金の供託(第14条)なども求められます。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象になる回数券 | 回数(役務の数量)に応じた対価で発行される証票等 | 資金決済法 第3条第1項第2号 |
| 適用除外 | 発行日から6か月以内に限り使用できるもの | 第4条第2号・施行令第4条第2項 |
| 基準日 | 毎年3月31日・9月30日 | 第3条第2項 |
| 基準額 | 1,000万円 | 第14条第1項・施行令第6条 |
| 届出(自家型) | 基準日未使用残高が初めて基準額を超えたとき | 第5条 |
| 発行保証金 | 基準日未使用残高の2分の1以上を供託 | 第14条第1項 |
| 情報提供 | 名称、支払可能金額等、使用期限、苦情・相談窓口など | 第13条 |
| 払戻し | 届出後は業務廃止時などを除き原則禁止(少額等の例外あり) | 第20条第1項・第5項 |
出典: e-Gov法令検索『資金決済に関する法律』(平成21年法律第59号)/出典: 同施行令(平成22年政令第19号)第4条第2項・第6条

注意したいのは、6か月以内に設定して資金決済法の対象外にしても、消費者契約法や民法のルールは変わらず適用される点です。また、届出後の発行者は、業務を廃止したときなどを除き原則として払戻しができなくなる(第20条第5項)一方、業務の全部または一部を廃止した場合には払戻しの手続きが必要です(第20条第1項)。院の閉院や事業譲渡を考えるときにも関わるため、長期の前払いプランを設計する前に把握しておきましょう。
一般の院では未使用残高が1,000万円を超えるケースは多くありませんが、分院展開やサブスク型プランで前受金が積み上がると届く可能性があります。整骨院の売上と月商の目安を参考に、月商と回数券の売上比率から残高を試算しておくと安心です。
柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報
働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。
特定商取引法|整体・整骨院の回数券にクーリング・オフはある?
消費者からの相談で最も多い質問のひとつが「クーリング・オフできないか」です。特定商取引法でクーリング・オフが定められているのは、訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供などの取引類型です。
特定継続的役務提供の7役務に整体・整骨院は入っていない
長期・高額の継続的サービスを対象とする「特定継続的役務提供」は、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7役務に限られています。整体・整骨院の施術はこの一覧に含まれていません。
| 役務 | 期間要件 | 金額要件 | 中途解約の上限(役務提供開始前) |
|---|---|---|---|
| エステティック | 1か月超 | 5万円超 | 2万円 |
| 美容医療 | 1か月超 | 5万円超 | 2万円 |
| 語学教室 | 2か月超 | 5万円超 | 1万5,000円 |
| 家庭教師 | 2か月超 | 5万円超 | 2万円 |
| 学習塾 | 2か月超 | 5万円超 | 1万1,000円 |
| パソコン教室 | 2か月超 | 5万円超 | 1万5,000円 |
| 結婚相手紹介サービス | 2か月超 | 5万円超 | 3万円 |
出典: 消費者庁『特定商取引法ガイド|特定継続的役務提供』(2026年10月参照)

東京都消費生活総合センターも、整体院での施術契約は特定商取引法の対象外であり、クーリング・オフは適用されず契約書面の交付義務もない、と説明しています。ただし、施術内容がエステティック(体型を整える・体重を減らす施術など)にあたる場合は、特定継続的役務提供として規制がかかる可能性があります。痩身や美容をうたう自費メニューを回数券にする場合は、とくに注意が必要です。
出典: 東京都消費生活総合センター『整体院の回数券購入後の解約はできない?!』(平成30年11月公表・令和4年8月更新)/出典: 消費者庁『特定商取引法ガイド|特定継続的役務提供』(2026年10月参照)
キャッチセールス・電話勧誘で契約するとクーリング・オフの対象に
店舗に患者さんが自ら来院して契約した場合は、特定商取引法の「訪問販売」にはあたりません(神戸市消費生活センターも同趣旨の回答をしています)。しかし、第2条第1項第2号は、営業所以外の場所で呼び止めて営業所に同行させた人(いわゆるキャッチセールス)などとの契約も訪問販売に含めています。この場合、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフが可能です(第9条)。駅前でのチラシ配りから店内に誘導してその場で回数券を契約する、といった流れは避けましょう。
出典: e-Gov法令検索『特定商取引に関する法律』第2条・第9条/出典: 神戸市消費生活センター『整体の回数券、解約・返品したい』(2026年8月更新)
消費者契約法と民法|「返金不可」は通用する?中途解約と返金のルール
自治体のアドバイスでは、整体院の回数券の解約条件や返金額は「原則として事業者が設定した約款に従う」とされています。ただし同時に、その条件が消費者に著しく不利な場合は無効になる可能性がある、とも説明されています。この「無効になる可能性」の根拠が消費者契約法です。
出典: 東京都消費生活総合センター『整体院の回数券購入後の解約はできない?!』(平成30年11月公表・令和4年8月更新)
過大な違約金・返金不可条項は「平均的な損害」を超える部分が無効
消費者契約法第9条第1項第1号は、契約の解除にともなう損害賠償や違約金を定める条項について、同種の契約の解除で事業者に生じる「平均的な損害の額」を超える部分を無効としています。未使用分がたくさん残っているのに「理由を問わず一切返金しない」という条項は、この規定に照らして争われる可能性があります。また、同条第2項により、事業者は消費者から求められたら違約金の算定根拠の概要を説明するよう努めなければなりません。
出典: e-Gov法令検索『消費者契約法』(平成12年法律第61号)第4条・第7条・第9条
施術契約は準委任|患者さんはいつでも解除できる
施術を提供する契約は、法律行為ではない事務を委託する「準委任」にあたると考えられ、民法の委任の規定が準用されます(第656条)。第651条第1項は「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定めています。つまり、患者さんから「もう通えない」と申し出があれば、契約自体は解除できるのが原則で、問題になるのは未使用分をいくら返すか(清算方法)です。
強引な勧誘は契約の取消し事由になる
消費者契約法第4条は、事業者の不適切な勧誘によって結ばれた契約を消費者が取り消せる場合を定めています。院の現場で起こりやすいものを整理すると次のとおりです。
| 勧誘の例 | 消費者契約法上の類型 | 条文 |
|---|---|---|
| 「10回通えば必ず治ります」と言い切る | 重要事項についての不実告知/断定的判断の提供にあたり得る | 第4条第1項 |
| 割安さだけを強調し、有効期限や解約時の清算を説明しない | 不利益事実の不告知にあたり得る | 第4条第2項 |
| 「帰りたい」と言われても施術室で勧誘を続ける | 退去妨害 | 第4条第3項第2号 |
| 自宅や職場で「帰ってほしい」と言われても居座る | 不退去 | 第4条第3項第1号 |
出典: e-Gov法令検索『消費者契約法』(平成12年法律第61号)第4条・第7条・第9条
取消権は、追認できる時から1年間、契約締結から5年間で時効により消滅します(第7条第1項、一部の類型を除く)。施術効果を約束する言い方は、広告規制の観点からも問題になります。広告表現については整骨院の広告規制とガイドラインで詳しく解説しています。
回数券のトラブル事例|「しつこい」「高い」と感じられる院の共通点
検索では「整骨院 回数券 しつこい」「整骨院 回数券 高い」「回数券 買ってしまった」といった言葉が多く調べられています。患者さんが何に不満を感じているのかを、自治体が公表している相談事例から整理します。
| 相談事例(公表元) | 内容 | 院側が学べること |
|---|---|---|
| 東京都・事例1 | 70歳代女性。腰痛で24回分の回数券を購入。改善せず解約・返金を希望。解約等が書かれた書面を受け取っていない | 解約条件・清算方法を書面で渡す |
| 東京都・事例2 | 40歳代女性。10回分を購入後、施術者が変わり翌日まで痛みが続いた。指名を断られ解約を希望 | 担当変更の可否を契約時に説明する |
| 東京都・事例3 | 20歳代女性。有効期限4か月・8回分を購入したが、予約が満席で期限内に消化できない | 予約枠と有効期限のバランスを設計する |
| 神戸市・事例1 | 半年分の回数券を「割安」と言われて購入。2回後に腰痛が出た。返金不可の契約書に署名 | 体調変化時の振替・中止ルールを用意する |
| 神戸市・事例2 | 8回分16,000円の回数券を1回も使っていない。クーリング・オフを希望 | 店舗契約はクーリング・オフ対象外であることを事前に説明する |
出典: 東京都消費生活総合センター『整体院の回数券購入後の解約はできない?!』(平成30年11月公表・令和4年8月更新)/出典: 神戸市消費生活センター『整体の回数券、解約・返品したい』(2026年8月更新)
これらの事例に共通するのは、契約時の説明不足と、予約・担当・体調の変化といった「通えなくなる事情」への備えがないことです。患者さんにとっては「割安だから」と勧められて買ったのに、使い切れないまま返金もされないという経験が「しつこい」「高い」という評価につながります。口コミやGoogleマップの評価は集客に直結するため、整骨院のMEO対策の観点からも、トラブルの芽は契約設計の段階で摘んでおくべきです。
自治体が消費者に伝えている「購入前のチェックポイント」
・施術内容、料金、有効期限、中途解約の条件や清算方法
・回数券とは別に購入が必要な商品の有無
・金額と回数が自分にとって適切か
(神戸市消費生活センター)
柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報
働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。
トラブルにならない回数券の作り方|返金・清算ルールと契約書の項目
回数券の解約トラブルでは、清算方法を事前に決めていたかどうかが分かれ目になります。代表的な清算方法は次の2つです。下の金額は説明のための計算例(架空の価格設定)で、相場を示すものではありません。
| 清算方法 | 考え方 | 計算例:10回3万円(通常1回3,500円)・4回利用後に解約 |
|---|---|---|
| 割引単価で清算 | 支払額 ÷ 回数 × 未使用回数を返金 | 30,000円 ÷ 10回 × 6回 = 18,000円を返金 |
| 通常単価で清算 | 利用済み分を割引なしの通常料金で計算し、残りを返金 | 30,000円 −(3,500円 × 4回)= 16,000円を返金 |
| +解約手数料 | 上記に手数料を加える場合は、平均的な損害を超えない額にとどめる | 金額の根拠を説明できるようにしておく |
どちらの方法を選ぶにしても大切なのは、契約前に書面で示し、患者さんが理解したうえで購入することです。特定商取引法の対象外である整体・整骨院の回数券には、法律上の書面交付義務はありませんが、東京都の事例1のように書面がないこと自体がトラブルの原因になっています。契約書(または利用規約)には、少なくとも次の項目を入れておきましょう。
- 院の名称・所在地・苦情や相談の連絡先
- 対象となる施術メニュー(自費施術であること。保険施術は対象外であること)
- 回数・金額・1回あたりの単価・通常料金
- 有効期限(発行日から何か月か。6か月を超える場合は資金決済法の管理対象になる)
- 予約の方法と、予約が取れなかった場合の期限延長の扱い
- 担当施術者の指名の可否
- 体調の変化・転居・妊娠などで通えなくなった場合の中止・振替の扱い
- 中途解約の申し出方法と清算方法(計算式)
- 閉院・移転時の扱い
回数券の残数や有効期限は、紙のカードだけでなく受付システムで管理すると、期限切れ前の案内や残高集計がしやすくなります。整骨院の電子カルテ比較も参考にしてください。
整骨院の回数券は医療費控除の対象になる?患者さんへの説明ポイント
「整骨院の回数券を利用した場合、医療費控除を受けることができますか」という質問も多く検索されています。国税庁は、柔道整復師などによる施術の対価を医療費控除の対象になる医療費として挙げていますが、「疲れを癒す、体調を整えるといった治療に直接関係のないもの」は含まれないとしています。つまり、回数券かどうかではなく、施術の目的が治療かどうかがポイントです。
また、医療費控除の対象はその年の1月1日から12月31日までの間に実際に支払った医療費で、未払いの医療費は現実に支払った年の控除対象になるとされています。控除額は「支払った医療費 − 保険金などで補てんされる金額 − 10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)」で計算し、上限は200万円です。
出典: 国税庁『No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)』/出典: 『No.1122 医療費控除の対象となる医療費』
回数券のように前払いした費用をどの年の控除として扱うかについては、国税庁の上記ページに明記がありません。院としては判断を断定せず、施術内容(治療目的であること)が分かる領収書を発行し、詳しくは税務署に確認してもらうよう案内するのが安全です。
回数券・前払いプランを導入する手順|院長向け5ステップ
- STEP1対象メニューを決める保険施術とは切り分け、自費メニューに限定する。エステ・痩身に近い内容は特定継続的役務提供にあたらないか確認
- STEP2回数・価格・有効期限を設計有効期限は発行日から6か月以内が基本。予約枠で期限内に消化できる回数か確認
- STEP3清算方法と契約書を作る割引単価/通常単価のどちらで清算するかを決め、計算式を契約書に明記
- STEP4スタッフの説明トークを統一効果の断定・長時間の勧誘をしない。解約条件まで説明し、その日に決めなくてよいと伝える
- STEP5残高・期限を管理する基準日(3/31・9/30)の未使用残高を記録。期限前の案内と解約時の清算を記録に残す
開業前に回数券の導入を考えている場合は、施術所の開設手続き(接骨院の開業届・施術所開設届)とあわせて料金体系を設計しておくとスムーズです。また、前受金に頼った資金繰りは閉院時のリスクにもなります。整骨院が廃業する理由も確認しておきましょう。整体・リラクゼーションとの違いを患者さんに説明する際は整体・マッサージ・整骨院の違いが役立ちます。
整骨院の回数券・前払いに関するよくある質問
- Q整骨院の回数券にクーリング・オフはありますか?
- A
患者さんが自ら来院して店舗で契約した場合、整体・整骨院の回数券は特定商取引法の対象外で、クーリング・オフはありません。ただし、キャッチセールスなど営業所以外で呼び止めて店舗に同行させた場合や電話勧誘販売にあたる場合などは対象になり、書面受領から8日間はクーリング・オフできます。
- Q「返金不可」と書いた回数券は返金しなくてよいですか?
- A
契約条件は原則として約款に従いますが、消費者契約法第9条により、解除に伴う違約金等のうち平均的な損害を超える部分は無効になります。民法上、施術契約はいつでも解除できるため、未使用分の清算方法を事前に定めておくことをおすすめします。
- Q有効期限を1年にした回数券は届出が必要ですか?
- A
有効期限が発行日から6か月を超えると資金決済法の前払式支払手段にあたり得ますが、自家型の場合、届出や供託が必要になるのは基準日(3月31日・9月30日)の未使用残高が1,000万円を超えたときです。超えない間は届出不要ですが、残高の把握はしておきましょう。
- Q保険の施術を回数券にしてもよいですか?
- A
健康保険を使う施術(療養費)は、施術ごとに一部負担金を受け取ることが前提の制度です。回数券やプランは自費メニューに限定し、保険施術と混在させないのが安全です。
- Q回数券の代金は医療費控除の対象になりますか?
- A
国税庁は柔道整復師による施術の対価を対象としつつ、疲れを癒す・体調を整えるなど治療に直接関係のないものは除くとしています。前払い分をどの年の控除にするかは国税庁のページに明記がないため、治療目的が分かる領収書を発行し、税務署への確認を案内しましょう。
まとめ|回数券は「6か月・書面・清算ルール」で安全に運用する
- 整骨院の回数券を直接規制する専用法はないが、資金決済法・消費者契約法・特定商取引法・民法が関わる
- 有効期限が発行日から6か月以内なら資金決済法の適用除外。超える場合も未使用残高1,000万円以下なら届出・供託は不要
- 店舗での契約はクーリング・オフ対象外だが、キャッチセールス等で誘うと対象になる
- 「返金不可」条項は平均的な損害を超える部分が無効になり得る。清算方法を計算式で契約書に明記する
- 効果の断定・長時間の勧誘は契約取消しの原因になる。説明トークを統一する
- 医療費控除は施術目的(治療かどうか)がポイント。治療目的が分かる領収書を発行する
回数券は、患者さんの通院継続と院の経営安定の両方に役立つ仕組みです。だからこそ、法律の最低ラインを守るだけでなく、「使い切れなかったときにどうなるか」を最初に説明できる院が、口コミでも選ばれます。
柔道整復師・理学療法士の求人・転職情報
働き方・給与・職場選びのポイントは本文の各章で解説しています。
参考・出典
- e-Gov法令検索「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号)第3条・第4条・第5条・第13条・第14条・第20条(参照日: 2026年10月17日)
- e-Gov法令検索「資金決済に関する法律施行令」(平成22年政令第19号)第4条第2項・第6条(参照日: 2026年10月17日)
- e-Gov法令検索「消費者契約法」(平成12年法律第61号)第4条・第7条・第9条(参照日: 2026年10月17日)
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」(昭和51年法律第57号)第2条・第9条(参照日: 2026年10月17日)
- e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)第651条・第656条(参照日: 2026年10月17日)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」(参照日: 2026年10月17日)
- 金融庁「商品券(プリペイドカード)の払戻しについて」(参照日: 2026年10月17日)
- 国税庁 タックスアンサー「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」(参照日: 2026年10月17日)
- 国税庁 タックスアンサー「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」(参照日: 2026年10月17日)
- 東京都 東京くらしWEB「整体院の回数券購入後の解約はできない?!~継続的なサービスの契約をする時は注意が必要です!~」(平成30年11月2日公表、令和4年8月26日更新)(参照日: 2026年10月17日)
- 神戸市「整体の回数券、解約・返品したい」(2026年8月12日更新)(参照日: 2026年10月17日)
※本記事は2026年10月17日時点の法令・公開情報をもとに作成しています。個別の契約・税務の判断は、弁護士・税理士・所轄の財務局・税務署などにご確認ください。

